社労士は稼げる? 年収や開業・勤務で収入に差があるのかも解説

「社労士って収入はどの程度見込めるのだろう」
このような疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

この記事では、社労士の年収や将来性について、その根拠を示しながら解説していきます。

社労士の収入について正しい情報を知り、その上で仕事の魅力について確認されることをおすすめします。 

社労士の平均年収

平成29年度の厚生労働省の調査によると、社労士の平均年収は670万円です。国民の平均年収が432万円ですので、社労士の年収がかなり高いことがわかります。

社労士

国内平均

平均年収

670万円

432万円

平均月給

42.3万円

30.3万円

平均賞与

162万円

68.0万円

年収については毎年統計調査が行われますが、社労士の平均年収は一般の給与所得者よりも毎年高い水準となっています。

社労士の年齢別の年収は?

社労士の年齢別の年収はどうでしょうか。国税庁や厚生労働省の統計データによると、20代で350400万円、ピークは50代で約800万円というところです。

ただ、いずれの年代でも、国内の平均を上回っています。

社労士の年収には個人差がある

社労士の年収は、働き方や勤務地域などで大きく変わってきます。
働き方としては、「勤務社労士」「開業社労士」に大別できます。

一般的に、独立開業した場合は個人差が大きく、勤務社労士は国内平均を上回る高い水準で安定していることが多いです。

ただ、勤務社労士の場合でも、勤務先によって差がありますし、地域として給与水準が高い都市部かどうかでも変わってきます。例えば、東京・大阪・愛知といった大都市では給与が高い傾向にあります。

女性も高収入が狙える

社労士は、他の士業と比較すると女性の割合が34.5%と高く、年収の男女差もほとんどありません。

他の士業の女性比率を見ると、税理士で14.4%、中小企業診断士で6.3%です。社労士の女性比率の高さがよくわかると思います。

企業勤務の場合の年収

次に、勤務社労士の平均年収について見てみましょう。厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本調査」によれば、勤務している社労士の20052016年のおける平均年収は665万円となっています。日本の平均年収を200万円以上上回っています。

この調査に関しては、社労士の年収は個人差が大きいこと、毎年調査対象が変わること、母集団となる調査数が少ないことなどから年度によってばらつきがあります。

また、上記の数字には、独立開業した社労士はほぼ含まれていません
独立開業すると、勤務している社労士よりも収入は高いので、社労士全体で考えればさらに平均年収は高いと見る方が良いでしょう。

社労士を対象とする求人を調べると、勤務社労士の平均年収は450650万円であることがわかります。(一般企業の求人200件で算出)

企業では、人事部・総務部に配属されるのが一般的です。ただ、社労士として採用されるわけではなく、あくまで一般社員として勤務することが多いようです。

社労士資格については、基本給とは別に資格手当が支給されるほか、仕事の幅を広げたり、昇格のチャンスが多くあったりする点で有利でしょう。

就職先による年収の差

同じ勤務社労士でも、一般企業に勤める場合と社労士事務所に勤める場合で収入に差があります。

  • 一般企業

一般企業で社員として働く場合、自社内の労働問題を未然に防ぐ役割が期待されます。
さまざまな場面で活躍できるかも知れませんが、それが収入増に直結はしないでしょう。

資格手当は期待できますが、月額5,00010,000円程度です。

社員として、企業利益が上がるように、臨機応変な行動と成果で評価を高めることが必要です。

  • 社労士事務所

社労士事務所に雇用された場合、一般従業員かパートナー社員で大きく年収が変わってきます

一般従業員の場合、社労士としての経験が十分でない人が多いため、比較的簡単な業務を任されることが多いようです。したがって、それほど高い年収は見込めません

一方、執行役員などのパートナー社員であれば、スキルが高く責任ある仕事を任されます。さらに事務所のマネジメントにも関わる立場ですので高い報酬が望めます

勤務社労士が高収入を目指すには

企業に雇用された場合、事務所の規模よりも任される仕事内容によって収入は変わってきます

税務会計や各種保険の手続き代行などの基本的な業務が中心であれば、年収は500万円前後でしょう。

600万円を超えるのは、人事統括などのマネジメント業務や大手クライアントに対するコンサルティング業務の担当する場合です。こうした業務を任されるためには、十分な実務経験も必要でしょう。

また、社労士の仕事について、よく理解をしている企業を選ぶことが極めて大切です。
社労士の専門性や社会的な位置づけを正当に評価してくれる企業であれば、重要な仕事を任せてくれるでしょうし、それに伴い給与水準も高いでしょう。

  • 高年収の社労士求人を探すには

社労士にとって、勤務する企業が社労士を正当に評価してくれるかどうかが非常に重要です。相当な努力をして取得した資格であり、正当に評価される場所で働きたいのは当然です。

有資格者を対象にした求人を探す場合、士業の転職に特化したMS-Japan」がおすすめです。社労士を対象にしたハイレベルな求人もたくさん見つけることができます。年収1,000万円を超える求人も珍しくありません。

「有資格者による実績No.1」「専門性への理解度No.1」という高い評価を得ており、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

開業した場合の年収

一般的に、開業社労士の年収は3001000万円以上だと言われ、個人差も大きいようです。

開業には当然リスクを伴います。しかし、高収入を目指せること、自分の裁量で仕事ができることなどの魅力があり、資格取得後、過半数が開業しています。

独立直後は収入が少ない

独立開業直後というのは、大半の社労士が資金繰りに苦しみます。安定した顧客が獲得できず、年収200万円程度という例も珍しくありません。

独立前に、こうした事態を想定して資金に余裕をもっておく必要があります。

年収1000万円超も

開業社労士の収入獲得の方法は2つです。

  • 顧客と単発契約を結び、即時的な収入を得る
  • 企業と顧問契約を結び、継続的な収入を得る

 

したがって、安定した収入基盤を確立するためには、多くの企業と顧問契約を結ぶことが必要なのです。

顧問契約は、月額または年額制で企業規模(従業員数)によって金額が変わります。

以下に、旧東京都社会保険労務士会会則による報酬基準を紹介いたします。参考にしていただければと思います。

従業員数

月額

4人以下

20,000

2029

50,000

5069

80,000

100149

130,000

また、継続契約が獲得できない場合には、顧客との単発契約による臨時の収入を確保することも必要でしょう。

具体的には、以下のようなものです。

  • 就業規則の作成
  • 各種社会保険や労働保険関連の書類作成
  • 手続き代行
  • コンサルティング業務

開業当初は、人脈やコネがなく、地道に単発でも仕事をこなしながら実績を積んでいくことが必要でしょう。

開業社労士として稼ぐためには

開業社労士として稼ぐためには押さえておくべきポイントがあります。

特に大切なポイントを3点挙げておきます。

  • 顧客目線での対応第一

仕事は「顧客第一」です。専門家として、法律を遵守するという姿勢が大前提ですが、顧客の要望には柔軟に対応することが求められます。

専門家として、法律の範囲内で顧客の利益を第一に行動する姿勢で信頼を得て、収入増にもつながるはずです。

  • 得意分野を持つ

事務所の看板業務を持ちましょう。
数ある社労士事務所の中で、特徴を明確にすることで差別化することができます。

ポイントとしては、顧客の視点でアピールポイントを考え、見つけることです。例えば、人事労務のコンサルティング、給与・賞与計算の代行などの分野で検討すると良いでしょう。

  • ネット環境に強くなること

これからの時代、ホームページでの集客が死活問題になるでしょう。
事務所の特徴、強みをホームページにわかりやすく記載しておくことで集客効果も期待できます。

さらに、集客面以外でも、給与計算や労務管理のデータをクラウド管理して共有できる環境も一般的になっています。

このように、集客から業務まで、ネット環境でITツールを活用できることが必要になっています。今後、ネットやITに関する知識は必須であり、多様化する顧客に対応していける力が望まれるでしょう。

副業で年収アップも

社労士は、資格を活かした副業も多くあります。

予備校や通信講座の講師

資格予備校では、週に2回程度、社労士を目指す人を対象にした講義を副業として行えます。受講生は社会人がほとんどなので、講義も平日の夜や土日に行われるので問題ありません。

時給にして、8000円程度と高く。非常に魅力な副業と言えるでしょう。

公的機関での業務補助

行政機関が社労士会に依頼して行う無料相談会や、ハローワークでの就職相談などの業務で収入を得る機会があります。

無料相談会は日給2万円程度就職相談は時給制であることが多いようです。

その他保険関連のアルバイト

他にも社労士資格を活かしたアルバイトは多数あります。
例えば、保険代理店でも社労士資格保有者をアルバイトとして募集することがあります。社労士資格が必要な業務もあるからです。時給はそれほど高くはありませんが、副業としては良いのではないでしょうか。

社労士の年収面でみた将来性は

社労士の主な仕事と収入

これまで述べてきたように、社労士は仕事内容で収入が変わります。一般的に書類作成や手続き代行などの業務は低く、クライアントに対する相談業務は高収入になりやすいと言えます。

  • 独占業務の内容と収入

社労士の仕事で比重が高いのは、「独占業務」と呼ばれる社労士にしかできない業務です。これは、主に保険や年金に関する事務の手続き代行が中心で、1号、2号業務を呼ばれています。

1号業務は、申請書類の作成、その後の手続き代行、事務処理の代理などが主な内容です。

2号業務は、就業規則や帳簿書類などの作成を主な内容としています。

ただ、近年は書類作成や定型的な事務処理などはAI技術の進歩で代替されるようになっています。社労士の業務もその例外ではなく、給与相場は低くなりつつあります。

  • 相談業務の内容と収入

企業には様々な雇用形態の従業員がいます。それぞれ労務管理や保険制度に関する手続き内容が異なり、企業ないで行うのが難しくなっています。

そのような企業に対して、労務と社会保険の専門家としてコンサルティングを行うのが社労士の仕事の中で3号業務と言われるものです。

また、企業だけでなく。個人を対象に年金相談をするなどの業務も増えています。いずれも機械やAIでは代替が難しい業務です。社労士としての価値を高める仕事であり、やりがいも大きく報酬も高くなります

社労士の将来性

社労士に限らず、多くの士業はAIによって多くの業務がなくなってしまうのではないかと言われています。しかし、人と人のコミュニケーションが不可欠なコンサルティング業務はAIにはできません

社労士の1号、2号業務はAIに代替される業務が増えることは間違いありません。しかし、そうした社会の変化によって個人の働き方や労働環境は多様化し、変化しています。

そのため、労務のプロである社労士によるきめ細かい対応が求められるようになっています。今後ますます進む高齢化に伴って、個人の年金についての相談もより増えていくでしょう。

こうした状況から、社労士は3号業務を中心にますます需要が高まり、高い給与水準は維持されると予想できます

社労士試験の難易度

社労士は今後も需要があり、収入面でも魅力のある仕事です。しかし、資格取得の難易度は低くありません。その根拠は以下の2点です。

  • 受験資格がある(誰でも受験できるわけではない)
  • 試験の合格率が低い(6%程度)

まず受験資格ですが、大学卒業資格があれば問題ありません。そうでない場合、実務経験が必要であり、ハードルが高くなっています。制度は改正されることもありますので、必ず公式サイトでの確認が必要です。

また、合格率が6%程度とかなり低いです。これは、合計得点での合格ラインだけでなく、出題される各科目別にも合格ラインが設定されていることが影響しています。

年に1回だけの試験に向けて、膨大な範囲を万遍なく、効率的に学習を進めることは非常に大変ではあります。

社労士の収入についてのまとめ

では最後に、社労士の収入についてまとめておきましょう。

まとめ
  • 社労士の平均年収は665万円
  • 勤務社労士は安定した収入が望める
  • 開業社労士は収入に幅があり、年収1000万円を超えることも可能
  • 3号業務を中心に将来も明るい

いかがでしょうか。社労士は努力が報われやすい仕事であり、将来の需要も高いと予測できます。ぜひ資格取得し、高収入を目指してみませんか!

■監修者より一言

2045年問題としてシンギュラリティ(AIが人間より賢い知能を生み出すことが可能とされる)が挙げられます。しかし、それ以前においても社労士を含めて人の手を介して行われていた業務がAIを始めとしたテクノロジーに代替されることは否定できません。それは、単純業務であればあるほど、人の手を介するよりもテクノロジーを駆使した方が迅速性も正確性も確保できるためです。

しかし、AIであってもまだ入り込むことが難しいとされる領域としてコンサル業務(3号業務)があります。この分野においては手続き業務以上に広い分野があります。顧客目線としても迅速性と正確性のみに投資するのではなく、プラスαの情報など、対人間へのベネフィットを感じてもらうことで、長期的に自身の価値を高めていくことができるものと考えます。

監修 片野 則之

関東学院大学卒。社会保険労務士事務所NKサポート代表。開業社会保険労務士として、中小企業を中心とした人事・労務コンサルティングを行う。

HP:https://www.e-606.net/