社労士の試験対策を解説!試験範囲や模試の活用のやり方、独学の勉強ポイントなどを解説。

弁護士などの「士業」の一つとして社会保険労務士があります。

弁護士や税理士などと比べると知名度では劣ってしまいますが、社会保険労務士に寄せられる期待とその職務の広さは注目を集めています。

例えば社会保険労務士は不況に強い資格と言われています。コロナ禍においても企業の助成金申請を始め、コロナ禍特有の労務相談などその活躍の範囲は不況下においても狭まることはありません。

今回は「独学」で社会保険労務士試験に合格するための勉強法に焦点をあてた記事とさせて頂きます。

社会保険労務士試験の試験範囲

社会保険労務士の試験範囲の特徴は

  • 試験範囲が広い
  • 全ての科目で一発勝負
  • 苦手科目にも向き合うことが極めて重要

以上3点の特徴があります。まず一点目の試験範囲が広いのは国家試験だから当たり前なのではないか?

というご指摘もあると考えますが、如実に表れるのが、「一般常識」という科目があります。多くの受験生が事実上の天王山となる科目です。

この科目は労働分野と社会保険分野でそれぞれ分かれており、全てを暗記することは不可能と言われています。正確には全てを暗記するのはナンセンスです。

そして、一般常識の出題範囲は大きく分けて次の3点です。法律、統計、本当の意味での一般常識と多岐にわたります。

その他の科目については、労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法となります。

当然一般常識が事実上の天王山とはいえ労働基準法以下の科目が主要科目であり、基礎点を積み上げなければそもそも合格ラインに立てません。よって、独学の場合はまずはより早期に全ての科目に触れることが先決です。

独学であっても予備校を利用する方であっても、1回内容に触れただけでは理解はおろか記憶すらできていません。早期に試験範囲を1周し、その後何度も繰り返し学習することで記憶が定着します。

この時期が最も苦しいと感じる方が多いでしょうが、諦めずに続けることで霧が晴れてくる瞬間(知識が繋がる)があります。

次に全ての科目で一発勝負という意味は科目合格がなく、仮に合計得点で全国上位1%に入ったとしても1科目でも基準点を下回ってしまうと不合格となり、翌年に再度全ての科目を受験する必要があるということです。よって、苦手科目にも向き合うことが極めて重要ということです。

合格までの逆算スケジュール

試験日は毎年8月第4日曜日に開催されます。この日に記憶の頂点を持って行くことが合格への鍵となります。

よって、それまでの間に点数が伸び悩んでも過度に落ち込む必要はないということです。そして、最も重要な点が8月のスケジュールです。

長期受験に陥りやすい受験生の1つの特徴として、8月に入り何をやるか悩んでいるということです。

社会保険労務士試験は記憶の試験です。記憶はより直前に見た内容を記憶できていることが多いでしょう。その時期に迷うことのないように7月の時点で8月にやるべきことをリストアップしておくことが大切です。

しかし、8月のやるべきことは絶対に変更してはならないということではありません。記憶の試験である為に「記憶が薄らいだ論点がある」と感じた場合は、柔軟にスケジュールを調整することはむしろ適切な対応です。あくまでも8月に迷うことのないようにすべきという意味です。

そして6月は模試(後述)が始まります。よって、遅くとも4月から5月の間までには全試験範囲を1周できるスケジュールを組み立てておくことです。独学の場合、予備校への通学や通信(講義の配信が遅くなることがある)と異なり、完全に自分のスケジュールで時間を問わず試験範囲の勉強を進めていくことができます。よって、ある程度時間に融通が利くのであれば、早期に全試験範囲の1周することも可能です。

独学者であっても利用すべき分野

社会保険労務士試験は法律の試験ではありますが、法律の知識のみでは合格できません。

冒頭で触れた一般常識では、統計や厚生労働白書などの法律以外の知識が試されます。

統計や白書で出題される内容は法律以上に毎年変わるものであり、また、試験範囲の対象となる数値も受験指導のプロである予備校であっても5月~7月に漸くテキスト化できるスケジュールです。

よって、この時期に独学でエジプトの砂漠のように広い統計や白書での出題範囲を記憶していくのは効率が悪いと言えます。

すなわち統計と白書対策については予備校を活用した方が合格に近づきます。予備校の統計、白書対策では受験指導のプロによる厳選された記憶ポイントを一冊のテキストとして頂くことができ、講義の中でも特に記憶すべきポイントのレクチャーがあります。あとは粛々と記憶すべきポイントを繰り返し暗記していくことです。

模試の活用

模試とは主に予備校が開催する公開模試のことを指します。なぜ模試を受けるべきかというと現時点での自分自身の立ち位置を知ることが出来るからです。

最も気にしなければならないのは点数ではなく、正答率が50%以上にも関わらず間違えた問題です。

模試では必ず本試験では出ないような難問が出題されます。このような問題は正答率が低くなって当然です。そして、長期受験生の特徴としてこれらの難問の復習に時間を割いてしまっています。これでは合格から遠ざかってしまうために時間を使ってしまっている状態です。

社会保険労務士試験は毎年誰も見たことのないような難問が出題されますが、そのような問題は合否にほとんど関係がありません。

勉強している方であれば通常解ける問題を確実に正解していければ基礎点が積み上がります。よって、本試験で基礎点を積み上げるには模試で正答率が高かった問題を確実に解ける状態にしておくことが極めて重要です。

もう一点重要なこととして、模試を受け過ぎないということです。独学者であっても前述の統計・白書および模試は予備校を活用した方が良いことはご説明してきました。

しかし、模試の復習は特に初受験の方であれば膨大な時間がかかってしまいます。全てを完全に理解しようとすると時間がいくらあっても足りません。

よって、正答率が50%以上で間違えた問題を最優先順位とし、正答率が30%を切るような難問はいきなり回答を読んで理解まではしないという潔さが大切です。

つまり、模試を受けすぎてしまうと模試の復習に時間がとられてしまい、基礎である過去問やテキストの読み込みに時間が割けないということになってしまいます。

最後に

社会保険労務士試験は合格率が約6%と難関試験に分類されます

しかし、この合格率は勉強して間もない受験生やとりあえず腕試しで受ける受験生などの記念受験生も含まれた数字です。よって、合格するに相応しい努力を継続してきた層のみの合格率はもっと高くなるということです。

結論としては6%台という数字に過度に囚われないということが精神衛生上も重要です。

次に勉強法の見直しが重要です。前述の合格率も同じことが言えますが、独学のメリットは「自分の都合」で勉強を進められるということですが、デメリットは周りから良い意味での情報が入ってこないことや勉強法が誤っていた場合に気付きにくいということです。

予備校へ通う受験生の場合は、講師からの助言により精神面・技術面ともに軌道修正が容易です。しかし、独学の場合は逆にスケジュール調整が容易であることです。この部分を活用しない理由はありません。

悪い面ばかりに目を向けてしまうと受験生活が検定試験より長くなる試験だけに精神衛生上も適切ではありません。独学と決めた場合は良い面を最大限活用し、プラスアルファで予備校を活用するという視点が重要です。

社労士解説

執筆・監修 蓑田真吾
30代半ばにおいて、三度目の挑戦で社労士試験に合格。これまで当たり前とされてきた勉強法を見直し、ライフスタイルに応じた様々な勉強法を試行錯誤した結果、大手予備校全国公開模試では上位1%以内を維持しそのまま合格。記憶の試験である社労士試験に特化した勉強法の発信も行う。勉強は質が重要であるものの一定の量も必要であり、量をこなす計画術や思考方法についても研究している。