【徹底解説】弁理士は独学でも可能?勉強時間、問題別の効率的な勉強方法を解説!

今回は『弁理士』の試験問題、内容について、試験問題別の効率的な勉強方法を現役の弁理士「石川徹」さんに詳しく解説をして頂きました。

弁理士の勉強方法に悩んでいる方効率的な勉強方法を探している方に必見の内容です!

試験解説「石川徹」さん

特許事務所に勤務する弁理士。2011年に弁理士登録。主に国内・外国(主に米国、欧州、アジア諸国)の特許出願、中間処理を扱っていますが、意匠・商標、係争や契約なども扱う。

勉強開始段階で行う勉強法

弁理士試験を開始する段階では、複数の法域について試験があること、マークシート、論文、口述の試験があることから、どのような勉強をすればいいか、分からない方も多いと思います。

また、弁理士試験の勉強を開始した段階で、過去問を解いてみたものの、ほとんど解くことができなかった、という方も多いと思います。

このような段階では、まず、試験科目である、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、条約、著作権法、不正競争防止法の概要をつかむことが必要です。

これらの法律や条約の概要をつかむにあたっては、受験機関の基礎講座を受け、よく復習することが効率的です。

一方で、弁理士試験の開始時に独学で勉強するのは、弁理士試験の合格に必要な知識がどのようなものなのか、把握が困難な状況で勉強することになるため、勉強の効率が悪くなります。

弁理士試験とは

まず弁理士試験とは、弁理士になろうとする方が弁理士として必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とした試験です。

試験は、短答式筆記試験、論文式筆記試験、口述試験の3つの試験に別れています。

短答式筆記試験について

短答式筆記試験とは、五肢択一のマークシート方式で、60問出題されます。

■問題内容・問題数の内訳

特許・実用新案に関する法令
(主に、特許法、実用新案法)
20問
意匠に関する法令(主に意匠法) 10問
商標に関する法令(主に商標法) 10問
工業所有権に関する条約
(主に、パリ条約、PCT、TRIPS協定、マドリッド協定議定書)
10問
著作権法及び不正競争防止法 10問

短答式筆記試験の勉強法

短答式筆記試験の勉強法としては、条文の理解と過去問がメインの勉強となります。

ただし、短答式筆記試験の勉強を開始する前に、まず、過去問を解いて何点くらいとれるか把握しておきましょう。

特許・実用新案、意匠、商標の四法で、24点以下(40点満点中)である場合には、上述した法律の概要をまだ十分につかめていない可能性が高いです。基礎講座の復習等により概要をつかむことを検討すべきです。

一方で、特許・実用新案、意匠、商標の四法で、25点以上(40点満点中)である場合には、過去問と、過去問で問われた条文とその周辺事項について勉強することが、一般的な勉強方法となります。

条文の周辺事項としては、工業所有権法逐条解説(青本)や、審査基準が該当します。ただし、青本は非常にページ数の多い本であるため、各条文の趣旨と、主要な字句の説明、過去問で問われている事項の確認等で用いることが多いです。また、審査基準は、特に意匠法や商標法では試験で問われやすいため、重点的に勉強をする必要があります。

また、条約と著作権、不正競争法防止法は、短答式筆記試験以外で使う頻度が少ないため、短答式筆記試験の2、3カ月前から試験勉強をすることが多いです。

条約については、試験で問われやすい条文(例えばパリ条約3条、4条)と問われる可能性の低い条文があります。試験で問われやすい条文については、条文の暗記によって確実に得点を取る必要があります。

さらに、短答式筆記試験では、判例も数問出される可能性があります。ただし、試験で問われる可能性のある判例は限られています。受験機関等の講座を利用して、勉強すべき判例を絞った上で勉強することをお勧めします。

また、短答式筆記試験は60問を3、5時間で解答する試験ですが、時間配分については模試で慣れておく必要があります。

試験の1か月前くらいからは、各受験機関で模試が行われているため、模試を受けることで時間配分を確認することが好ましいです。

論文式筆記試験について

論文式筆記試験とは、短答式筆記試験に合格した者が受けることのできる試験で、必須科目と選択科目があります。

必須科目は、特許・実用新案法2時間、意匠法1.5時間、商標法1.5時間です。

また、選択科目は、理工系、法律系など様々な科目がありますが修士課程を卒業している者や、特定の資格(薬剤師等)を有する者は基本的に選択科目の受験が免除されます。

論文式筆記試験(必修科目)の勉強法

論文式筆記試験の勉強法としては、基本レジュメと呼ばれているものを繰り返し勉強し、このレジュメを再現できるようにすることレジュメをある程度再現できるようになったら受験機関の答練や模試を受ける、というのが一般的な勉強法になります。また、過去問も並行して勉強する必要があります。

基本レジュメとしては、いわゆる1行問題型のレジュメと、事例問題型のレジュメとがあります。

1行問題型のレジュメの例としては「秘密意匠について説明せよ」、「商標法第3条第2項について説明せよ」のように、ある特定の制度について説明するものが挙げられます。

また、事例問題型のレジュメの例としては、「特許出願Aをしたところ、・・のような拒絶理由通知が来た。この通知に対して出願人がとりえる措置を述べよ」というように、事例に合わせて設問に対する回答を選択して回答するものが挙げられます。

弁理士試験では、この1行問題型の問題と、事例問題型の問題の両方が出されるため、どちらも対応することができるようにしておく必要があります。

また、上述したように、特許・実用新案法2時間、意匠法1.5時間、商標法1.5時間ですが、特許・実用新案法では2問で2時間、意匠法と商標法では1問で1.5時間であるため、科目によって回答の記載量や時間配分が異なります。そのため、答練や模試で、記載量や時間配分に慣れておく必要があります。

論文式筆記試験(選択科目)の勉強法

選択科目の勉強は、他の必須科目や短答式筆記試験と比べて十分な準備をとることができない場合が多いです。また、受験機関等の講座もあまりありません。選択科目の勉強法としては、ベースの基本書で一通りインプットし、過去問を繰り返し解くという方法が多いです。

口述試験について

口述試験とは、面接方式で行われる試験であり、特許・実用新案、意匠、商標のそれぞれについて、10分程度行われる試験です。

口述試験の勉強法

口述試験の勉強法は、各法域共、試験に出やすい所と、出にくい所の傾向がありますので、過去問をベースにして試験に出やすいところを勉強するのが一般的な方法です。

学習する内容としては条文とその趣旨を重視することになります。

事例問題等も出されることはありますが、事例問題については短答式筆記試験、論文式筆記試験で学んだ知識で十分に対応することができると思います。

そして、口述試験特有の傾向として、特定の条文、例えば商標法第3条第1項や、特許法第121条第1項等については、条文を正確に暗記しているか否かを問われたこともるため、頻出の条文については暗記する必要があります。

口述試験の対策としては、口述試験の1~3週間前に受験機関等による模試が行われるため、模試で、自分の出来を確認しながら学習をすることになります。

【まとめ】最後に・・・

弁理士試験に合格するためには、各法律や条約の理解に加えて、ある程度の暗記が必要になるため、相応の勉強時間が必要になります。効率よく勉強すれば、2000時間程度で合格することも可能ですが、合格者の中には5000時間以上の勉強時間を要して合格している方もいます。この記事が、効率よく勉強するための参考になれば幸いです。

執筆・監修 石川 徹

特許事務所に勤務する弁理士。2011年に弁理士登録。主に国内・外国(主に米国、欧州、アジア諸国)の特許出願、中間処理を扱っていますが、意匠・商標、係争や契約なども扱う。