建築士の平均年収・給料・収入は?所属する企業規模や職種別も比較解説!

今回は「建築士の年収・給料・収入」についてというテーマで、一級建築士の「onearhi」さんに自身のことを含めて解説をして頂きました。

建築士の年収・給料・収入について

建築士の年収については、ネット上で平均年収や業種別年収等々調べれば大凡の内容は把握出来ます。

ただし、それらは平均的な内容で実際はもっと上下の振り幅が大きいのではと感じています。

今回は、サラリーマンでの建築士の給料と独立開業した建築士の給料について実例を交えて紹介したいと思います。

まずはサラリーマン建築士の場合、平均的には一級建築士で640万円と言われています。

これは、所属する企業規模や職種によって大きく異なりますが、組織設計事務所とハウスメーカーとゼネコンでの例で見比べて行きたいと思います。

ハウスメーカーの場合(30歳代平均)

平均年収 500万円~600万円(大手ハウスメーカーの場合)

残業時間 40時間以上

メリット

他の職種に比べて、若くからスケジュールの管理が個人の裁量に任されるところが大きいかと思われます。

展示場や事務所に出勤する以外に、客先や現場に出向き、そこから帰宅するなど、自分のペースで仕事ができるという点については、会社から拘束されている感じは少ないと思われます。

また、報酬制度も他業種に比べ成果給の割合が大きいのも特徴だと感じます。20代で1000万円近く稼ぐ方もいらっしゃいます。

デメリット

住宅を購入されるお客様を相手にしますので、土日祝関係なく打ち合わせや内見を行います。

また、打ち合わせは、お客様の勤務時間終了後に行うことが多く、残業が多くなります。

メーカーによっては、営業が間取り図を作成しますので、打合せ後にそれらの作業を行うと帰りは次の日になることもあります。

成果に対する報酬が多いのが特徴ですが、報酬が高ければ高い人ほど激務であることは間違いありません。また、逆に報酬が少ない方は早く帰れますが、年収は300万円程と一気に低くなります。

ハウスメーカーの特徴は平均年収500万円から600万円とありますが、実際は1000万円稼ぐ方もいれば、300万円の方もいる上下幅が非常に大きなところだと感じます。

組織設計事務所の場合(30歳代平均)
 

平均年収 600万円~700万円(大手の場合)

労働時間 40時間以上

メリット

個人では出来ない大規模な建築物を設計出来ることが1番の魅力かと思います。

組織設計事務所ではオフィスビルを得意としている事務所や空港を得意としている事務所等、それぞれの事務所で特徴がありますが、街のランドマークになる様な建物の設計は誰にでも出来ることではないのでやりがいや出来た時の達成感は他の職種に比べ大きいのではないかと思います。

また、全国各地で建物を設計しますので、様々な地域へ出張出来、各地の風土に触れることが出来るのも魅力の1つではないでしょうか。年収面ではハウスメーカーとは違い成果給に対しての上下幅が少なく安定していることです。

デメリット

ハウスメーカー同様に激務であることは変わりありません。コンペ提出時期や成果納品時期は徹夜で作業することもあります。住宅設計に比べ、設計期間や工事期間が長期に渡り、プロジェクト開始から建物完成まで何年もかけて設計監理に携わります。長いプロジェクトでは10年超えでやっと完成するケースもあります。その為、1つの物件が完成した時の達成感は大きいですが、それを感じられるまでかなりの時間を要することもデメリットの1つになるのではないでしょうか。

ゼネコンの場合(スーパーゼネコンの場合)

平均年収 700万円~900万円(30歳代)

残業時間 60時間以上

メリット

建設業界では最も収入が高い職種だと思われます。組織設計事務所と同様に、個人では出来ない大規模建築物のプロジェクトに携われることが大きな魅力になるかと思います。

デメリット

とにかく過酷な所だと感じます。土曜日も現場は動く所が多く、平日も朝早くから夜遅くまで現場で作業をされています。また、現場は全国各地であり一つのプロジェクトごとにその現場に張り付くことになりますので、家族との時間が殆ど取れていないように見受けられます。過酷な分収入は比較的高くなりますが、家族との時間を優先したい方は難しい職種になるかと思われます。

以上、これらのケースでは、一級建築士は他の職種より比較的高収入でやりがいもある職種かと思います。ただし、一級建築士を有している時点で野心を持った方が多いかと思いますので、もっと自分の作品を残したいと思う方や、もっと自分で経営をやってみたい、もっと稼ぎたいと思う方は会社に所属するより独立開業を考える方が多いのではないでしょうか。

独立開業した場合の給料

では、次に独立開業した場合の給料について考察していきたいと思います。

一級建築士として独立する場合、アトリエ系事務所として主に住宅を設計するケースと、大規模建築物を設計するケース、もしくは、大手設計事務所の協力事務所として下請けになるケースの3ケースが多いのではないかと思います。

独立開業後の設計事務所は様々で収入面も大きな差がありますので、最もポピュラーな住宅設計を中心に取り組むアトリエ系設計事務所について詳しく見ていきたいと思います。

一級建築士として独立する場合、いきなり仕事があるわけではありませんので、一般的には元職場から仕事をもらったり、元職場で担当した物件の建設会社や客先からお仕事をもらったり、または、家族・友人の家を設計したりすることが多いかと思われます。徐々に実績を積み上がってきますと、友人等からの紹介や、ホームページからの問合せが徐々に増え更に実績を積み上げていくようなイメージかと思います。

収入面については、どれだけ仕事が受注できるかによります。

開業当時から、何件も受注できないことが多いので1年目は年に1件か2件程度になるかと思います。その場合、一般的な住宅建設費は3000万円前後で、設計料はその10%程度が一般的ですので、1件あたり約300万円の売上となります。

そこから経費が引かれますが設計事務所の場合、事務所にパソコンとプリンタさえあれば、凡そは事足りますので、他の職種に比べ経費が安くすむ特徴があります。凡そ50%程度と言われていますので、一人で設計事務所を開設し、年1件受注売上出来た場合、年収は約150万円となります。

これだけでは食べていけませんので、年間複数件こなす必要があります。

単純に年間5件受注・売上出来たとして750万円となります。ひとりで受注活動から設計、監理までこなすとなると年間5件が限界だと思いますので、スタッフを増やし売上を増やしていく必要がありますが、スタッフの費用がかかりますので、それ程劇的に年収が上がることはないと見受けられます。

よって、アトリエ系の設計事務所として、年間5件以上をコンスタンスに受注できる比較的順調に経営出来ている所長の年収は700万円から1000万円程度だと考えられます。

収入面では、サラリーマン建築士と大きく変わらない結果ですが、やはり仕事のやりがいや達成感は大きいものがあると思われます。また、自分自身の事務所で、自分の作品を作れますので、建築士としては最も憧れるところであります

まとめ

サラリーマン建築士と独立開業後の建築士を紹介してきましたが、上記以外でも、多様な働き方が出てきていると感じます。

昨今、働き改革の波が建設業界にも押し寄せてきており、残業時間の削減のため外注比率が高くなる傾向があると思われます。また、副業推進の動きもあり、企業に所属しながら副業で大学の非常勤講師、図面作成補助等の職能を活かした副業をされるサラリーマン建築士も見受けられます。

私自身も普段は公共建築物を設計する一級建築士としてサラリーマンをしておりますが、空いた時間に建築系webライターとしても活動しています。

お小遣いにもなりますし、文章力の向上にも繋がり本職の方にもいい影響を与えています。サラリーマン建築士のいい所は、メインの収入が安定しているので、サブの収入にそれ程依存する必要がない所です。

新しい事業を始めるにしても、失敗しても大きなダメージを受けない所だと思います。

多様な働き方が進む一方で、企業によっては夜遅く休みなしの働き方をしている所もまだまだ多いと思います。その場合は本業だけで精一杯となり副業どころではないかと思いますが、個人的には建築士として成長する為にそれぐらいする時期は必要だと感じています。

私の周りの建築士でも、仕事の出来る方は普段から努力している人であり、やはりそこにいい仕事が集まって来ています。

建築士としては、収入面ももちろん大事ですが、いい仕事に巡り会うことが非常に重要で、自分の設計した建物が作品となり今後の建築士人生を決定つけると言っても過言ではないと思います。

いい仕事に巡りあうには、日々目の前の建築に対して一つ一つ丁寧に創り上げ、それを積み上げていくしかない地味な作業の連続ですが、それがいい仕事に繋がり、巡り合い、最後に収入に繋がっていくものだと感じています。

執筆・監修 onearhi

芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。
一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
一級建築士建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。
2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

Twitter:@0ne_archi