【現役司法書士監修】司法書士は稼げる?年収・収入の実態について。独立開業やスキルアップ方法を解説!

司法書士を目指して勉強している人や目指そうとしている人が一番気になるのが、「司法書士って稼げるのか?年収はどれくらいになるのか?」だと思います。

今回はその皆さんが一番気になる司法書士の収入の現状について、現役の司法書士「甲斐智也」さんに解説して頂きました。

司法書士解説

司法書士 甲斐智也

東京都町田市で司法書士事務所を経営。得意分野は遺言等の相続対策・家族信託(個人向け)、報酬未払い対応・会社設立(法人、個人事業主向け)。数を多くこなすより、一つの案件に対してより深く関わる事を信条としており、他の司法書士事務所から紹介される仕事も多い。

司法書士の平均年収について

日本司法書士会連合会が司法書士に向けたアンケート結果がありますので、それを見てみましょう。平成27年の年収(税引き前)に関するアンケートです。

0円 38人(1.8%)
199万円以下 279人(13.2%)
200~499万円 642人(30.05%)
500~749万円 403人(19.1%)
750~999万円 292人(13.9%)
1,000~4,999万円 369人(17.05%)
5,000~9,999万円 6人(0.3%)
1億円以上 2人(0.09%)
無回答 77人(3.7%)

引用:司法書士白書2017年版(日本司法書士連合会)

回答数が日本全国の司法書士の約1割(2108人)であり、アンケート結果を100%信用する事は乱暴ですが、それでも一番多い層が200499万円で、他の士業と比べても司法書士の年収は低い傾向があると言えます。

その一方で1,0004,999万円の層17.05あり、他の個人事業と同様、本人の努力次第で年収を上げる事が出来る資格となっています。

また、この年収はどこかの事務所に所属している勤務司法書士か、独立開業もしくは司法書士法人の社員となるかによって、大きく変わってきます。例えば、東京司法書士会の求人情報を見てみますと、勤務司法書士の月収(額面)は25万円~となっており、弁護士等と比較し、年収換算してもけっして高い金額ではない事が分かります。

社員・・・従業員の事でなく、株式会社で言う経営者の事です。

このように一口に「司法書士の年収」と言っても様々な切り口があり、一つ一つ丁寧に見て行く必要があるでしょう。

司法書士の就職先・転職状況

司法書士試験に合格した後は、基本的に司法書士事務所に就職して実務経験を積むか、それとも即独立するかの二通りに分かれます。

司法書士事務所に就職する場合、東京や神奈川等の大都市の事務所の求人広告が圧倒的に多く、地方になるにつれて求人を出している司法書士事務所は少なく、就職状況は厳しくなり、即独立を余儀なくされる場合があります。

ただし、地方の司法書士会はその状況を十分に分かっていますので、独立をする前に一定期間実務を学べる研修を用意していたり、即独立して業務について分からない事が発生した場合、質問出来る環境を整えているケースもあります。

なお、求人情報をどうやって取得するかですが、各司法書士会のHPや一般の求人広告、または先輩からの紹介等が挙げられます。

司法書士は稼げるのか?

司法書士は、あくまで個人事業主です

日本司法書士会連合会のアンケート結果から、司法書士の年収は他の士業と比べて低い可能性がありますが、それでも司法書士は稼げない資格ではありません。何故なら、司法書士は結局のところ個人事業主であり、稼げるか稼げないかは「個々の能力」が大きく関わってくるからです。

勤務司法書士の場合、年収はそれ程高くないありません。その為、司法書士として稼ぐのであれば、独立開業を行うか、既存の司法書士法人の社員になる必要があります。その場合に必要になってくるのが「営業」です。昔と比べ、独立して看板を掲げただけでは依頼人はやってきません。

チラシを作成してポスティングしたり、異業種交流会に出て人脈を広げたり、HPやブログを作成してSNSPRする等、集客を行う上での様々な努力を行う必要があります。

司法書士はあくまで個人事業主であり、このような営業活動を地道に行わない限り仕事が来る事はありません(元々仕事を紹介してもらえる人材に恵まれているのであれば話しは別ですが・・・。)

ただし、司法書士は国家資格であり独占業務が認められています。その為、普通の個人事業主よりも遥かに営業面におけるアドバンテージがあります。司法書士が出来る事、それによって顧客のどのような悩みや問題が解決出来るのかをしっかりと情報発信する事で、結果的に稼ぐ事が出来るでしょう。

不動産会社への営業は行うべきか?

営業の話が出ましたので、もう一つ関連するお話をしましょう。

司法書士と言えば不動産登記であり、「不動産取引の決済業務が司法書士の花形」と思われている新合格者や独立希望者がいると思いますが、独立当初は決済業務を取る為に不動産会社へ営業をかけない方が良いでしょう。

そもそも不動産会社には、基本的に付き合いがある司法書士がいますので、その中に入っていくのは相当な労力が必要になってきます。また現在、一部の司法書士が決済業務における司法書士報酬を相当低く設定しており、独立直後の司法書士がこれらの価格競争に巻き込まれると、一気に経営体力を奪われる危険性があります。

このような理由から、独立直後は不動産会社への積極的な営業を行う事は得策ではありませんので、その他の方法、例えば相続業務や会社設立で顧客をダイレクトに集客する仕組みを構築し、司法書士としての名前と実績を上げた後から不動産会社に営業をかけると言った手法を考えても良いかも知れません。

年収をアップさせるスキル、一緒に持っていた方が良い資格

マーケティングのスキルは必要不可欠

年収をアップさせるには、マーケティングのスキルが重要になってきます。

マーケティングとは分かりやすく言えば「勝手に売れる仕組み」を作る事で、マーケティングさえ出来れば、他の司法書士との価格競争に巻き込まれず、顧客の方から「あなただからお願いしたい」と言われるようになります。

その為には、徹底的に消費者(顧客)を理解する視点が必要になります。顧客が司法書士に対してどのようなイメージを持っているのか?顧客の心の奥底に眠っている、顧客が本当に望んでいる事は何なのか?等、自分の独りよがりな視点ではなく、徹底的な顧客理解を行う必要があります。

それが出来るにようになると他の司法書士と差別化され、年収をアップする事が可能となってきます。

例えば、司法書士の法定業務以外の事でも顧客の困りごとを解決出来ないか?と言う視点です。司法書士には「法定業務の事以外の事はやってはいけない」と言うルールは別にありません。

勿論、他の士業の独占業務を行う事はNGですが、司法書士の法定業務の周辺に関する業務を積極的に考え顧客に提供する事により、「そんな事までやって頂けるのですか!」と喜ばれ、他の司法書士との差別化が出来るようになります。

このように司法書士として年収をアップさせるのであれば、顧客理解を徹底するマーケティングが必要不可欠になってきます。

ダブルライセンスで依頼者の問題を解決し、年収をアップさせる。

収入をアップさせる基本中の基本は、「依頼者のお困りごと・問題を解決する」事です。

その為に司法書士の資格をフル活用すべきですが、依頼者の問題が司法書士の資格だけでは上手く解決出来ない場合、他の資格を組み合わせダブルライセンス・トリプルライセンスで依頼者の問題を解決し、結果として年収をアップさせる方法があります。

例えば土地家屋調査士。土地家屋調査士は司法書士と同様、不動産に関する登記を取り扱います。土地家屋調査士は「表題部」(不動産の所在地とか、面積とか)と言う不動産に関する登記申請を行い、司法書士が「権利部」と言う権利(所有権等)に関する登記申請を行います。

土地家屋調査士・司法書士のダブルライセンスがあれば、不動産に関する登記がワンストップで行う事が出来て、結果として収入アップが期待出来ます。

また、行政書士とのダブルライセンスも魅力的です。行政書士は官公署に対する書類の作成を主な業務としていますが、依頼人が許認可を必要とする会社の設立を希望している場合、会社設立(司法書士)+許認可の手続き(行政書士)と言ったワンストップサービスを行う事が出来て、同じく年収をアップさせる事が出来るでしょう。

まとめ

司法書士として収入をアップさせる為には、独立開業を行うか若しくは既存の司法書士法人の社員となる事が近道でしょう。

また、従来の不動産会社の一点集中の営業ではなく、マーケティングスキルを身に付け、依頼人の問題を解決する事に焦点を当てる事がポイントになってきます。

司法書士解説

執筆・監修 甲斐智也

東京都町田市で司法書士事務所を経営。得意分野は遺言等の相続対策・家族信託(個人向け)、報酬未払い対応・会社設立(法人、個人事業主向け)。数を多くこなすより、一つの案件に対してより深く関わる事を信条としており、他の司法書士事務所から紹介される仕事も多い。

Twitter:@tomoya_kai