社労士資格があれば就職しやすい?〜就職先や活躍の場を紹介~

「社労士になることに憧れるけれど、実際の就職率はどうなっているんだろう?」

受験生時代、このような不安を感じたことがある人も多いかもしれません。

資格取得が就職に有利と言われつつ、実際にはそのような成功例を身近で聞くことはあまりないからです。

今回は、社労士資格取得後の就職状況についてお話します。

ただやみくもに資格取得を目指すのではなく、それを上手に利用することのできる冷静さを持つのも大切です。

やはり高い!就職・転職市場での社労士の価値

社労士は、「社会保険労務士」というのが正規名称で、れっきとした国家資格です。

労働・社会保険関連の専門家として、企業に対して、労働基準法を始めとする各種労働法令に基づいた職場環境作りをアドバイスしたり、複雑化する年金制度を活用できるようにサポートする役割を担います。

クライアントから言われた通りに従えば良いだけではなく、更に従業員・経営者双方に魅力ある提案ができるような創造力も求められますから、前向きな仕事を求める人にはぴったりですね。

また、労務関係において社労士のみに業務が認められている独占業務も、資格所持者の価値を高めてくれるでしょう。

ここからは、社労士の資格が就職の場面でどのように有利に働くかを見ていきます。

会社経営に社労士の存在は必要不可欠

労働者の諸権利が重視されるようになってきた昨今、企業と労働者の間の法的問題が取り沙汰される場面も増えてきました。

そのような状況の中で、法的専門知識を駆使して双方の橋渡しを期待されるのが社労士です。

経営側としても、労働者との間に法的トラブルを抱えたままにするのは望ましいことではありませんので、社労士は、円滑な事業運営のためには欠かせないパートナーと言えるでしょう。

さらに、企業内に有資格者がいる場合、その人に社労士の独占業務を任せられるので、他の社労士事務所に業務を外注するよりも、少ないコストで済むメリットがあります。

たとえ資格手当をつけたとしても、それ以上のメリットが企業側にはあるので、総務や人事部門などでの求人に応募する際には、非常に強力なアピールポイントになります。

社労士の就職先について

社労士の就職先を考えた場合、いくつかの形態がありますが、3つないしは4つに分類できるでしょう。

  1. 社労士事務所での勤務
  2. 他の法律系事務所で働く
  3. 企業の人事・総務部などでの活動
  4. 独立開業

どの道を選択するかで、目指す社労士としての方向性も自ずと変わってきますから、まずはどう働きたいかをイメージするのは大切なことです。

社労士事務所での勤務

就職に資格所持が直結しやすい職場として思い浮かぶのが、まずはこのルートではないでしょうか。文字通り事務所を本拠地として、社労士として先輩や同僚と一緒に働く方法です。

ただし、社労士事務所の求人はあまり見かけないのが実情かもしれません。

出ていたとしても、467月の繁忙期にパート・アルバイト的な求人であることが多く、小規模な事務所の求人では、先輩社労士のアシスタント的な役割に留まってしまいがちです。

他方で、社労士会から紹介された事務所への就職だと、比較的高い給与が保証されます

依頼された社労士会の顔を立てる必要もあるでしょうし、言い換えれば、大手企業などを顧問先にしていて知識・経験が豊富なだけでなく、新人を雇って育てられる余裕があるということです。

社労士事務所への就職を検討するならば、その事務所の顧客層を調べると、規模や信頼性が伺えるでしょう。

他の法律系事務所で働く

社労士以外の士業で、他の分野、例えば司法書士事務所などで働く方法もあります。

士業は、互いに名称は似ていても、それぞれの分野で独自の独占業務が定められていることが多く、事務所の経営拡大を考えた場合に、他業の有資格者が必要になってくるケースがあります

ただし、就職先がどのような業務をメインとするかによって、給与面についてはかなりの幅があります

元々の仕事の受注手数料が高めに設定されている司法書士や税理士事務所などは、それなりに収入に期待が持てますが、収入に幅のある行政書士や土地家屋調査士の事務所での就職を考えた場合は、所長自身が自分のことで手一杯という事態もあり得ます。

「士業だからきっと儲けているだろう」と安易に考えず、まずは地元の評判などからよく調べてみましょう。求人数自体は、社労士事務所同様にあまり多くはありません

企業の人事・総務部などでの活動

先に述べたように、内部に社労士の有資格者がいると、業務を外部に発注する手間とコストが不要になるので、企業にとっては非常にありがたい存在です。

当然の流れですが、入社後は社労士特有の業務を任せられる期待がありますから、実務経験が多いほど採用には有利になります

ですので、例えば大企業で総務・人事の経験のある有資格者が、つながりのある中小企業の総務人事に就職したり、経験のある業界で転職したりするケースもよく耳にします。

独立開業

一国一城の主を目指す人が求める理想の働き方が、「独立開業」ですよね。

理論上は、全国社会保険労務士会連合会に備え付けられた名簿に名前が記載されれば、「社労士」として独立開業をめざすことが可能です。

ただし、実務経験が全くない状態で独立開業をするのは、残念ながら無謀であると言わざるを得ません。

独立直後は、まず集客自体が難しいので収入が伸びにくいですし、どうしても経験不足による未熟さが露呈するので、信頼をされて仕事を軌道に乗せるまでは、多くの苦労を重ねることになります。

一方、うまく経営を軌道に乗せることができるようになれば、自分の力量に応じた仕事ができるようになりますから、勤め人よりも多くの収入を得る可能性が出てきます

実際に、ある程度企業などで実務経験を重ねた後に独立開業して、収入が増えたというのも珍しい話ではありません。

社労士の人員募集の実情

先に、社労士事務所や他の法律系事務所の求人は少ないと述べながら、社労士の需要はあると言っているので、矛盾しているように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

本当のところはどうなのでしょうか。

都会での社労士の需要は確実にある

都会では数多くの会社が存在していますので、必然的に社労士の需要も高くなります。ですが、社労士自体の母数も多いですから、需要は確実にあるものの、ライバルも多いというのが実情です。

一方、地方においては、社労士の募集を定期的に行っている企業は少ないでしょう。一般企業の数自体が都会と比べて少ないので、既に顧問を抱えている企業がほとんどで、ビジネスチャンスが回ってくる機会はどうしても少なくなりがちです。

とは言っても、例えば、「社労士」の名前での募集をしているのではなく「ビジネスコンサルタント」などの名称で、人員募集をかけているようなケースもあります

人員募集で求められている仕事の内容が、社労士の役割だということもありますから、地方在住者でも活躍を諦める必要はありません。

また、都会と比較すると社労士の母数自体が少ないので、縁があって社労士事務所に就職することができれば、先輩社労士が何らかの事情に引退した場合に、その経営地盤を譲ってもらえる可能性もあります。

有資格者であれば「経験不問」の場合も

就職活動の際に気になるのが、「実務経験」の有無かもしれません。

あったほうが有利には違いないのですが、求人募集要項を見ると、実務経験を不問にしている求人も数多く見受けられます。

社労士の業務は誰でもできるというわけではないので、需要が増えている現在、経験者以上に人手がほしいというのが求人側の本音なのかもしれません

社労士資格を生かした就職

「資格の取得」が「就職率」にどれほどの影響があるのか、一概に語ることはできかねます。

資格があるというだけで転職や昇格が保証されるわけではなく、それ以上にコミュニケーション能力なども重視されることも多いはずです。

逆に言えば、たとえ受験生であっても既に実務経験を積んできた人材は、資格取得後は即戦力となる可能性を秘めているので、採用担当者の目にはそれだけで魅力的に映るでしょう。

さらに、社労士だけでなく他の資格も併せ持っていると、活躍の幅が広がるので、更にプラス材料となります。

次は、社労士資格と相性の良い経験についてご案内します。

差別化を図る鍵は実務経験

社労士の資格を持っているだけで、応募できる求人の幅が広がるのは間違いありません。

ですが、有資格者の応募者が他にもいたならば、実務経験があるかどうかが採用される鍵となります。

実際の募集例に即した就職・転職先を挙げていきますね。

  • 人事・総務部での勤務

求人を出している社労士事務所が求める経験には、どのようなものがあるのでしょうか。

求人票などを見てみると、携わる業務内容として、社労士業務だけに限らず、「社会保険手続き」「給与計算」などもよく見かけます。

これらの業務は社労士の独占業務ではありませんが、労務環境の改善に欠かすことのできない分野なので、そうした業務に携わることの多い人事部や総務部での経験は、評価されやすいでしょう

社労士として働き始めた後でも、そうした経験がスキルアップに役立つのは、言うまでもありません。

  • 営業経験

募集内容で「助成金の提案」などが業務内容としてあげられている場合は、営業経験があるとなお好都合です。

コンサルタント業務を中心に行う会社や大手の社労士法人では「営業職」の名目で募集している場合も多く、営業職の経験があれば、一歩リードしやすくなるでしょう。

社労士として活躍していくには

社労士として継続的に活動していくには、労働者・企業側の橋渡し役をするためのコミュニケーション能力や経験、固定観念にとらわれない創造力や発想力など、机上の勉強だけでは学べないスキルも求められます。

数ある社労士の中から顧問として選ばれるには、努力・経験を絶えず継続し、信頼を得て初めて次の仕事につながっていくのです。

社労士の魅力は、何も収入だけにあるのではありません。
あなたなりの社労士の魅力を見つけ、自分だけでなく社会のために今までの知識や経験を生かしてみてはいかがでしょうか。

■監修者より一言

社労士として必須のスキルであるにも関わる忘れがちなものとして「まずは話を聴く」という姿勢です。目の前で法的なご相談を受けた場合に、どのような答えを求めているのか?を感じ取ること、またその背景を掴むことも重要です。

これは、例えば既に違法な状態(そのことを認識しているまたは認識していなかった場合も含む)であるにも助言を求められる場合もあるということです。どのような答えを求めているのか?については、まずは、いきなり話を始めるよりもじっくり目の前のご相談者様の話を聴き、キャッチしたい情報は何なのか?また、今社労士として発言しようしている内容は適法な状態であり、かつ実態として運用可能な状態なのか?など確認すべき点は複数あります。

一般論だけではその企業にとってベストな選択とは言い難くベターな助言(場合によっては逆に混乱を招く)に留まってしまうことがあるということです。よって、真摯に目の前のご相談者様の話を聴くことがスタート地点であるということです。

監修 片野 則之

関東学院大学卒。社会保険労務士事務所NKサポート代表。開業社会保険労務士として、中小企業を中心とした人事・労務コンサルティングを行う。

HP:https://www.e-606.net/