【現役司法書士監修】司法書士の仕事内容とは?やりがいや行政書士との違い、1日のスケジュールなどを解説!

『司法書士』って何となく聞いた事があるけど、具体的にどんな仕事をしているか良く分からない、「司法」書士なので、何か法律に関する事をする人?等々、名前は知っているけれど、その実態は良く分からない方は結構いらっしゃるはず。

今回はそのような方の為に、現役司法書士「甲斐智也」さんに仕事内容や1日の流れ、やりがい等を解説して頂きました。

解説者

司法書士 甲斐智也

東京都町田市で司法書士事務所を経営。得意分野は遺言等の相続対策・家族信託(個人向け)、報酬未払い対応・会社設立(法人、個人事業主向け)。数を多くこなすより、一つの案件に対してより深く関わる事を信条としており、他の司法書士事務所から紹介される仕事も多い。

司法書士の仕事、メインは「登記」と「裁判」

司法書士の仕事を分かりやすく言いますと、「登記」と「裁判」です。裁判は皆さん良くご存知だと思いますが、「登記」とは何なのでしょうか?

登記は辞書的な意味で言うと、「権利関係等、一定の事項について公けに明らかにする為に、公開された帳簿に記載する事」です。取引における第三者に不測の損害を被らせないための制度で、具体的な例を挙げると、不動産登記と商業登記がこれに該当します。

現在は帳簿に記載するのでは無く、データとして記録する事が一般的です

司法書士の具体的な仕事内容

不動産に関する事

例えば、マイホームを購入した場合、売主から買主に不動産の所有権が移ります。また、相続が発生した場合、遺産分割協議を経て被相続人(亡くなった人)から相続人へ不動産の所有権が移転します。

司法書士はこのように、所有権が移転した法律上の原因に基づいて、不動産の名義を変更する手続きの申請を行います。

その他、住宅ローンを利用した場合の抵当権の設定、その逆の住宅ローンを完済した場合の抵当権の抹消、不動産の名義人の住所変更等の手続きがあります。

会社に関する事

株式会社等の会社を作る場合、登記が必要になります。

司法書士は会社を作りたい人の依頼を受け、会社設立について必要な手続き(定款作成、定款認証代理、その他登記申請に必要な書類の作成、登記申請)を行います。

また、会社の役員が変更になったり、増資したり、会社の登記事項に変更が生じた場合、それらの手続きを行います。

裁判に関する事

裁判所に提出する書類を全般的に作成します。

例えば自分で裁判を行いたい人の為に訴状を作成したり、その逆で訴えられた方の為に答弁書を作成します。

その他、遺産分割調停の申立書の作成、相続放棄の申述書の作成等、裁判所に提出する書類であれば、依頼を受けて作成する事が出来ます。

また、法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、140万円までの請求であれば弁護士と同様の代理人としての活動が出来ます。

行政書士との違い

司法書士に良く似た名前の資格で「行政書士」があります。

良く間違えられるこの二つの資格ですが、大きな違いは、「作成した書類の提出先や手続先が異なる」と言う点です。

司法書士は登記や裁判に関する手続きを行いますので、その手続先は法務局や裁判所ですが、行政書士は主に許認可に関する書類の作成や手続きを行いますので、その提出先は都道府県や市町村と言った行政機関になります。

また、相続手続きや会社設立において、司法書士と行政書士の業務が重なっている部分がありますが、相続手続きで言えば相続登記や相続放棄、遺産分割調停の申立書作成、会社設立に関する登記申請は司法書士のみ行う事が出来ます。

社会的な役割

司法書士は法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することが使命です(司法書士法第一条)。

高額商品である不動産の権利関係がメチャクチャであれば、不動産を購入した人としても、後から多額の損害を被る危険性があります。

また、このような危険性があれば、そもそも不動産を購入しようとする人がいなくなり、不動産の流通がストップしてしまうでしょう。

会社の登記も同様で、代表取締役も会社の目的もメチャクチャであった場合、その会社と取り引きを行う企業はその後、大きな損害が発生する可能性があります。

このような事を防ぐ為、司法書士は適切な権利関係を登記手続きに乗せる事により、国民の権利を擁護する社会的役割があるのです。

どのような人が司法書士に向いているのか?

几帳面な人

司法書士が行う仕事の中には、絶対にミスが許されないものがあります。例えば売買を原因とする不動産登記の場合、何らかのミスがあり登記申請を取り下げる事になれば、売主・買主・銀行等に迷惑がかかり、場合によっては数千万円単位の損害が発生する可能性があります。

このようにミスが許されない為、丁寧な仕事を行う几帳面な性格の方が向いていると言えます。

問題解決能力がある人

一昔前までは司法書士と言えば法的な手続きを行う専門家と言う認識がありましたが、AIの台頭が今後予想され、手続きそのものに関してはどんどんAIに代用される可能性があります。

しかし、本来登記も裁判も単なる手続きでなく、実体法上の複雑な問題を解決する為の手段であり、その実体法上の問題解決、判断を行う事はAIには不可能です。

その為、依頼人が抱える問題について正確に把握し、その問題を解決するの能力がある人が司法書士に向いていると言えるでしょう。

自分の信念がある人

司法書士を行っていると様々な依頼が舞い込んできます。中には怪しい不動産取引や、違法行為を求める依頼も少なくありません。特に知り合いの不動産会社等からこのような依頼を紹介された場合、「これ断ったら、次から仕事来なくなるよな・・・」と大いに悩む事があります。

そのような時でも、「ダメなものはダメ」と自分の信念を貫く事が出来る人が、司法書士に向いているでしょう。

司法書士になるには?

司法書士になる為には、年1回、7月に行われる筆記試験と10月に行われる口述試験に合格する必要があります。試験は11科目です。(憲法、民法、刑法、商法(会社法)、民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法)

試験科目が多く、かつ深い知識を求められるのが司法書士試験の特徴です。

なお、一定期間一定の職にあった者(裁判所書記官等)の中から法務大臣による考査を経て司法書士資格を取得する事が出来るルートもあります。

司法書士の仕事のやりがい

司法書士の仕事のやりがいはスバリ、「法律専門家として、依頼者から感謝される」事でしょう

登記や裁判に関する事は、一般の方から見れば難しく、例え書籍やインターネットで見て自分でやろうとしても、勉強するのに非常に時間がかかります。

また、依頼者はそもそもどのようなプロセスで登記や裁判を行えば良いかと言う複雑な問題を抱えていますが、司法書士はこのような複雑な問題を専門家として解決する事により、依頼者からダイレクトに感謝されます。

司法書士の1日のスケジュール

司法書士の1日の流れはその仕事内容によって大きく異なりますが、例えば不動産決済の立会い業務であれば以下の通りとなります。

09:00 決済の準備(インターネットを利用して登記事項の取得)
10:00 銀行到着。不動産決済開始。
11:00 決済終了。売主の抵当権設定登記を抹消する為の書類を受領する為、抵当権が設定された銀行に移動
12:00 抵当権設定登記を抹消する為の書類を受領。
13:00 事務所に到着。登記申請準備(オンライン)
14:00 登記申請完了。昼食
15:00 登記申請した書類の原本を法務局へ郵送する為の準備
16:00 一般の方からの相談
17:00 次の決済の為の準備、書類作成
19:00 帰宅

まとめ

知っているようで具体的には良く分からない司法書士の実態、ある程度ご理解頂けたかと思います。これから司法書士を目指す方や既に合格され実務を勉強としようと思っている方も、この記事を参考にして頂き、司法書士としての理想のライフスタイルを目指して頂ければと思います。

司法書士解説

執筆・監修 甲斐智也

東京都町田市で司法書士事務所を経営。得意分野は遺言等の相続対策・家族信託(個人向け)、報酬未払い対応・会社設立(法人、個人事業主向け)。数を多くこなすより、一つの案件に対してより深く関わる事を信条としており、他の司法書士事務所から紹介される仕事も多い。

Twitter:@tomoya_kai