建築士とは?仕事内容、業務や仕事の魅力、専門・種別・分野ごとの相違点について徹底解説!

今回は建築士とは?というテーマで、仕事内容、業務や仕事の魅力、専門・種別・分野ごとの相違点について一級建築士の「onearhi」さんに自身のことを含めて解説をして頂きました。

建築士について

「建築士」とは、一般的にはあまり認知されていないように思われます。

「建築士」と聞くと、建築家、設計士、大工、棟梁のようなものをイメージされるかもしれません。又は、一級建築士、二級建築士が知られているかと思いますが、法によって、どのような業務と種別があるかは定められています。

建築士法第一条に、「この法律は建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もつて建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。」とあります。また、建築士法第2条では「建築士とは、一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう」とあります。

また、建築士の種別として、建築士法第二条では一級建築士、二級建築士、木造建築士以外にも建築設備士や構造設計、工事監理の専門分野の内容も定められており、同法第十条の二の二では構造設計一級建築士、設備設計一級建築士が定められております。

上記の種別については、設計できる範囲により建築士の種別が分かれておりますが、それ以外に同法第二十四条では管理建築士が定められており、これは設計事務所を開設する場合に必要とされています。

上記のように法律で示されている内容は難しく感じますが、要は「建物の設計、工事監理等を行うもの」を建築士とさししめします。その中で「工事監理等」については、施工分野も含まれると考えられますが、今回は、主に設計・監理の視点で解説していきたいと思います。

 また、建築士法では一級建築士、二級建築士、木造建築士、建築設備士、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士、管理建築士と建築士の種別の記載がありますが、それ以外にも建築士の種類は沢山あります。

建築士の種別について

建築士については、先に挙げたように級の区分だけでなく専門分野での種別も存在します。

建築士法で定められている建築士以外にも専攻建築士やAPECアーキテクト等沢山の関係資格がありますので、簡単に紹介したいと思います。

建築士の種別、設計出来る範囲等については、細かくは建築士法等に定められておりますが、読み込むが非常に難しいので、下記は非常に簡単に示しています。すべてではありませんのでご注意ください。

【一級建築士】

建築物の設計監理業務を行う。(建物の規模や用途にかかわらず設計監理が可能)

【二級建築士】

2階建1,000㎡以上の大規模建築物や、学校病院等の特殊建築物の設計監理は出来ない。上記のような一定規模未満の建築の設計監理業務を行う。

【木造建築士】

木造以外の建築物は設計できない。また、二級建築士と同様に大規模建築や特殊建築物の設計監理も出来ない。上記のような一定規模未満の木造建築の設計監理業務を行う。

【構造設計一級建築士】

一定規模以上の構造設計をする場合に関与が必要。

【設備設計一級建築士】

一定規模以上の設備設計をする場合に関与が必要。

【管理建築士】

建築設計事務所を開設する時に必要となる。

APECアーキテクト】

APEC域内での共通の称号で、実務経験等が一定以上あると認められるアーキテクト。

APECエンジニア(構造)】

APECアーキテクトの構造技術者専門版。

JSCA建築構造士】

日本建築構造技術協会(JSCA)の責任において社会に推薦しうる構造設計者。

【建築積算士】

日本建築積算協会が発行する民間資格。建築積算のスペシャリスト。

【建築コスト管理士】

建築積算士同様の民間資格。建築の数量積算だけでなくコストマネジメントも行う。

【建築基準適合判定資格者】

建築確認申請における建築計画が建築基準法や関係規定に適合しているかの検査を行う。

【建築設備士】

 建築設備(電気設備、衛生設備、空調換気等)の設計、監理業務を行う

【インテリアプランナー】

 インテリアの設計、監理業務を行う

上記以外に、日本建築士会連合会で専攻建築士制度を自主的に定められております。専攻建築士制度では、下記に示す専門分野が設けられています。

【まちづくり専攻建築士】

 都市計画等にかかわる開発事業や、まちづくりの企画調査等のコンサルタントを行う。

【統括設計専攻建築士】

 建築の設計及び工事監理を行うもの。組織設計事務所の意匠設計担当。

【構造設計専攻建築士】

建築の設計及び工事監理を行うもの。特に構造分野に特化したもの。

【設備設計専攻建築士】

建築の設計及び工事監理を行うもの。特に設備分野に特化したもの。

【建築生産専攻建築士】

建築施工分野及び建築積算分野にかかわる業務を行う。

【棟梁専攻建築士】

社寺建築、数寄屋建築等の伝統木造技術を継承し、設計、監理を行う。

【法令専攻建築士】

法令の策定、建築確認、住宅性能評価等に係る業務を行う。

【教育・研究専攻建築士】

大学等の教育機関にて建築に関する教育や研究等に係る業務を行う。

上記のように、建築士の種別が多々あり各専門分野の建築士が存在します。私の場合は、中規模、大規模の公共建築物の設計監理業務を行う立場ですが、一級建築士、管理建築士、インテリアプランナー、建築積算士の資格を有しております。

これらの資格があれば、大体の建物の設計は可能です。それ以外に、法令専攻建築士や統括設計専攻建築士、APECアーキテクトの資格があれば更に信頼度が上がるかと思います。

建築の設計監理を行う上で、上記のような沢山の資格が存在しますが、法で建物規模・用途によって設計監理の可否が定められているので、一級建築士の資格がなければ法的に設計できないことがあります。よって、建物規模等制限なく設計をする必要があるのであれば一級建築士は必須の資格となります。

仕事内容、役割について

建築士の仕事内容については、昨今特に『専門分野への専業化』への動きになりつつあると感じております。

小規模住宅の設計であれば、一人の建築士が設計、構造計算、設備計算、積算、申請まで全て担当する場合がありますが、中規模から大規模な建築物になると各専門分野の建築士がそれぞれの分野を担当し、一つの建築物を設計完成させるまで多くの建築士が関わります。

具体的には、大規模な建築物を設計する場合、意匠設計者、構造設計者、設備設計者、積算担当、BIM担当、申請担当等それぞれの専門分野の建築士と調整を行いながら進めて行きます。

それぞれ担当分野をの仕事内容を簡単に示すと下記のイメージです。

意匠設計の仕事内容は、その建物の建設する敷地に対して法令的なチェックを行い、クライアントの意見を聞き具体的な形にしていきます。形にする際に、使い勝手や機能面と避難や防火等の法令面の確認、それから構造的な確認や経済面を考慮に入れてデザインしていきます。

凡その形が見えてきますと、更に詳細に設計を進める中で、構造計算や設備計算を行います。

構造計算では、その建物に求められる諸条件(積載荷重や、積雪や風圧等の法令条件、耐震安全性や、津波等への対応)を整理し、柱や梁等のサイズや配筋等の仕様を設定していきます。

それらは、一級建築士の資格を有する構造設計者が担当しますが、規模によっては構造設計一級建築士の関与が必要と法で定められております。

構造的な条件が固まりますと、それらをデザインの中に落とし込み、具体的な平面図や断面図が出来ていきます。

構造計算と同時進行で、設備計算も行います。

凡そのプランを基に、その建物に求められる設備条件(その地の気候条件、その建物での熱源条件、それらを考慮した空調設定、電源容量、省エネの目標値等)を整理し、空調換気、衛生設備、電気設備等の配管ルートや機器の配置を設定し、平面図や断面図に反映していきます。

上記で計算された構造と設備の情報を意匠設計で統合し、徐々に詳細設計を詰めていく作業を行いますが、それぞれ計算結果によってはプランを見直す必要が出てくる場面も多々あり、それらのトライアンドエラーを繰り返し詳細図面が出来ていきます。

最近では、それらの調整を3Dで確認しながら設計を進めることもあります。そこで登場してくるのがBIM担当です。意匠的なデザイン面から、構造部材、設備環境等もBIMで一元管理し、3D化された設計図を確認しながら進められますので、より整合性やデザイン性の高いレベルの設計図ができることに繋がります。

意匠設計、構造設計、設備設計が凡そ収束してくると次はコストをはじき出す為の積算業務に移ります。

大規模な建築物になってきますと、積算担当の中でも、構造部材専門、建具部材専門、内装部材専門等、計上する部材ごとに専門分野が分かれています。それらを全て集計し、建築コストを算出します。

一般的には、積算で算出されたコストが問題なければ、申請作業を行いますが、積算をせずに申請を先に行う場合もあります。

全体工程との調整により、それらはケースバイケースで異なりますが、設計が出来ていなければ積算も申請も出来ませんので、まずは設計を完成させる必要があります。

申請作業では、建設地によって様々な条例や届出があり、建設する所管行政庁と毎回事前協議を行い、申請工程を調整し全体工程へ組み入れます。

この申請作業の中でも、建築物の確認申請以外に、省エネ計算やCASBEE等の環境にどれだけ配慮しているかを示す内容もあり、設計者以外の専門家が計算を行う場合もあります。

また、景観法や騒音振動法等さまざまな関係法令があり、それらを全てクリアしていく必要がありますが、それらは意匠設計担当者が担当する場合と、申請関係を専門に業務として請け負う協力会社へ発注する場合もあります。

それら実施設計、積算業務、申請関係が全てクリアされ、工事着工の運びとなり、施工中は設計図通り施工されているかの監理を行い、建築物が完成されていくこととなります。

建築士の仕事の魅力について

建築家と呼ばれるような立場で、建築をデザインするのは建築を志すものとして、また建築が好きな方は憧れると思います。

また、出来た建物の外観が美しく雑誌に掲載されるようになれば設計者にとっても仕事のモチベーションも上がる事かと思います。周りから見ても非常に魅力的な仕事に見えるかもしれません。

ただし、建築はデザインだけでなく、発電所やスカイツリー等の設備の機能面から導き出されるものもあります。それらは、様々な専門家が集結し、歴史に残るような建物に成長・熟成していくことを目指して各専門分野の建築士は日々設計に明け暮れているかと思います。

建築士は上で述べたように多岐に分類されていますが、どの分野であっても、社会に貢献する建築物を完成させる目的は同じで、一つの建築物を要求されている機能面が満足され、地震や津波に対しても安全に長期間耐えうるものを造ることを目的に設計を行います。

また、それが出来るのは唯一建築士という職だけになります。それは、社会に貢献することに繋がり大変やりがいのある仕事だと思います。

執筆・監修 onearhi

芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。
一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
一級建築士建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。
2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

Twitter:@0ne_archi