一級建築士試験の勉強時間、受験対策、独学や資格学校の比較について徹底解説

今回は一級建築士になるためには勉強時間はどれぐらい必要なのか、受験対策や費用について、一級建築士の「onearhi」さんに自身の体験談を含めて解説して頂きました。

一級建築士試験の勉強時間は?

一般的な勉強期間

一級建築士試験は難易度が高く、勉強範囲も広いため、どの程度の時間をかけて勉強する必要があるか想像がつかない方が多いかと思います。
受験する人の職場環境や、その人の基礎能力などによっても大きく異なってきますが、私の所属する組織設計事務所の合格者パターンとして、週1〜2回資格学校へ通い、それ以外は仕事が終わってから毎日数時間勉強するイメージで、週に20時間程度勉強しています。
それが試験の8ヶ月前頃からスタートしますので、合計700時間~800時間の勉強をしていることになります。

上記は組織設計事務所に所属する若手設計者の一般的な例ですが、一級建築士を目指される方の大半は、志が高く、理工系大学出身の比較的偏差値高目の方が多いと思います。
また、実務で一級建築士を必要とされている環境の方々が多く、建築技術環境普及センターホームページ調べでは、一級建築士試験に合格される職種の割合は、建設業・設計事務所の2業種で全体の約6割以上を占めている結果です。

よって、建設業や設計事務所のような専門分野の職場環境の方で約700時間~800時間かけ合格していることになりますので、環境が異なればそれ以上に勉強する必要があるかと思います。

体験談

私の場合は、一級建築士を一発合格することが出来ましたが、経歴が少し変わっていまして、芸術大学出身で大学入試時も一般教養が苦手だったのでデッサンで入学出来る大学を選び、大学時代もろくに勉強もしていませんでした。

資格学校で出会った一級建築士を受験する方々を見ると明らかに基礎能力が違うなって感じておりました。
当時、ハウスメーカーに所属しておりましたので、一級建築士の資格まで必要では無い環境で勉強を始めましたが、なかなか勉強時間を確保することが難しい状況でした。

しかし、一級建築士を取得し建築士事務所を開設したいと本気で思っていましたので、ハウスメーカーを退社し勉強に集中することにしました。
週に2回資格学校で勉強し、それ以外は、ひたすら近所の図書館にこもり勉強していました。
毎日8時間程度は勉強していましたので、週50~60時間程度は勉強していたと思います。

それを失業手当がでる期間の3ヵ月休みなしで勉強しておりました。失業して3ヵ月経たない頃に、資格学校で出会った組織設計事務所の方にスカウトされ、現職場に入ることになりました。
それからは、勉強時間が減りましたが、実際に一級建築士として活躍される先輩方と実務を経験しながら勉強できたことは非常にメリットになったかと思います。

時間的には、失業時の週50~60時間から週20~30時間の半分程度に落ちましたが、合計の時間としては、1300時間を掛け合格することが出来ております。
私のような基礎能力が低い場合、一般的に一級建築士を目指す方の約2倍の時間を掛けてようやく合格できたことになります。

よって、一級建築士試験に合格する勉強時間については、職場の環境や基礎能力の違いで倍程の時間差があり、一概には言えない所ですが、基礎能力があり専門分野の職場環境の方でも700時間以上は勉強していることを目安に考えるのが分かりやすいかと思います。

一級建築士受験の対策はどうする?

一級建築士受験

私が受験した17年前は、過去問題集を何度も往復し、過去問マスターになれば合格できると聞いておりましたので、とにかく過去問をマスターすることに注力しておりました。

最近は、過去問題集だけでは対応しきれない問題が出ているような情報もありますが、今年合格した後輩の意見を聞いてみると、過去問を集中的に勉強し合格できたと聞きました。

やはり、現段階も過去問からの出題が多く過去問を中心に勉強していれば対応できると考えられます。
とにかく、過去問を何周するかの目標を立て、それに向けてどの程度の時間が必要かのスケジューリングを立てて勉強することが合格への近道かと思います。

具体的なスケジューリングについては、過去問を部分的にやってみて1問あたりにかかる平均時間を凡そ把握します。
それから、10年分の過去問の問題数を把握し1問あたりに要した時間を掛けると過去問題集1周にどの程度の時間がかかるか把握できます
それを何周するかの目標を立てれば、1日あたりどこまですればよいかが見えてくると思います。

最初は10年分の過去問を1周するだけで、かなり時間がかかると思います。
1周目はわからないところを調べながら進めることになると思いますので、特に時間がかかると思います。
ただし、2週目はかなりスピードが上がってきますので、苦手分野の問題について時間を掛けるように取り組むことで、苦手分野の底上げを図ります。
3周目となるとさらにスピードが上がってきますので、理解度をさらに深めることになり、応力がついてくると思います。
よって、過去門を何度も往復するのは、非常に有効な手段だと思います。

また、年々試験問題の難易度が上がってきていると聞きます。
過去問をそのまま覚えるのではなく、一歩踏み込んだ理解が重要だと思います。
一級建築士を初めて受験するような実務期間も少ない若手であれば、なかなかイメージがつかないものが多いかと思いますが、私が思う近道はやはり問題集やテキストを何往復もし理解を深めることと、もし近くに一級建築士として実務で活躍されている先輩がいるのであれば、その人の話を聞くことが有効だと思います。

設計製図試験

設計製図試験についても、製図が苦手な方については、学科試験同様過去の問題に対する模範解答をよく研究し何度もトレースすることが近道になるかと思います。
意匠設計者にとっては、普段考えていることですので、勉強せずとも合格できる方は一定数存在すると思いますが、普段から設計に携わらない方は、とにかく慣れることだと思います。
建築技術教育普及センターホームページでも、過去の問題と標準回答例がダウンロード出来ますので、それらをよく研究することです。

設計製図については、空間構成が非常に重要とされています。
それは実務でも一緒で、建築物の配置計画・動線計画・要求室の配置・立体構成(断面立面の整合等)が要求通り満足しているものを時間内にアウトプットできるかどうかが合格の可否につながります
設計製図についても、学科と同様で何度も繰り返し練習し理解を深めるしかないと思います。

一級建築士の勉強にかかる費用は?

独学で勉強する場合は過去問題集やテキストを購入する程度ですので、数万円あれば買いそろえることが可能だと思いますが、資格学校に通う方が圧倒多数だと思います。

資格学校の大手2社としては、日建学園と総合資格学園があります。
ネットで調べると、その他、数社ありましたが、やはり大手2社のどちらかに入る方が多いのではないでしょうか。

ただし、2社とも、かなり高額な学費が必要です。
入学するプランにもよりますが、どちらにしても学科・製図合わせると100万円前後が必要となります。
一年目合格できなければ、その次年度も何十万円もする金額を支払い、再挑戦する方が多いと思われます。
さすがに、2、3年続けて落ちますと、それ以降は独学で勉強しようとしますが、独学ではなかなか難しく、すぐには合格しない傾向があると思います。

そうなってきますと、一気にエンジンをかけて勉強するタイミングを失い、10年以上かかるような方もいます。
私の周りでも10年以上かけて一級建築士に合格する人や、10年以上かけても合格できていない人もいます。
よって、1年目、2年目に全てをかけるつもりで受験することが最も重要なことかと思います。

まとめ

実際に実務を行う立場から思うことは、やはり生きた知識を身に付けてほしいと思っています。
勉強だけの知識では、実務に生きてきませんので、出来れば実際の現場でどのように使われているかを体験することや、一級建築士として活躍している方の話を聞いた上で理解を深めていくことが望ましいと思います。
そうすれば、多少変化球の問題がでても対応できる知識になっていると思います。

一級建築士を取得する為に700時間以上の時間を費やすわけですから、それが受験だけで終わってしまうのはあまりにももったいない。
社会に貢献できる建築をつくれるのは一級建築士だけですので、700時間以上かけて身に付けた知識がそれら建築に活かされることが最も望まれる形だと考えます。

執筆・監修 onearhi

芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。
一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
一級建築士建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。
2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

Twitter:@0ne_archi