弁護士に将来性はある?〜現状・需要・AIの代替性まで解説〜

弁護士、その名称に多くの方が高いステータスと高収入をイメージすることでしょう。確かに弁護士になることは並大抵のことではなく、その努力、その使命に相応しいのかも知れません。
しかし、その実情は皆さんの持つイメージとは少し異なるかもしれません。

この記事では、そんな弁護士の実情やAI時代における将来性について解説していきます。

弁護士の現状は厳しい

かつて、弁護士は資格さえ持っていれば安泰の職業でした。顧客を探すために営業活動することもなく、ただ看板を上げていれば仕事が舞い込んできたのです。しかし現状はそうではありません。

そもそも弁護士の仕事内容とは

 弁護士は、法律で人の権利や利益を守ることが主たる仕事です。少しでも法律が関係することであれば、弁護士の力を借りれば解決できることも多いでしょう。

 弁護士の業務には、「独占業務」が多く、法的に仕事が保護されています。その一方で、資料整理や作成といった作業も少なくありません。
契約書の内容をチェックして不利な条項があれば確認する事や、膨大な資料から訴訟を有利に運ぶための証拠探しなどの作業はかなりのウェイトを占めていて、約20%ほどと言われています。

 今後は、弁護士業務の中でAI活用によって効率化できるものと、従来通り進める業務を見極めて行うことが必要になるでしょう。

弁護士は増えている

2000年代前半に司法制度が見直され、司法試験合格者が急増することとなりました。どうして司法制度が見直されたのかというと、日本の法曹人口(裁判官、検察官、弁護士を合わせた人口)は欧米に比べて少なく、国民に対する十分な法的サービスが提供できていなかったためです。

その結果、弁護士の数は10年でおよそ2倍になってしまったのです。しかし弁護士を必要とする訴訟件数は増えたわけではなく、結果として弁護士間の競争が厳しくなってしまいました。

つまり、市場規模に変わりがないにもかかわらず、参入者が2倍になったわけです。当然、1人あたりの収入は半減してしまい、弁護士は決して「稼げる」仕事ではなくなったのです。

それでも生き残るために、かつての「資格さえあれば」という時代とは異なり、より専門知識を磨いて他の弁護士との差別化を図り、人脈を広げ、積極的に広報、宣伝などの営業活動を行って顧客を確保しなければならないのです。

弁護士の年収

現在、弁護士の平均年収は約1000万円とされています。男性が1500万円、女性は730万円となっています。男女差はあるものの、非常に高い水準だと言えるでしょう。

AI技術が進む現代でもなお、弁護士は社会に必要な存在として認められています。今後もその価値が急激に下がることはないでしょう。給与水準も高く維持されていくと予想されます。

合格者の都会志向

司法試験合格者は都心部出身者、あるいは都心部の難関大学出身者が多いため、弁護士として働く場を都会に求める傾向が強くなる傾向にあります。(参考:平成30年司法試験最終学歴別合格者一覧

  つまり、都会には弁護士が溢れており、飽和状態なのです。そこで、働く場を地方に広げて考えればより就職が容易になります。弁護士の人口が増えていることも考えれば、全国を視野に入れてみることも大切だといえます。

弁護士に需要はあるか

近年、多くの仕事がAIに代替されると言われています。
では、AI技術の進化は弁護士の需要に影響があるのでしょうか。
結論から言えば、仕事の進め方などは変化するでしょうが、弁護士は今後も求められるでしょう。

AIが登場しても弁護士はなくならない

この表は、野村総研とオックスフォード大学の共同研究によるデータです。AIによる士業の代替可能性を表しています。

士業 AIによる代替可能性
中小企業診断士 0.2%
弁護士 1.4%
司法書士 78.0%
社会保険労務士 79.7%
公認会計士 85.9%
弁理士 92.1%
税理士 92.5%
行政書士 93.1%

 この研究によると、弁護士のAI代替可能性は1.4%と極めて低く算出されています。
弁護士は、人とのコミュニケーション能力、専門性の高い業務能力が求められます。これが他の士業と比較してAIに代替されにくいことの大きな理由だと言えるでしょう。

一部の仕事は代替可能

アメリカでは、AIによる「人口知能弁護士(AI弁護士)」が導入されています。これは、弁護士の仕事が一部AIによって代替可能なことを実証しています。

例えば、依頼人の案件と類似点のある判例を探し出すことや、どの論点でどの程度の共通点があるかなどを確認する作業はAIの得意とするところです。

また、AI弁護士は破産関連の業務でも活躍します。破産の手続きというのは、その処理が自動化しやすくなっているからです。現在では、契約書のチェックにも対応できるようになっています。

このように、AIの機能は単純で定型化された内容を瞬時に行えます。しかし、人と人の間に立つことは「人」でなければきません。
したがって、AI弁護士はライバルではなく、人が弁護士として活動する上でそれを助けてくれる存在でありパートナーなのです。

需要が高いのは専門分野を持った弁護士

前述のとおり、弁護士は供給過多であるため、望む待遇や業務で法律事務所に就職する事が非常に難しくなっています。

特に都市部は弁護士が集中しており、就職できないため、司法修習終了後にやむなく独立開業をする弁護士も珍しくありません。
一方、地方部はそれほどの状況ではないようですが、そもそも事件数が少ないという問題があります。

このような厳しい状況下では、「なんでも屋」ではなく何かひとつ得意分野を持つ専門性の高い弁護士が求められます。

弁護士の業界では、借金・交通事故・離婚・相続が4大分野とされています。いずれかの分野における専門家として実績を持つことで、今後も景気に影響されず一定の需要を見込むことができるでしょう。

弁護士の将来性

競争もなく、恵まれた環境は過去のことです。
就職のために競ったり、就職後も自己研鑽しキャリアアップのために努力したりするのは、一般的には当たり前のことです。

弁護士にも、それが求められる時代になっていることを理解しなければなりません。

日本は法治国家であり、法律のプロフェッショナルである弁護士が必要とされることは今後も変わりません。活躍できる場をつかめるか否かは自分次第です。

生き残る弁護士とは

弁護士として生き残るために必要なのは「対話力」です。
相談者に寄り添い、誠実に向き合いながら法的に正しく最善の解決策を導き出すことで信頼を得なければなりません。現代は、ひとつのミスが悪評としてインターネット上で広がる時代です。相談者との良好なコミュニケーションが非常に重要なのです。

また、弁護士の増加により競争が厳しくなっているため営業活動も必要です。その営業活動でも対話能力が求められます。

かつて弁護士は看板を掲げていれば仕事はやって来るものでした。しかし、今後は広告を打ち、積極的に営業しなければならないのです。

弁護士の今後の活躍の場

企業法務

今後、活躍の場として有望なのは「企業法務」でしょう。

例えば、上場企業の株主総会では、「総会屋」と称される人が仕切っていました。しかし、現在はその企業の顧問弁護士が運営するのが一般的になっています。

インハウスロイヤー

また、企業と顧問契約を結ぶのではなく、社員として勤務し法務アドバイスなどを行う「インハウスローヤー」(企業内弁護士)という働き方も増えています。

企業内弁護士の年収は法律事務所に勤務する場合とほぼ同等です。しかし、30代後半からは安定して昇給する企業内弁護士の方が高くなります。

外資系企業の場合には、実務経験や語学力が必要ですが、国内企業は比較的若手弁護士を採用しています。実務経験がそれほどなくても十分に採用されるチャンスがあります。

活躍の場はまだまだある

そのほか、近年話題となったスポーツ界におけるハラストメント、不祥事などの民事事件に発展するような事案は、まだ弁護士があまり踏み込めていない領域です。
このような、本来法的解決が必要であるにも関わらず、弁護士が活躍できていない場がまだまだあります。

社会は法律によって支えられています。自ら新しい分野での仕事を開拓する姿勢を持てばそのフィールドを拡大することは十分に可能です。

  • 将来を見据えた選択を

弁護士なるためには、超難関試験を突破しなくてはなりません。そのためには非常に優秀な人でも数年をかけて準備しなければ合格できません。

したがって、現在の仕事や生活をふまえて、果たして将来にプラスになるのかをしっかりと検討する必要があります。

弁護士の仕事は、政治家や著名人から反社会勢力まで非常に幅広い人を対象にできます。もちろん、困っている人を法律の力で助けることができます。非常にやりがいを感じることができる上に、弁護士でなければ経験できないことで人生は豊かになるでしょう。

資格を取得するまでには、大変な努力と多くの時間が必要です。しかし、高い収入とやりがい、将来性もある仕事なのです。

まとめ

最後に、弁護士の現状・将来性についてまとめておきましょう。

まとめ
  • 弁護士は増えているため競争率が高い
  • 弁護士の仕事はAIが進化してもなくならない
  • 単純作業などはAIを活用することで、仕事全体の効率化が図れる
  • 専門性の高い弁護士の仕事の需要はなくならず、将来性も高い
  • 生き残るためには「対話能力」を磨いておくことが必要

弁護士はやりがい、収入、将来性の面で非常に魅力的な職業です。
決して簡単ではありませんが、挑戦に値する資格なので一歩踏み出して資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

監修 資格LIVE編集部
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