【社労士】難易度・勉強法など おさえておくべき基本事項を解説

「社会保険労務士(以下社労士)」を目指したいが、試験内容や勉強方法がわからない!

社会で非常に役立つ資格であるイメージはありますが、試験についてはこのような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、社労士試験の内容を受験資格・難易度・勉強方法などを中心に解説していきます。基本的な知識をしっかりと身につけて、試験対策に臨み、合格を勝ち取りましょう!

まず、大きな特徴を3つ挙げます。

  • 受験資格には学歴や実務経験などの条件がある
  • 試験科目は労働法務関連の法律が中心
  • ほとんどの合格者は、企業に勤務しながら受験している

こうした特徴を踏まえて、以下の目次にしたがって詳細を解説していきます。

目次
  • 試験の概要
  • 難易度、合格率は?
  • 人気度は?
  • 勉強方法について
  • 合格には「通信講座」がおすすめ
  • 社労士試験のまとめ

試験の概要

 まず「社労士」についての最低限の知識をおさえておきましょう。

 「社会保険労務士」は国家資格です。労働基準法などの労働関連法規を遵守した労働環境を企業に提案、アドバイスを行ったり、年金などの複雑な社会保険制度の活用をサポートしたりする仕事を担います。

 ではどのような試験に合格すればよいのでしょうか。

受験資格

 まず、受験するためには、指定された資格要件を満たしていることが必要です。主に、学歴による要件、資格による要件、実務経験による要件の3つに大別されています。

 以下でそれぞれの要件を説明しますが、詳細は必ず社労士試験のオフィシャルサイトでご確認ください。

[学歴要件]

 以下の条件を満たす方は受験資格を持つことができます。

  • 大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学、もしくは高等専門学校(5年制)を卒業したか専門職大学の前期課程を修了していること
  • 大学において、単位を62以上取得していること
  • 専門学校において、総授業時間数1700時間以上の専門課程を修了していること
  • 全国社会保険労務士会連合会から短期大学卒業以上の学力があると認定されること

[資格要件]

 厚生労働大臣が認可した国家試験の合格者は受験資格を持つことができます。

 以下に例を挙げておきます。

  • 行政書士(資格保有)
  • 労働基準監督官試験
  • 不動産鑑定士試験
  • 中小企業診断士試験
  • 税理士試験

[実務経験による要件]

 以下の条件を満たす人は受験資格を持つことができます。

  • 公務員として、行政事務の仕事を3年以上担当している
  • 公務員として、労働社会保険諸法令に関わる仕事を3年以上担当している
  • 社労士または社労士法人、弁護士法人の補助事務を3年以上経験している
  • 労働組合の役員経験があり、3年以上の仕事経験がある
  • 労働組合の職員、法人、個人事業会社の社員として、労働社会保険に関連する業務を3年以上経験している

試験の日程と形式

 社労士試験は年に1実施されます。実施日は、例年8月の第4日曜日です。合格発表

11月の第2金曜日です。

参考までに、2019年度の試験日程を紹介しておきます。

申し込み期間 412日~531
試験日 825
合格発表日 118

試験の形式は選択式(空欄補充形式)と択一式5択式)での出題です。記述式の問題はありませんので、比較的取組みやすいと言えるでしょう。回答用紙はマークシートが用いられます。

試験時間

 試験時間は選択式、択一式で分かれています。

 ・選択式:8010301150

 ・択一式:21013201650

 合計で2904時間50分)に及ぶ長い闘いです。いかに集中力を切らさずに最後までやり切れるかが重要です。

出題数、出題範囲、配点

 社労士試験では、出題範囲とそれぞれの出題数や配点が公表されています。

 詳細は下記表の通りですが、選択式で840択一式7070の合計110点満点

 です。

さらに、総得点だけでなく、各科目でも「基準点」があり、それをクリアしなければなりません。すなわち、「捨てる科目」を作れないのです。詳しくは後程解説します。

試験科目

選択式

択一式

労働基準法及び労働安全衛生法

15

1010

労働者災害補償保険法

15

1010

雇用保険法

15

1010

労務管理その他の労働に関する一般常識

15

※1010

社会保険に関する一般常識

15

健康保険法

15

1010

厚生年金保険法

15

1010

国民年金法

15

1010

 「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」の択一式試験は2科目合計で10問が出題されます。

試験会場

 試験会場は受験申込の受付順に指定されます。各会場の定員によっては希望する会場と異なる会場を指定される場合があります。受験会場は送付される受験票に記載されていますので必ず確認しましょう。希望した会場だと思い込んで向かい、受験できなかったということがないように!

難易度、合格率は?

社労士の合格率はパーセントにして毎年1です。非常に難易度の高い資格だと言えます。

その理由は、試験範囲が広いこと、さらに出題される法規がそれぞれ密接に関連することが多く系統立てて理解しなければなりません。

ただ、多くの人が仕事と両立して合格を果たしています。これは、いかに効率よく勉強を進められるかが大切であること

を示しています。

合格基準点とは?

合否を分ける得点には、選択式、択一式のいずれにも「総得点」「各科目点」があります。総得点も各科目点にも「基準点」があり、いずれもクリアしなければなりません。

総得点の基準点は6070となっています。科目点は、選択式が約6択一式が約4

となっています。総得点で基準点をクリアしていても、1科目でも基準点に達していなければ不合格になってしまいます。

したがって、各科目すべてを70%以上得点できるように、万遍なく勉強を進める必要があると言えるでしょう。

救済措置とは?

社労士試験では、毎年特定の科目について合格基準点を下げるという救済措置が行われています。

これは、受験生の大半がほとんど得点できなかった科目で行われます。難易度を高く設定したためと言えますが、必ずこのような措置が取られるとは限りません。従って予めアテにするものではありません。

人気度は?

 社労士試験は例年およそ5万人が受験します。他の国家資格と比較するとかなり多く、人気のある資格だと言えるでしょう。

 同じ「士業」である中小企業診断士の受験者は毎年約2万人です。かなり差があることがわかります。なぜ社労士は人気があるのでしょうか。その秘密を解説していきます。

人気の理由

 ①独占業務がある

  まず、社労士でなければできない仕事があるということです。

  1. 労働法や社会保険に関する書類を作成し、提出すること
  2. 労働法や社会保険に関する帳簿を作成すること

これらの仕事は、1号業務、2号業務と言われ、社労士資格を持つ人にしかできません。これらを「独占業務」と言います。

社労士にしかできない仕事を任され、重要な役割を担っているという充実感を得ることができるでしょう。

 ②独立開業が可能である

  社労士には、企業に勤めて社員として働くだけでなく、企業と顧問契約を結んで外で働くという選択肢もあります。

 ③企業で働きながら合格できる

  社労士試験の合格者は、その7割が企業に勤務しながら受験した人です。他の難関国家資格よりも、仕事と資格試験勉強の両立が可能であることも人気の理由でしょう。

 ④実生活で役に立つ

  労働法や社会保険の知識は、日々の生活や人生の将来設計に役に立ちます。労働法の知識は自分が働く上で役に立つだけでなく、それを活かして自分の身を守ることもできます。また、社会保険に関する知識は、さまざまな制度を活用して将来設計を行うことができるでしょう。

 ⑤いつからでも挑戦できる

  社労士の合格者年齢は、20代から80代まで非常に幅広いことが特徴です。2018年の最高齢合格者は84でした。社労士は年齢を問わず資格取得が可能であり、仕事につなぐことが可能なのです。

社労士の年収は?

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、社労士の平均年収は650万円です。

 比較的高収入であることがわかります。勤務社労士と開業社労士では違いがありますが、国民の平均年収が400万円台であることを考えれば高収入が望めることは間違いないでしょう。

勉強方法について

さて、試験についてはかなりご理解いただけたと思いますが、肝心の勉強法について解説しましょう。

仕事と両立して合格を果たす方が多いと紹介しましたが、これは何より効率的な勉強方法が大切だということです。では効率的な勉強方法とはどのようなものなのでしょうか。

目安とする勉強時間

一般的に言われているのは、独学で8001,000時間程度が必要だということです。

これは、毎日3時間勉強すれば1で達成できる量です。不可能なことではありませんが、実際には半年の準備で合格する人もいます。

人によって勉強する環境が異なりますので一概には言えませんが、いずれにしても自分に最適な計画と実行が必要です。

具体的な勉強方法は?

社労士試験は、正確な暗記量が合否を分けると言っても過言ではありません。そのためには、テキストを読み、少なくとも過去問題集を4周程度することが必要です。

ただ、法律などの条文を丸暗記するよりも、選択肢の正誤判断に直結するキーワードを記憶することが大切です。それを意識することで、より効率的な時間配分で勉強を進めることができるでしょう。

法律初学者でも大丈夫?

法律を勉強したことがない人でも全く問題ありません。一般的に大学の法学部などで学ぶのは憲法、民法、刑法などです。しかし、社労士で必要なのは労働基準法労働者災害補償保険法などの労働や社会保険に関する法律です。したがって、誰もが同じスタートと言って差し支えありません。

いつから始めれば?

理想的には、試験日の1年前からのスタートです。社労士試験は1年に1回の実施であり、1年というのが最適な期間と言えます。

もちろん、先に紹介したように半年で合格する人もいますので、1年という期間を目安に自分にとって最も効率の良い勉強計画を立てることがよいでしょう。

受験者からのアドバイス

社労士の試験は全教科で合格点を獲らなければならず、税理士のような科目合格はありません。そのため、法律ごとに得意不得意を作ってしまうとほぼ合格は無理といっていいでしょう。ただし、問題は法律の基本的なことが多いためコツコツと覚えることが得意な人には向いていると思います。勉強するうえでのアドバイスとしては、社会保険でも労働法でも申請などの手続きについての問題があります。この問題については共通する部分がが多くあるため各法律ではなく横断的にまとめて覚えた方が効率的でしょう。

本試験では、テキストなどでは勉強しない事項が必ず出題されます、しかし、基本事項をもとに推測ができることが多く、推測しても判断できない問題はあまりありません。そのような超難問と言われる問題は、解けなくても合否に影響することはありません。大切なことは、基本事項で解ける、あるいは、類推すれば答えが導き出せる問題を、確実に正答することです。基本事項は、どの参考書やテキストにも必ず載っていることです。過去問を解きつつ、基本事項を確実に押さえて合格を勝ちとってほしいです

合格には通信講座がおすすめ

社労士試験は範囲が広く、全科目を万遍なく勉強しなければならず、長い闘いになります。そんな社労士試験で合格を勝ち取るためには、通信講座がおすすめです。

独学での合格は極めて難しく、現実には合格者の8割が通信講座や予備校を利用しています。先に紹介しましたが、社労士試験は仕事をしながら勉強する人が非常に多いです。

そのため、費用や時間面から予備校に通学することが難しい人には「通信講座」の受講が最適です。

通信講座は予備校の3分の1以下の費用で済む上、通学する必要がないため自分のペースで勉強を進めることができます。教材の質量、さらに合格実績でも予備校に全くひけをとらない通信講座も数多くあります。ぜひ通信講座の受講をご検討ください。

40代男性
予備校に通った時に、教室での講義よりも録画した講義を見る方が集中しやすく勉強がはかどりました。通信講座ならば配信などの映像コンテンツがついているはずなのでそちらを勧めます。
30代男性
法律の初学者には、独特の言い回しに早く慣れるために、予備校や通信講座で直接教わるのがよいと思います。

おすすめの通信講座

数ある通信講座の中で、特におすすめしたいのがフォーサイトの社労士講座です。

講座費用は7~8万円前後でかなり低価格です。しかし、合格率はあらゆる社労士講座の中でトップクラスを誇ります。

実際、2018年度においては、合格率が全国平均の4.082019年度も3.59倍という実績を達成しています。

教材はフルカラーで読みやすいテキストや特許を取得しているe-ラーニングシステムを提供し、価格・教材の質、量、合格実績のいずれにおいても高いレベルの社労士講座です。ぜひ受講をご検討ください。

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社労士試験のまとめ

では、最後にここまでの内容をまとめてみましょう。

  • 受験資格には学歴や実務経験などの条件がある
  • 試験は8科目で構成されている
  • 合格基準は毎年変動し、各科目には足切り基準がある
  • 試験には救済措置が行われる場合がある
  • 法律初学者でも合格は可能だが、試験の難易度は高い

社労士は需要が高く、人気の理由もご理解いただけたでしょうか。勉強方法についても試験の内容を理解し、自分に最適な方法を見つけて少しでも早くスタートを切りましょう!

■監修者より一言

合格するためのポイントとしてはより早期に試験範囲を1周させることです。まず、法律の学習は全てを一度で理解することは困難と言えます。しかし、暗記学習であるために特定の章が理解できなくとも次の章は理解できることがあり、また、当初理解できなくとも先に進むことで理解が繋がってくることがあります。よって、1つの章に拘るよりもまずは、より早期に1周して何度も復習するという勉強法の方が定着することが多いと考えます。また、本試験で出題される問題は過去問と全く同じ問題は出題されません。しかし、過去問は役に立たないということではありません。試験の傾向を把握する意味で過去問は非常に重要であり、基礎点を獲得するには過去問なくしては困難と言えます。

監修 片野 則之

関東学院大学卒。社会保険労務士事務所NKサポート代表。開業社会保険労務士として、中小企業を中心とした人事・労務コンサルティングを行う。

HP:https://www.e-606.net/