建築士試験の難易度・合格率は?一級・二級・木造建築士の違いも解説

建築士は、建築物の設計監理が出来る唯一の資格で、建設業界ではなくてならない存在です。
※士法で建築士に定められているのは建物の設計と監理である。

建築士になるには国家資格を取得することが必要ですが、その難易度は高く、より確実に合格を勝ち取るには、人一倍の努力が必要とされています。

これから、受験資格や難易度、合格率などの気になる部分をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

建築士には3種類ある

建築士資格には木造建築士・二級建築士・一級建築士があります。

まずはそれぞれの設計できる建物の違いを簡単に説明します。

  • 木造建築士:木造建築物のみ設計監理が可能。
  • 二級建築士:戸建て住宅程度の建物の設計監理が可能。
  • 一級建築士:建物の用途、規模にかかわらず設計監理が可能。
 

このように、一級建築士と二級建築士では、設計監理が可能な範囲に違いがあり、木造建築士は木造建物(一定規模以下)の設計監理に限定された資格となります。

それでは詳しくみていきましょう。

木造建築士

木造建築士は木造建築の専門家です。木造住宅の設計監理や木造の歴史的建造物等の維持管理などを行います。

木造建築士の特徴
  • 木造建築の専門的な知識を習得し、設計監理を行う
  • 二級建築士の資格があれば、木造建築士が扱える規模の建築が可能
  • 歴史的建造物や神社仏閣などの貴重な建築物の維持管理が業務にある
  • 参考書などは二級建築士試験のテキストも併用をおすすめ。独学でも合格可能
 

業務対象が「木造建築」のみとなっているため、難易度は一級、二級に比べて低く、独学でも合格が可能です。

日本の歴史的建造物や神社仏閣の維持管理は、木造の建造物の専門知識を持っている木造建築士の業務の一つとなっています。日本古来の建造物における業務に携わることができるのです。

二級建築士

二級建築士は主に一戸建て住宅の設計や施工監理を行える資格です。建築士を目指している方が最初に受験することが多い資格です。

二級建築士の特徴
  • 二級建築士の資格を持っていれば、木造建築士が扱える規模の建築ができる
  • 主に一戸建て住宅の設計・施工監理を行う
  • 最初に建築士の受験を検討している人の多くが目指す資格
  • 独学でも合格可能だが、製図試験は添削が難しい。無理せず講座を利用するのも手。
  • 二級建築士の試験は専門学校で学習してきても1回の受験での合格は困難。
 

設計製図試験は休憩なしで5時間かけて受験します。集中力の持続が非常に重要となってきます。受験対策の中に体力や集中力を鍛える対策を追加することもおすすめします。

独学で合格を目指す場合であっても、製図試験については第三者からの評価が重要となってきます。1日だけの添削講座を受け付けているネットスクールや資格学校がありますので、そこを利用することをおすすめいたします。

一級建築士

二級建築士よりも更に難易度が高くなる一級建築士の説明をします。

一般的には、二級建築士として業務経験を積んで、キャリアアップするために取得を目指す資格なので、受験生も社会人の割合が高いようです。

一級建築士の特徴
  • 一級建築士は建築規模の制限がなく、大型商業施設や病院などの大規模建築物の設計も可能
  • 建築士の国家資格の中で最も難易度が高く、独学での合格は難しい。1500時間の学習時間が必要
  • 学科試験と製図試験両方一発合格は困難。
 

一級建築士の特徴は、設計する建物の建築規模に制限がないことです。

建物規模や用途に制限なく設計監理が可能となる為、意匠・構造・設備など様々な知識が必要とされ、他の建築士試験に比べて難易度も高くなっています。

共通しているのは学科試験と製図試験があること

一級・二級・木造すべてにおいて、最初に建築計画・建築法規・建築構造・建築施工について学科試験が行われます。

そして、その学科試験に合格した人が、設計製図の試験を受けることができます。設計製図の試験に合格すれば建築士資格を取得できますが、一級建築士のみ、試験合格と実務要件が必要となります。

学科試験に合格した人は、翌年と翌々年の2年間は学科試験が免除されて、製図試験だけを受験することができます。

両方の試験を一度で合格できれば一番良いですが、学科試験だけでも合格すれば、翌年と翌々年は設計製図試験だけを受験すればよいので、覚えておくと良いでしょう。

3つの建築士試験の難易度の違い

以上のように、3つの中で一番難易度が低いのが木造建築士です。その後に二級建築士と一級建築士が続きます。

  • 木造建築士の合格率約35
  • 二級建築士の合格率約25%
  • 一級建築士の合格率約12%
 

それではそれぞれの試験の合格率と必要な勉強時間について詳しくみていきましょう。

木造建築士の合格率と勉強時間

木造建築士の合格率

実施年 学科合格率 製図合格率 総合合格率
平成30年 56.1% 59.4% 30.7%
平成29年 57.4% 64.9% 35.8%
平成28年 48.1% 40.1% 40.1%
平成27年 61.4% 56.4% 35.5%
平成26年 54.7% 50.5% 27.3%


木造建築士の合格率は
学科試験 5060%、設計製図試験 40~65%、最終合格率 3040となっています。

二級建築士試験の合格率が2025%なので、二級建築士より木造建築士試験の方が難易度は低いです。

木造建築物に特化した製図問題が多く出題されますので、特にその部分を入念にチェックすることをおすすめします。設計製図試験の難易度については、その年によって多少の高低があるようです。

木造建築士の試験に向けて必要な学習期間は、おおよそ6ヶ月~1と言われています。

参考書類の種類が少ないため、二級建築士試験の参考書も併せて学習することをおすすめします。

二級建築士の合格率と勉強時間

二級建築士の合格率

実施年 学科合格率 製図合格率 総合合格率
平成30年 37.7% 54.9% 25.5%
平成29年 36.6% 53.2% 24.3%
平成28年 42.3% 53.1% 25.4%
平成27年 30.1% 54% 21.5%
平成26年 37.9% 55.3% 24.3%

二級建築士の合格率は学科試験 3042%、設計製図試験 5355%、最終合格率 2125となっています。

学科試験・製図試験とも合格した人は20~25%になります。

独学で合格可能と言っても、合格率は低く難関であることには間違いないでしょう。

建築士試験は受験資格を得るまでにも指定科目の習得や実技経験など様々な決まりがあります。

二級建築士試験合格に必要な学習期間はおおよそ1といわれています。勉強時間にして1,000時間ほどです。

一口で1,000時間と言っても膨大な時間を要しますので、早めに受験対策を練ることをおすすめします。

一級建築士の合格率と勉強時間

一級建築士の合格率

実施年 学科合格率 製図合格率 総合合格率
平成30年 18.3% 41.4% 12.5%
平成29年 18.4% 37.7% 10.8%
平成28年 16.1% 42.4% 12.0%
平成27年 18.6% 40.5% 12.4%
平成26年 18.3% 40.4% 12.6%

一級建築士の合格率は学科試験 16~18%、設計製図試験 約37〜42%、最終合格率 1012となっています。

過去5年の総合合格率はすべて約1割です。他の建築士の合格率から見ても一級建築士試験の難易度は高いことがわかります。

国家試験全般で比較しても、一級建築士の学科試験は難関です。高度な専門知識が問われるため、製図試験よりも、まずは学科試験合格に向けて対策をとることが重要となります。

学科試験の対策が学習時間の大半を占めるようになると思われます。二級建築士や木造建築士資格との比較でも、学科試験の合格率はかなり低くなります。しっかり学習時間を確保しないといけないでしょう。

現在日本における国家資格の中でも非常に難易度の高い試験の一つとされており、必要な学習期間は少なくても1年半は必要です。勉強時間は1500時間程度と言われています。

非常に難関であり、多くの人が合格するまでに何回も受験しているのが現状です。
数年かけてチャレンジを続け、やっと資格が取得できたという人も沢山いると言われています。

モチベーションを維持して、根気よく学習することが大切です。

受験資格が変更に

建築士の受験資格は、以前は学歴をクリアしていても実務経験が必要でした。

しかし、平成30年に「建築士法第4条、第14条及び第15条」の法律が改正され、令和2年より実務経験不要で受験ができるようになりました。しかし建築士免許を登録する際には必要になりますので注意しましょう。

つまり、実務経験がなくても試験は受けられますが、建築士になるためには実務経験が必要ということです。

詳しくは建築技術教育普及センターHPをご覧ください。

少子化の影響もあり建築士受験者数自体の減少や建築士の高齢化による建築士自体の減少など、建築士が徐々に減少している背景にあり、建築士の人数を増加させることを目的として法改正されたと考えられています。

建築士を確保するために、建築士資格の合格の基準を下げてしまうと建築士の質が落ちてしまう可能性があります。

質を下げないで建築士を増やすための取り組みとして、受験者数を増やすという方針になったようです。

これからは、大学生や大学院を卒業したばかりの若い世代の受験が増加するとみられています。

時間のある学生のうちから勉強を始めると時間的にも有利となりますので、今後、合格基準点数が上昇することもあるかもしれません。

木造建築士・二級建築士の受験資格

木造建築士と二級建築士の受験資格は同じです。

  • 大学、短大、又は高等専門学校指定科目卒業者:実務経験不要
  • 高等学校又は中等教育学校指定科目卒業者:実務経験3
  • 都道府県知事が特に認める者:実務経験不要
  • 建築整備士:実務経験不要
  • 学歴なし:実務経験7年以上
 

指定された学校で指定科目を修了した卒業者であれば実務経験が不要、指定の学校で指定科目卒業者ではなくても実務経験を積めば受験が可能です。

一級建築士の受験資格

  • 大学、短大、又は高等専門学校指定科目卒業者:実務経験23
  • 高等学校又は中等教育学校指定科目卒業者:実務経験4
  • 都道府県知事が特に認める者:所定年数以上の実務経験
  • 建築設備士:実務経験4
  • 二級建築士:実務経験4
 

一級・二級建築士は通信講座や予備校がおすすめ

以上のように、建築士の難易度は高いといえます。

木造建築士であれば独学合格も可能ですが、一級・二級建築士は通信講座や予備校に通うことをおすすめします。

建築士試験は学科のみではなく製図試験もあるため、独学で全て勉強するのは厳しい部分があります。

二級建築士は合格率だけを見れば難易度はそれほど高くはないですが、やはり製図だけでも講座に通った方が安心です。

合格率も低いため、プロフェッショナルにしっかりとサポートしてもらえる講座の利用をぜひ検討してみてください。

まとめ

最後に、建築士の難易度についてまとめておきましょう。

建築士の難易度まとめ
  • 合格率は木造建築士約35%、二級建築士約25%、一級建築士約12%
  • 一級建築士は法改正により受験資格が変更され、実務経験不要に
  • 木造建築士は独学可能だが、一級・二級建築士は通信講座がおすすめ

建築士の試験は難関ではありますが、様々な企業から求められている人気のある資格です。

時代の変化に合わせて、建築士の活躍の場は広がります。

建築士の資格取得を検討されている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

■監修者から一言

一級建築士、二級建築士、木造建築士について、端的に試験難易度や合格率等について述べられており、非常に分かりやすい印象でした。
ただ、建築士を受験しようとする対象について、もう少し詳しく知りたいとも感じました。例えば、二級建築士で有れば、戸建て住宅を中心としたアトリエ系の設計事務所やハウスメーカー、工務店で活躍していること、また、一級建築士では更に専門的になり、大規模な建築を設計する組織設計事務所やゼネコン、ディベロッパー等で活躍していることが記載されていれば、建築士をこれから目指そうとしている読者が自身の将来に照らし合わせイメージしやすいのかなと感じました。
また、勉強時間については、受験する環境によっても大きく異なっていると感じております。一概に何時間必要と言うのではなく、この場合はこの程度と分かりやすい物差しが有れば更に分かりやすかったように思います。

監修 onearhi

芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。
一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
一級建築士建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。
2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

Twitter:@0ne_archi