AIに奪われる!? 社労士の需要・将来性は実際どうなの?

「AIが人に取って代わる・・・」と語られることが多くなりました。
AI技術の進歩は目覚ましく、果たして社労士の仕事の将来はどうなるのか、と不安を感じる方もいらっしゃると思います。

ご安心ください。社労士の仕事はなくなりません。それどころか、ますます存在感を高めていくと予想されます。

この記事では、その根拠を丁寧に解説していきます。
また、将来においても活躍できる社労士になるためには、どうすれば良いのか?という疑問にもお答えしたいと思います。

まず、社労士の将来性を3点に集約してみましょう。

  • 社労士の業務も、一部はAIなどに代替される
  • 社労士の仕事の一部が需要を高めていく
  • 社会の変化が社労士の将来性を高める

では、これらの根拠を、以下の目次項目にしたがって解説していきましょう。

目次
  • 社労士の将来性
  • 社労士の仕事にはどのようなものがあるのか
  • AI技術進化の影響
  • 開業社労士の将来性
  • 今、社労士を目指すべきなのか?
  • 社労士の将来性をまとめると

社労士の将来性

最近、IT化によって事務作業の効率化が進み、社労士の仕事も減っているという記事を見かけることがあります。

社労士の仕事は、書類作成、提出や人事・労務関連についてのコンサルティングなどが中心です。そのうち、定型的な書類作成業務などがITツールによって完結でき、人手が不要になる可能性はあります。

では、社労士の仕事はどんどん減少していくのでしょうか?

社労士の未来は明るい

一般的なイメージとして、社労士の仕事は労働・社会保険関係書類の作成、給与計算書などの作成が主な仕事であると思われがちです。

企業は、事務手続き上の書類作成作業などにはできるだけ経費をかけたくないものです。社労士のような専門家に高い報酬を支払って依頼することのメリットは少ないでしょう。

しかし、社労士の仕事はそれだけではありません。労務の専門家として、企業を支える人事の分野で重要な役割を果たしているのです。

社労士の未来は、事務手続き作業にあるのではなく、人事・労務のプロフェッショナルとして企業経営に貢献することにあります。少子高齢化により、労働力不足、優秀な人材確保が困難になることなどを背景として、社労士の需要はますます高まっていくでしょう。

社労士の仕事の幅が拡大

市場での競争だけでなく「働き方改革」も求められる企業にとって、社労士のコンサルティング業務は今後ますます重要になるでしょう。

法律や制度が様々な形で行われ、労働環境を改善し、労働者の権利を守る仕組みづくりが進んでいます。これは、雇用する側である企業にとって、利益に相反する内容もあるでしょう。

しかし、世の中の変化と企業の将来を守るために、専門家として適切な提案や助言を行うことが社労士の役割です。企業が社会の変化に対応しつつ、存続するために社労士の役割はますます重要になるでしょう。

AIの影響

では、AIによる仕事の減少の影響はあるのでしょうか。AIの進化は、単純な作業に留まらず、コンサルティング業務にも対応できる可能性があります

しかし、現実には社労士によるコンサルティング業務は減少しないでしょう。それは、扱う問題の解決方法が蓄積されたデータから導き出せるものではないからです。つまり、企業を構成する「人」に深く関わる問題だからなのです。

規定や慣習などで答えが明確な相談であれば、AIでも対応が可能でしょう。しかし、人の感情や、個人的な背景などデリケートな問題は人でなければ難しいと言えます

社労士の仕事にはどのようなものがあるのか

社労士の仕事は、労働・社会保険関係書類の作成、提出手続き、給与計算などの仕事が定型業務としてあります。さらに、年金や職場環境改革についての相談対応や助言などで貢献しています。

つまり、企業が抱える社内の問題を解決に導くのが社労士の仕事と言えます。そのために、高いコミュニケーション能力とAIを活かすためのITスキルを持つことが求められます。大変ではありますが、非常にやりがいのある仕事だと言えるでしょう。

また、社労士にしかすることが許されていない「独占業務」があり、これも社労士の特長です。

「独占業務」とは?

では、その「独占業務」とはどのような内容なのでしょうか。

社会保険労務士法第2条に、労働関係や保険手続きに関する書類作成や手続きを代理することを業務とすることができると規定されています。「独占業務」は、その内容別に、1号業務と2号業務に分けられています。

  • 1号業務

1号業務は、労働社会保険関係諸法令に基づく提出書類の作成及び提出手続きの代行業務です。

作成した書類を官庁に提出し、調査などあれば事業主に代わって主張や陳述を行うこともあります。

  • 2号業務

2号業務は、帳簿書類の作成業務です。主に、就業規則、労働者名簿、賃金台帳などの作成です。

当然専門的な知識が必要ですし、精度の高い書類を作成をすれば官庁とのやりとりもスムーズになり、企業からも高く評価されます。

将来性が高い「3号業務」

「3号業務」とは、企業の人事・労務管理上の相談に対して、適切な助言や改善提案などを行う業務です。いわゆるコンサルティング業務です。

近年、雇用形態の多様化で、派遣などの非正規社員の賃金や処遇について多くの問題が発生しています。また、社員の教育や評価制度などの人事上で対処するべき問題もあります。これらはまさに、社労士の力が発揮して対応するべき問題です。

また、3号業務には、企業内の問題だけでなく、年金問題などの個人からの相談への対応も含まれています

以上のように、「3号業務」は社労士の仕事の中でも特に将来性があると言えます。

AI技術進化の影響

将来、AIの発達が人の仕事を奪っていくと言われていますが、機械では代替できない仕事もあり、以下の3つはその代表です。

  • クリエイティビティ系
  • マネージメント系
  • ホスピタリティ系

まず、経営者と労働者間にある様々な問題はデリケートであることが多く、想像力を働かせる必要があります。そこには、クリエイティビティが求められます。

マネージメント、すなわち経営上の諸問題に対処して行く仕事はAIではできません。社労士は社長をはじめとる経営幹部と協力して問題解決に臨みます。

3つのうち、2つの要素を持つ仕事に携わる社労士は、決してAIに代わられることなく、それを活かしてより活躍できる将来性豊かな仕事だと言えるのではないでしょうか。

開業社労士の将来性

社労士として、独立開業することに不安を感じる方もおられるでしょう。

毎年のように改正される法律、多様化する雇用形態、社会保険制度の複雑化などへの対応は、企業が社員だけで行うには時間的にもコスト面でも困難になっています。

従来のように、独占業務だけでは十分な収益を見込むことができないと思われます。しかし、3号業務を強みにしていけば活躍の場は広がるでしょう。

ただ、それには他の社労士との差別化が必要です。例えば、行政書士とのダブルライセンスコンサルティングの実務実績などを武器に営業できれば良いでしょう。

これからの開業社労士には独占業務だけでなく、3号業務にプラスαの能力が必要となるでしょう。

今、社労士を目指すべきなのか?

社労士試験に合格するために必要とされる勉強時間は、およそ1,000時間と言われています。1日2時間、休日6時間としても330日が必要です。したがって、期間として、1年程度は見込んでおくことをおすすめします。

現在の仕事、また他の資格を取得することと比較して、本当に挑戦する価値があるのでしょうか。合格率は6%程度で、1年間の準備が必要なのです。

しかし、先に紹介したように、社労士の仕事の需要は今後ますます高まります。将来性は十分なのです。

実際、社労士の平均収入はかなりの高水準です。厚生労働省の基本統計調査によれば、直近10年の平均収入は約670万円です。独立した場合には、年収1000万円を超える人もおられます。

将来性、収入などを考えると、社労士は十分目指すに値する資格ではないでしょうか。

社労士の将来性をまとめると

最後に、社労士の将来性についてまとめましょう。

まとめ

・AI技術の進化で、「独占業務」の多くがなくなる
・3号業務の需要は拡大し、社労士の中心業務となる
・ダブルライセンスや実務経験等があると間違いなく有利

先行きが不透明な時代ではありますが、今後も必要性が高まるであろう社労士を目指してみませんか?ぜひ1歩を踏み出しましょう!

■監修者より一言

結論として手続きなどの一定の業務はAIなどに代替される可能性が極めて高いものの、コンサル業務等はAIでは代替しきれないということです。

仮にAIによって代替ができたとしても、社労士が行うことにより付加価値の提供ができるということです。そうなると逆に社労士へのニーズが高まってくるでしょう。スピードの面では社労士はさすがにAIを超えることはできません。

しかし、+αの提案力を始め、AIの普及が進むことにより逆に人同士で仕事を進めることのニーズが高まってくるものと考えます。人は感情の生き物であり、今後も変ることはありません。機械的な対応では、人の感情を動かすことは難しく、逆に不信感を増長させてしまうこともあり得ます。よって、人である社労士が間に入ることで双方の合意を形成し、より納得感のある職場を形成していくことが可能と考えます。

監修 片野 則之

関東学院大学卒。社会保険労務士事務所NKサポート代表。開業社会保険労務士として、中小企業を中心とした人事・労務コンサルティングを行う。

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