行政書士のダブルライセンスにおすすめの資格9選

「行政書士試験に合格したけれど、次の資格へステップアップしたい」「行政書士と相性がいいのはどんな資格だろう?」
試験に合格後、このような考えが思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか。

行政書士は単独でも価値のある国家資格ですが、他の資格と組み合わせることにより、さらにその価値は活かしやすい資格でもあります。業務の幅の広さから、相性の良い他の資格も幅広い分野にわたり、多くの行政書士がダブルライセンスを所持しているというのが実情です。

今回は、それらの中からおすすめの資格を9つご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

⾏政書⼠のダブルライセンスについて

行政書士を取り巻く環境は良いものとは言い難い一方で、登録者数は増え続けているため、同業者間の競争が激しくなってきています。

そのため、従来のように行政書士の単独業務のみで生活することが難しくなってきており、 元々定年制度がないことに加えて、早期にこの状況が緩和する見込みもないので、他の行政書士との差別化を図るためにも、ダブルライセンスや掛け持ちの必要性はますます高まると予想されます。

⾏政書⼠のダブルライセンスの有効性

手がけられる業務範囲が広いのが、行政書士の特徴のひとつです。言い換えれば他の有資格者と関わる機会が多いということでもあります。

単独の資格しか所持していなければ、他の士業者と共同で案件を進めることになりますが、 ダブルライセンサーであれば、一人で業務の遂行が可能になるため、自分にも顧客にもメリットが大きいでしょう。

  • 行政書士:効率良く仕事が進められ報酬も分配しなくて良い
  • 顧客:依頼をする手間が一度で済む

以上のような利点があります。
また、自身が幅広い専門知識を持つことの証明になるので、依頼者からの信頼も高まるでしょう。

もちろん資格を取得するまでにはそれなりに勉強をしなければなりませんし、取得後も継続的な知識の更新が求められますが 、上手に活かせばそれに見合うだけの大きな収穫を得られるでしょう。

⾏政書⼠のダブルライセンスにおすすめの資格

司法書士

司法書士の主要業務の一つが不動産物件の登記ですが、その際に許認可手続きが必要な場面で行政書士の資格が活きます。

例えば新規に物件を探して飲食店を開業しようと考えた場合、飲食業の営業許可は行政書士として申請手続きを行い、 物件を買い取る形で取得するのならば、 登記を行うには司法書士の資格が必要となります。

この他に、相続の場面を取り上げてみても、遺言書や遺産分割協議書の作成は行政書士の仕事ですが、被相続人の死亡後、相続登記などの仕事は司法書士の分掌となります。

また司法書士試験の科目のうち、憲法・民法・商法が重複するため、勉強内容をお互いの資格試験勉強で活用しやすいというメリットがあります。

社労士(社会保険労務士)

社労士は、健康保険や厚生年金などの各種社会保険手続きや就業規則の作成など、企業の労務・人事に関する業務を請け負います。

社労士の資格を持っていると必然的に企業との関わり合いが増えるため、法人を顧客にしたい場合は、取得しておくと非常に有効でしょう。

具体的には、「会社経営」全般に関わる場合に両資格を活かすことができます。
初期の立ち上げ段階では、各種許認可・定款の作成などの設立手続きに「行政書士」として関わり、その後の運営では「就業規則の整備」「各種社会保険手続き」に「社労士」として運営に携わることが可能です。

中小企業診断士

中小企業診断士は、「経営コンサルタント」の中で唯一の国家資格として認められていて、経営や事業戦略の立案・アドバイスなどを行います。

行政書士に限らず、コンサルティング業務は独占業務というわけではありませんが、「国家資格」という点において、信用に重さが加わるでしょう。

中小企業診断士は試験の難易度も比較的高めで、幅広い分野から出題されますので、試験勉強を通じて、法令だけでなく経営や具体的事例についても学ぶことができます。

したがって、会社設立や店舗開業許可の手続きを顧客から請け負った際、中小企業診断士の資格があれば、行政書士の事務手続きのみに留まらず、その後の営業についても様々なアドバイスができるコンサルティング業務まで業務の幅が広げられます。

試験科目については、中小企業診断士の試験科目のうち、法令科目で「会社法」が、行政書士試験と共通しています。

税理士

税理士は、法人や個人と顧問契約を結び、クライアントに代わって年末調整や確定申告などの手続きを行います。
企業をクライアントに持ち、顧問契約を結んで毎月定額の報酬をもらうことも可能なので、経済的に安定しやすい資格といえるでしょう。

行政書士でも白色申告など部分的に財務申告の業務を行うことはできますが、法人を顧問に持つならば、より幅広い財務分野に携わることができる税理士が望ましいでしょう。

さらに、会社設立の際は行政書士として活動し、その後は税理士としての継続的関係が結べるようになりますが、事業拡大などで資金繰りが必要になった場合は、金融機関への資金借り入れの申し出などは再び行政書士が活躍することになります。その際には、詳細な財務諸表が必要となりますから、そこで税理士の知識を生かすことになるでしょう。
このように行政書士と税理士は、業務の上で非常に密接な関係のある資格です。

また、税理士資格を所持していると、無試験で行政書士に登録することが可能です。
税理士試験そのものの難易度が非常に高く、数年かかるのが通例ですが、1年に1科目ずつ合格していくということも可能なので、働きながらでも目指しやすい資格とも言えます。

弁理士

弁理士は知的財産権に関わる資格で、特許や商標権、知的相談などを扱います。

特許から得る特許料などは、町工場などで大きな資産価値を持つこともあるので、弁理士の資格を持っていると重宝され、知的財産についてのコンサルティング業務を行えるようになります。

その際に、関係省庁への許認可手続きなどで行政書士としての本領も発揮されるでしょう。

弁理士試験は短答式の一次試験、論文式と口述式の二次試験があり、試験そのものはかなり難易度が高いものとなっています。

また、行政書士試験に合格していると、論文式筆記試験での選択科目の法律が免除されます。

なお、弁理士資格を有していると無試験で行政書士に登録ができますので、先に弁理士試験に合格していると、一度に行政書士とのダブルライセンスを得ることができます。

宅建士(宅地建物取引士)

土地や戸建住宅、店舗・マンションなどの不動産物件の売買や仲介、契約・説明を行う仕事が宅建士です。

行政書士の業務のうち、飲食店の営業許認可、農地転用の許認可など不動産が絡む案件も多いので、宅建士の資格を所持していると、不動産に強い点をアピールすることができます。
逆に、行政書士のクライアントが不動産物件を探している場合に、宅建士として仲介することも可能でしょう。

試験科目の中では、宅建試験における「権利関係」が行政書士試験の民法と重複しています。

FP(ファイナンシャルプランナー)

生命保険や住宅ローン、日々の収入と支出などについて、個人のお金にまつわる相談を受ける際に役立つ資格がファイナンシャルプランナーです。

行政書士の業務の中に、相続にまつわる「遺産分割協議書」「遺言書」の作成がありますが、これらを作成する際に、ファイナンシャルプランナーの知識をベースに、資金面や財産に関する具体的な相談に乗ることができるので、円滑に行政書士の業務を進めることができます。

試験科目は重複する分野がありませんが、実務で具体的な金銭の話は出てくる場面が多いですから、ファイナンシャルプランナーの知識があれば実用的な提案ができますので、顧客にも信頼されやすくなると言えます。

簿記

簿記は決算書を作成するための一連の会計作業ですが、財務状況を把握するのであれば簿記の知識は必須と言えます。

独立開業を前提としている行政書士は、帳簿の備え付けも義務となっていますから、自身の事務所の財務状況も記帳しなければなりません。

また、クライアントとの取引の中でも、財務状況を把握する場面が多く出てくるでしょう。その際に、勘定科目の意味や、財務諸表を理解できなければクライアントの正しい財務状況が把握できませんから、最低限の簿記の知識は、身につけておいた方が良いでしょう。

簿記にはいくつか種類がありますが、比較的メジャーなのは、日本商工会議所主催の簿記検定(日商簿記)です。

上級になるほど難易度は上がりますが、法人をクライアントとするならば、知的財産権の評価や工業簿記の知識が入ってくる2級以上の知識が欲しいところです。

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定は、商工会議所が主催している各種検定の一つで、「法務部門に限らずあらゆる職種で必要とされる法律知識が習得できる」とされています。

様々な法務分野の知識を活かした実践的な問題が出題され、習得レベルに合わせて3級から1級まで分類されています。

実際のビジネスシーンを想定した問題となっているので、行政書士の実務面における法務上の具体例やトラブルがイメージしやすいかもしれません。

3級でも、民法や商法など行政書士の科目と重複する科目があるので、取り組みやすいでしょう。

ダブルライセンスのメリット

ダブルライセンスや掛け持ちの第一のメリットは、「収入が安定しやすい」ということです。
士業資格には、各々の独占業務があるため、複数の資格を持つとそれだけ受けられる案件の種類が増えます。

そのため、上記の様々な資格の中で見てきたように、ひとつの案件の中に複数の分野の有資格者必要だった場合、ひとまとめにして受注できますので、顧客に対してワンストップサービスの提供が可能になります。

受注する行政書士側としては、それをセールスポイントにすることができますし、発注するクライアントとしてもワンストップで済むので、費用やかかる時間が少なくて済むと考えられます。

また法律系士業資格は、民法や商法などを中心に重複する科目があるため、試験勉強を進める際にこれまでの知識を活かしやすいのも、メリットのひとつです。

ダブルライセンスのデメリット

ダブルライセンスや掛け持ちのデメリットの一つは、事務所の専門性や方向性がはっきりしなくなるということです。
業務の幅が広がるというのは一見良いことのように聞こえますが、裏を返せば、「何を専門としているのかよく分からない」という曖昧な印象につながる危険性があります。

また、別の士業で活動するにはそれらの入会金や会費を支払う義務を負いますから、ある程度本業で生活できる見通しが立っていないと、金銭的な負担が増えるでしょう。

また、間口を広げた結果、業務の量が増えすぎて処理しきれなくなる場合も考えられます。そのため仕事が雑になったりすれば当然信頼を失ってしまいます。仕事量が増えた場合、処理しきれるのかどうか、 またそのための対策法なども想定するべきでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

行政書士単独資格だと、どうしてもできる業務の幅が限られてしまいますから自分の選択肢も狭めてしまうことになりかねません。

今後の将来や転職のビジョンを考えた時に、行政書士と相性の良い資格を持っていれば選択肢が広がり、充実したキャリアを築き上げられるでしょう。

ぜひダブルライセンスを目指してキャリアアップ・ステップアップに踏み出してみてください。

監修 資格LIVE編集部
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