弁理士試験の難易度は?〜合格率・勉強時間などを解説〜

弁理士試験はどの位難しいのでしょうか?
ズバリ申し上げますと、弁理士試験はトップクラスの難しさです。
国家試験は沢山ありますが、最難関試験と言っても過言ではないでしょう。

ではどうすれば弁理士試験に合格できるのか?
その答えは勉強計画を綿密に練ること。
計画がいい加減だとせっかく勉強しても実力が発揮できずに終わります。

この記事では弁理士試験の難易度や合格率とともに勉強方法や勉強時間、過去問の使い方をご説明します。
狭き門である弁理士試験を突破するために必要な知識を持ちましょう!

弁理士ってどんな仕事?

まずは弁理士の仕事内容について簡単に説明します。

弁理士=知的財産のエキスパート

弁理士は知的財産(=ブランドやアイデア)を扱う専門家です。知的財産権には、意匠権、商標権、特許権、実用新案権や著作権などが含まれます。

仕事内容は企業へ知的財産の相談役や、発明者から依頼を受け特許庁へ知的財産権の申請を行ったりしています。多くは特許の申請業務になります。

弁理士のなり方

まずは弁理士試験に合格しなければなりません。
その後日本弁理士会が行っている実務修習を終え、やっと弁理士になることが出来ます。
ちなみに、日本弁理士会への登録は義務付けられています。

弁理士試験合格以外の方法で弁理士になるルートとしては、以下の2つのルートがあり、いずれのルートを通る場合でも、実務修習は必須です。
①弁護士となる資格を有している
②特許庁の審判官又は審査官として7年以上業務を行う

試験は超難関?

合格率は6〜7%

弁理士試験の合格率は6〜7%。これは国家試験の中でもとても低い合格率です。
難易度レベルで言えば最上級なのは言うまでもありません。弁理士試験は日本三大資格(医師、弁護士、公認会計士)の次に難関と言われています。

同じく難関で有名な社労士試験も合格率6%です。
中には社労士試験以上に弁理士試験は難しいとも言われているので、大変な勉強量が必要です。

こんな風に聞くと弁理士試験を受けるのを不安に感じてしまいますね。
しかし、少数ですが毎年合格者は存在しています。
勉強計画をしっかりと練って、その通りに実践していけば全く夢のような話ではありません。

弁理士試験に受験資格はない

実は、弁理士試験は誰でも受験できます。
難関と言われている国家資格の中でも、敷居の低い資格です。気軽に受験できる分、合格率が低い事も頷けますね。

ですが、あとに述べるように論文試験を受けるには短答式試験に合格しなければなりません。
そして最後に口述式試験が受けられます。受験資格はなくても試験のハードルは高いといえます。

偏差値は高いの?

弁理士試験の偏差値は平均65〜70です。
数字を見るとかなり高いですね。
公認会計士、医師、弁護士の国家試験と同じくらいの偏差値です。

高い偏差値と聞くと気後れしてしまいますが、安心してください。
弁理士試験はきちんと時間をかけて正しく勉強すれば一般的な方でも合格可能な資格です。
決して超人的な頭脳の持ち主でないとダメなわけではありませんよ。

弁理士試験合格するための勉強時間は?

弁理士試験に合格するためには3,000時間勉強が必要です。
この時間はおおよそなので、人によっては多い少ないはあります。
例えば行政書士の方などは既に法律関係の資格の知識があるので、3,000時間未満でも合格できます。

そうでない方は1日4時間勉強する日々を2年間続ける必要があります。2年で合格する場合、平日(月~金)は毎日2~3時間、休日(土、日)に合わせて15時間ほど勉強するというのがおおよその目安です。

しかし弁理士試験受験者の殆どが社会人なので、仕事や家庭との両立を考えるとそれ以上の年月を要する事が多いです。

合格率に神経質にならなくてOK

弁理士試験と言えば、合格率が格段に低い事で有名です。
しかしこの数字に神経質になる事はありませんよ。

その理由として、弁理士試験受験者の平均年齢は42.1歳です。
多くの国家試験の受験者年齢は大抵20~30代でしょう。
年代が違うとその方を取り巻いている環境は大きく異なるので一概にこうだとは言えません。

もし受験者の多くが学生であれば、勉強時間を多く確保できるので合格率もアップします。
しかし弁理士試験の受験者は社会人が大半を占めています。
仕事と家庭と勉強の両立は困難なので、不合格者が多いのも納得できますね。

弁理士試験は他の国家試験と受験者層が異なっているのが、合格率の低い原因です。
ですが中には要領のよい勉強法を身に着けていて一発で合格する方もいます。
弁理士試験は勉強の定型があるので、それを理解してしまえば効率よく勉強できて合格にもグンと近づきます。

弁理士試験の試験科目

弁理士試験は科目数が多いことでも有名です。
実はこの科目数こそが弁理士試験が超難関と言われる所以。
試験は3種類あり、短答式試験に論文式試験、口述試験をパスしなくてはなりません。

試験範囲が広いので勉強量も大量になってしまいます。
短答式は5科目、論文式は4科目なので膨大な範囲ですね。

短答式試験

5肢択一のマークシート方式で試験は行われます。こちらの合格率は10%から20%程度です。

正解無しの問題はありませんが、「正しいものはいくつあるか」という問題はあります。

これは問題を正確に理解しなくては不合格となってしまいますね。
それプラス広範囲なので確実に点数を稼ぎたいところです。

論文式試験

論文式試験は必須科目と選択科目の2つです。
そして必須科目が試験合格のカギを握っています。

選択科目はどちらかというと、理系の方が選択肢は増えます。
文系の方は民法を選択するパターンが多いようですね。全体の60%以上正解が合格ラインになります。

口述試験

近年はほぼ全員が合格していますが、過去には1割程度不合格者が出た年もあったため油断禁物。試験科目は3教科で、時間は各教科とも約10分です。
試験時間は約10分、2人の面接官の設問に応えます。

合格基準点

短答式試験、論文式試験共に合格基準が設けられています。
両方その基準を上回って初めて弁理士試験合格です。

  • 短答式試験

5科目合わせて65%以上正解しなくてはなりません。
注意しなくてはいけないのは、1科目でも40%未満があれば不合格になります。

  • 論文式試験

必須科目:全科目の平均得点が54点以上
選択科目:満点の60%以上
論文式も必須科目の中で47点に達しない科目があると不合格になります。

短答式と論文式試験には足切りもあります。
合格基準を知ると不安になりますが、頻出範囲をしっかり押さえて勉強しておけば基準はクリアできるでしょう。

弁理士は国家資格の中でも難しいの?

超難関試験と言われている弁理士試験。
その他の国家試験と比べてみると、難易度はどのくらいなのでしょうか?

社労士

社労士難易度・・・星4★★★★(やや難しい)

ここ10年の社労士試験合格率は4〜9%です。
この数字を見ると、弁理士と大体同じくらいの合格率です。

弁理士と社労士の難易度は同程度か、やや弁理士のほうが難しいかと思われます。

しかし社労士は大卒でないと受験資格がありません。
弁理士の様に受験資格なしではないので、人によっては敷居が高いかもしれません。

税理士

税理士難易度・・・星5★★★★★(難しい)

税理士試験の合格率は全科目で10〜15%です。
難易度から判断すると弁理士と税理士の難易度は同程度ぐらいの難しさと言えます。

社労士同様、税理士試験には受験資格があります。
日商簿記1級保持者、大卒者でなければ受験資格はありません。
税理士も社労士同様超難関試験といえるでしょう。合格率こそ高いものの、受験するまでが大変です。

独学で弁理士試験に合格できる?

弁理士試験は超難関だと上記しましたが、独学での合格は難しいのでしょうか?
結論から申し上げると、弁理士試験の勉強を独学で行うのはとても厳しいです。
その理由は必要勉強時間が多く、自分でカリキュラムや予定を立てるのが難しいからです。
頓挫してヤル気も失ってしまうパターンが多いですよ。

予備校に通っていると教科書や参考書が配布されますが、独学だと自分で揃えなくてはなりませんね。市販の教科書や参考書は種類も少なく選べないうえに、クオリティも高いとはいえません。

どうしても独学で弁理士試験に合格したいのならば、気を付けるべきことがいくつかあります。

勉強日程をしっかり

あまりに長期日程を目標にしてしまうと、途中で諦めてしまうことが多いです。
そうならない為に、短期の勉強目標を設定しましょう。
短期目標をたくさん作っていき、勉強を続けていきます。

弁理士試験の勉強は、一気に集中して行うものではありません。
長期間コツコツと積み重ねるのが大事です。
長期目標と短期目標を上手に使い分けましょう。

条文をよく理解する

条文の趣旨、用語の意味、要件、効果がすぐに出てくるようにし、特許法、実用新案法、意匠法、商標法では、様々な手続が規定されているため、この手続の流れを条文で説明できるようにしましょう

過去問を繰り返す

過去問をこなす事は他の試験でも同じですね。
弁理士試験の場合も過去問をどんどん解いていく事で、問題の傾向や出やすい問題などが分かってきます。試験範囲が非常に広いので、効率良く勉強するのがカギになります。

教科書や参考書でテーマを終えたらその都度過去問にチャレンジしましょう。
間違えてしまった問題は教科書や参考書を見て再度理解します。
そして何度も何度も繰り返し過去問を解いていきましょう。

繰り返すうちに理解度が深まり、回答スピードも早くなる事に気が付くはずです。
まずは短答式問題→論文式の必須科目→選択科目の順に進めると効率的です。

特に短答式試験では、いわゆる捨て問(難易度が高すぎるため、正解を得ることが困難な問題)があり、この捨て問を解けるようにするくらいであれば、頻出の問題を繰り返し解いた方が合格に近づくことが出来ます。

通信講座もおすすめ

最初は独学で弁理士試験の勉強を始めるつもりだった方も、やはり独学は難しいというのが本音です。
そんな忙しかったりモチベーションを保つのが難しいという方から支持されているのが通信講座。

通学制の予備校もありますが、いざ通おうと思うと残業や仕事の都合で休みがちになってしまいます。

弁理士を志す方は圧倒的に社会人が多いので、夜の時間帯必ず通学するのは難しいですね。
そうなると授業料ももったいないですし、非効率的です。

時間がない中で効率よく勉強を進めるには、通信講座をうまく活用することをおすすめします。

まとめ

では最後に、弁理士試験の難易度についてまとめておきましょう。

弁理士試験難易度まとめ
  • 三大国家資格の次に難しい難易度で合格率は6%
  • 必要な勉強時間は3,000時間
  • 短答式、論文式、口述試験の3つの試験をパスしなければならない
  • とにかく過去問が大事で独学より通信講座の方が効率的

弁理士を志すも、合格率の低さに怖気づいてしまった方もいるかもしれません。
そんな方でもしっかりと計画を立てて勉強に励めば、弁理士試験合格は現実味を帯びてきます。
通信講座や参考書を賢く利用して憧れの弁理士になりましょう。

■監修者より一言

弁理士試験は、国家資格の中でも合格するのが難しい試験です。弁理士試験に合格するためには、適切な計画に基づく試験勉強と、勉強時間の確保が必要です。弁理士試験に合格するためには3,000時間程度の勉強時間が必要と言われていますが、効率のよい勉強ができなければ、さらに多くの勉強時間を要します。
一方で、弁理士試験の受験生は社会人が大半を占めており、仕事や家庭と両立させながら試験勉強をしています。仕事や家庭と試験勉強の両立については難しいところもあり、また、勉強時間を確保するためには、家族のサポートも必要になります。弁理士試験に合格するまでには色々な困難もありますが、弁理士になることを目指して頑張りましょう。

監修 石川 徹(弁理士)

特許事務所に勤務する弁理士。2011年に弁理士登録。主に国内・外国(主に米国、欧州、アジア諸国)の特許出願、中間処理を扱っていますが、意匠・商標、係争や契約なども扱う。