簿記は役に立たない?資格取得のメリット・デメリットを解説

転職・就職活動を有利にするために、「会社で役立つ技術や知識や資格を取得したい」と思う人は多いはず。

そのように思う人達に、いつも注目されているのが簿記です。しかし、簿記の勉強や資格取得は、社会人や学生にとって意味のあるものでしょうか。本当に就職や転職で有利になるのでしょうか。

今回は簿記の資格取得の意味や、就職・転職活動を有利に進められるのかについて説明します。

簿記の勉強にメリットはある?

資格取得も含めて簿記の勉強をしている人が多くいます。書店に行っても簿記の参考書や問題集が多くあるのを見かけます。スクールやオンライン講座でも、数多くの簿記資格講座があるほどです。これだけ多くの人が簿記の勉強をしていること、勉強の機会がたくさんあることなどを考えると、簿記の勉強で得られることが大きいと言えます。

ただ、経理職の社会人や、経理職への就職を目指している学生が、簿記の勉強をする意味は十分わかります。しかし、それ以外の社会人や学生が勉強することに意味はあるのでしょうか。意味がないのだとしたら、やみくもに多くの時間やお金をかけることと同じです。

簿記を勉強することメリット

多くの人が資格取得も含めて簿記の勉強をしていることは、疑いようのない事実です。これは経理職の社会人や、経理職への就職を目指している学生に限ったことではなく、他の職種の社会人や学生にも言えることです。きっと簿記を勉強することには多くのメリットがあるのかもしれません。

ここでは簿記の勉強をするべきかどうか迷われている人のために、簿記のメリットについて説明します。

就職・転職活動を有利に進めることができる

簿記資格を取得していると、簿記の知識があることの証明になります。さらに資格取得と本人のキャリアプランとの整合性がある場合は、さらに就職・転職活動を有利に進めることができます。また、簿記資格を取得している社会人は、経理実務が未経験でも経理部門への転職が有利に働くこともあります。

ところで、就職・転職活動が有利になるためには、何級の簿記資格を取得すればよいのでしょうか。会社の規模や会社が何を求めているかにもよりますが、3級は基本的知識の証明にしかならないので、できることなら2級の資格を取得し、就職・転職活動に望みたいところです。

20代女性
企業はお金の動きが非常に頻繁なのでお金の計算に強い資格を持っていることで内定率がアップしたり、就職した際には資格手当として給料に上乗せされるケースもあります。このおかげで私は転職をスムーズに行うことができ、また経理業務や会計業務などの仕事も担うことができました。仕事の幅も増えます。
40代男性
経理部門の人間であれば転職活動をする際にメリットになると思われるが、それ以外の部門でも多少はメリットになる。資格取得後に全く関係ない職種で転職活動を行ったが、経理に関する資格を取得していると緻密な考え方ができる人だという見方をされることがあり、好印象を得られる可能性がある。また、株式投資を行う際に投資対象となる企業の財務諸表の見方がわかるために、投資対象としてふさわしいか否かの判断ができるようになる。

会計の専門職を目指すことができる

最初は誰でも実務経験がゼロからスタートです。もちろん、経理職においても誰もが未経験からのスタートになります。しかし、スタートの時点で簿記の勉強をすでにしており、知識がある状態から始めるのと、全くゼロから始めるのでは、経理実務の身につくスピードが明らかに違います

さらに、公認会計士や税理士などの、上位に当たる資格の取得を意識している人であれば、なおさら簿記の知識が必要であり、その後の学習や合格率に大きく影響すると言えます。

各所の事務職がパソコン主流になっても、専門用語を覚えている事や、金銭処理の流れ等がある程度理解出来ているだけでも仕事の理解のスピードや処理力が上がります。
自宅でも、家計簿で応用できます。簡単に記号で表すと見やすくなりますし、まとめ方のポイントが分かるのでとてもスムーズに管理できています。

経理以外でも役に立つ

簿記の知識を身につけることによって、会社で扱われている数字に強くなれます。私たちになじみのある家計簿や、子供の頃につけていたお小遣い帳と、会社の決算書は全く違います。家計簿やお小遣い帳は単式簿記で計算されるのに対し、会社の決算書は複式簿記で計算されています。その複式簿記で作成された決算書を読み解くためにも、簿記の知識が必要となるのです。

さらに、会社の決算書のもととなる一つ一つ経理処理や利益に対する考え方などの、いわゆる企業会計を理解するにも、簿記の知識が必要です。企業会計が理解できることで、自分がかかわっている・かかわろうとしている事業が、利益を出している・出そうとしているかがわかります。このアプローチの仕方は、経理職以外の分野でも求められることです。

さらに、簿記を理解することで、事業計画や決算作業、税務申告などの経営に必要な知識が身にきます。これは会社の経営者層だけでなく、将来的に独立や開業を考えている人とっても必要なことです

30代女性
どんな職種の会社でも簿記の取り扱いが必ずあるため就職の幅がひろがります。また、経理担当社以外でも、簿記の知識を必要とする仕事は多いため知っていると仕事を進める上でとても有利になります。

簿記を取得して企業のお金の流れが分かると、会社が利益を出す上での自分の仕事の重要性が分かってきます。利益を出すためには何が必要かが分かれば、経費削減や細かなところまで目を向けるきっかけになります。また就職の際に決算書を見れば、この会社が成長しているのかどうかある程度判断できるようになるため、就職する前に取得しておくことで優良企業への就職にも役立ちます。

特に自営業の私は、確定申告のときに出てくる専門用語が理解できるようになり、ストレスが減りました
また、日頃から収入と支出のバランスを考えるようになるので無駄遣いが減り、本当に使いたいところにお金をかぇられるようになります。YouTubeの無料講義動画だけでも3級は2週間程度で合格することができます。

起業するにも◎

資金計画や事業計画書は会社を起業するには必須の知識ですので、当然簿記の資格が必要になってきますね。

  • 去年との売り上げ比較
  • 利益はどのくらいあるのか
  • ムダな部分は無いか

などなど、簿記の知識で数字をはじき出します。
この数字出しをいい加減にしていては、会社の雲行きが怪しくなった時に一気に傾きます。
赤字になった時にこそ、簿記の知識で数字を細かく出していきます。

そうやってどこに問題があるのかをしっかり認識する必要があります。
簿記が無ければどこに問題があるのかも知る術がありませんね。

30代女性
将来的に開業やフリーランスで働くことを考えているならば最低限の簿記知識を有していれば会計処理や確定申告などの作業に役立ちます。帳簿の読み方を理解していれば会社の財政状況なども読み取ることができるため、業績がよいのか悪いのかの把握にも役立ちます。

ダブルライセンスで差をつけることができる

簿記を理解することは事業活動のお金の流れを理解することですから、他の経営系・金融系資格を取得しやすくなります。簿記資格の取得をきっかけに、他の資格にも挑戦してください。

簿記と関連のある資格には、ファイナンシャル・プランニング技能士や、中小企業診断士などの資格があり、簿記資格とのダブルライセンスとして取得すればさらなる活躍が期待できます。

簿記を勉強することのデメリット

これまで、簿記を勉強することのメリットを説明してきました。ここでは一般的に言われているデメリットを説明します。

ある程度の時間やコストがかかる

よく言われていることは、「身につくまで多くの時間がかかる」「簡単には資格が取れない」ということです。しかし、初学者が一つの技術や知識を身につけるまで、時間がかかるのは仕方のないことです。すぐに身についてしまう技術や知識であれば、身につけようとしていることは、本当に価値があることなのか疑問に感じます。

資格取得のために受験費用がかかったり、参考書や問題集を買ったり、スクールに通ったりすることで、費用がかかることを気にされている人がいます。これも時間がかかるということと同じで、簿記資格に価値があることの裏返しと言えます。他の資格と比較しても、簿記の資格取得に特別多くの費用がかかるということはありません。

簿記資格が、資格を取得してないとその仕事に従事できない、いわゆる業務独占資格ではないことを、デメリットと感じる人がいるかもしれません。しかし、これは他の業務独占資格以外でも言えることです。

簿記資格は業務独占資格ではありませんが、経理職の求人広告には必ずと言っていいほど、「簿記資格」の文字が載っています。あながち資格を生かすのはその人次第と言えるかもしれません。

まとめ

では最後に、簿記のメリット・デメリットについてまとめておきましょう。

まとめ

メリット①就職・転職活動を有利に進めることができる
メリット②会計の専門職を目指すことができる
メリット③数字に強くなる
デメリット①ある程度の時間やコストがかかる

いかがでしたでしょうか。簿記は経理職だけでなく他の営業職や販売職などにおいても、必要不可欠な技術や知識であり、社会人としての可能性を広げてくれるもの、と言っても言い過ぎではありません。それは組織内にとどまらず独立や開業を目指す人においても同じことが言えます。

簿記の勉強はあなたを社会人として成功に導くでしょう。迷うことなくはありません。勉強してみませんか。

■監修者より一言

簿記資格取得のメリット・デメリットですが、基本的にはメリットしかないといってもいいでしょう。独学でもスクールや通信講座を利用しても、数回までの受験で試験をクリアできるならば、簿記は読者の皆様にとって将来を良いものに変えてくれるはずです。

しかし、少数派ではありますがデメリットもあることを付け加えておきます。

最も不幸なのは損切りができない人です。これは1級や税理士を目指す人に多く見られます。基本的に簿記を学ぶことで世界は広がります。しかし資格専念の生活で数多く試験に失敗してしまうと、履歴書の職歴欄が空白のままになってしまいます。このような人は、「受験するのは何回」までと後ろを決めないといつまでも受験生を送ることになってしまいます。

講師として受講生を見ていて、優秀な人ほど資格学校を早く卒業していきます。優秀とは頭がいいという意味ではなく、要領よく短期で合格していったという意味です。要領よく手早く資格を取れたということは、仕事も同じように手早く覚えていける資質があるということです。本文でも記載がありますが、ある程度のコストをかけても資格のためだけの勉強は早く卒業して、実務で輝いてほしいと思います。

記事監修

監修 川村秀俊(講座講師)

仙台大原簿記公務員専門学校を卒業後、仙台市内の税理士事務所に勤務。各種税金の計算及び申告、会計指導などの補助にあたる。その後は資格のDAIEIで日商簿記講座の講師を務め、教室でのライブ講義も担当。現在は出身地である気仙沼に戻り、Webワーカー兼簿記家庭教師として活動している。