司法書士のダブルライセンスにおすすめの資格5選

司法書士を資格した方の中には、独立を考えている人も多いでしょう。その場合、他の事務所とどのようにして差別化を図るかが成功の鍵となります。

差別化を図る場合、ダブルライセンスを取得するのが効果的な方法とされています。お互いの資格の長所を活かし、活躍できる領域を広げられるからです。

ダブルライセンスは本当に必要なのか

専門職としての認知度が高いのに、なぜダブルライセンスを取得しなければならないのか、疑問を感じる人もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今後の司法書士を取り巻く環境の変化を考えた場合、生き残るためにはプラスアルファの資格があったほうが、仕事が担保されやすくなるでしょう。

司法書士の案件数は減少傾向にある

司法書士というと、「不動産登記」や「商業登記」を真っ先に思いつくのではないでしょうか。

しかし現在、「人口減少」「景気後退」などの要因により、不動産を購入する人は減少しています。そのため、必然的に不動産登記の受注も減少傾向にあるのです。しかし、不動産登記が減っているにも関わらず、司法書士の登録数自体は増えているため、結果として事務所あたりの受注件数も減少しているわけです。

AIによる需要の減少

AIやインターネットの普及により業務の全てが奪われる訳ではありませんが、減っていく業務もあります。

例えば、登記手続きについて自分で調べることができるようになり、セルフで登記手続きを行えるようになりました。さらに、マイナンバーやAIによって自動化される業務なども出てくるようになっています。

したがって、従来司法書士の筆頭業務とされてきた「不動産登記業務」は、緩やかに減少していくと予想されています。

司法書士として生き残るためには

需要が減り司法書士が増えている現状で、生き残っていくことは決して簡単ではありません。そこで、生き残るための戦略としては、従来活用されてこなかった分野の登記業務に力を注ぐ方法が考えられます。

具体的には、成年後見制度などに代表される「家族信託業務」への進出などが挙げられるでしょう。

その場合、司法書士の資格だけではカバーできない業務も発生しますから、ダブルライセンスを取得しておくことで、顧客に対してワンストップサービスを提供できるようになります。

司法書士のダブルライセンスにおすすめの資格

行政書士

行政書士とは、官公署へ提出する書類などの作成・提出の代理を行ったり、その書類について相談に乗ったりする業務です。

裁判所や法務局に提出する書類作成の司法書士との業務は類似部分も多くありダブルライセンスの組み合せとしては最もポピュラーになっています。

名称も司法書士とよく似ていますが、同じように書類を提出する業務であっても、司法書士は「裁判所」「法務局」に提出する書類、行政書士は「官公署」へ提出する書類を中心に作成します。

両者で共通する独占業務も多く、また、資格試験でも「憲法」「民法」「商法」が共通して出題されるので、司法書士の有資格者であれば比較的合格しやすいでしょう。

一から勉強するよりは圧倒的に学習時間を短縮出来るので、ダブルライセンスで効率よく取得するのがおすすめです。

宅地建物取引士

宅建士は不動産の売買や仲介、及び契約締結や説明等を請け負います。
宅建士の独占業務は「重要事項の説明」「重要事項説明書への記名押印」「契約内容書面への記名押印」です。

新規に不動産物件を取得しようと考えた場合、通常は売買契約が成立してから所有権移転の登記を行いますが、宅建士の資格を所持していた場合、不動産の紹介から顧客に関与することができるようになります。

つまり、宅建士とのダブルライセンスは一連の手続きを1人で完結させる事が可能になるため、非常に有効だといえます。

不動産の購入を希望している人にとっても、物件探しから登記までの一連の手続きを一人に依頼するだけで済むというのは、手間の面でも費用の面でもメリットが大きいと言えます。二度手間の挨拶や説明を省けるため、クライアントからの評価も得やすいでしょう。

また、デベロッパーなどへの就職・転職を図る場合でも、実務で宅建士の知識が必要になることがあるので、即戦力としてのPR材料になり得るでしょう。

税理士

司法書士と税理士も、業務上非常に密接する資格です。
税理士が税金のスペシャリストであることは広く認識されていますが、両者が同時に必要になる場面は、例えば「相続」が挙げられます。

相続財産の中に不動産が含まれていた場合のそれぞれの業務がこちらです。

  • 司法書士:不動産移転登記
  • 税理士:相続税

また、事業の承継などでも代表者の変更の手続きなどの商業登記は司法書士が行いますが、その際の法人税の計算等については税理士が行います。

税理士と司法書士の試験は、共通科目はありませんが、税理士試験は科目合格制度を取っているので、数年かけて合格することが可能です。
司法書士同様に難易度が高い試験ですが、税理士資格を所持していると行政書士の資格も同時に取得できますので、取得しておいて損はない資格です。

ァイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナーは、ライフプランにおける資金やその運用の仕方についてアドバイスする専門家です。

司法書士が活躍する場面は、大きなお金が動く法的場面が多いと言えます。相続や不動産取引などが代表的ですが、前提としてお金や投資の基本知識があったほうが、冷静で正確な判断をしやすいことは容易に想像できるでしょう。

また、司法書士の試験と比較して、ファイナンシャルプランナーの資格は難易度が易しめと言えます。つまり仕事をしながらでも取得できる可能性があるので、コンサルティング業務に力を入れたいのであればおすすめの資格です。

土地家屋調査士

不動産登記と聞くと、司法書士の専売特許と思われがちですが、実は登記簿は「表題部」「甲区」「乙区」に分類されます。

土地家屋調査士は、対象となる不動産が「どこにあるのか」「どのような形状・面積なのか」「どのような用途に利用されているのか」などを調査・測量し、必要な図面や書類を作成して登記簿の「表題部」を作成します。

つまり土地家屋調査士の資格を持っていると、登記簿を一人で全部作成できるわけです。

通常は表題部の表示登記については土地家屋調査士、甲区・乙区は司法書士と別々に依頼しますから、不動産関連の案件を積極的に手掛けたい司法書士は、両方の資格を取得すると単独ライセンサーの司法書士との差別化を図ることができるでしょう。

試験の難易度は、合格率が8~9%と難関試験と言われています。

民法や不動産登記法などは司法書士試験と共通していますが、平面測量や図面の作図も試験科目に含まれていて、三角関数や複素数の知識が必要になります。
ですが、
1程度の数学知識があれば解ける問題ですので、司法書士試験に合格できるレベルであれば、法令科目を含めても十分合格の射程圏内に入る難易度でしょう。

難易度比較

以上のおすすめ資格を合格率と勉強時間で比較してみたので、参考にしてみてください。

資格名 合格率 勉強時間(時間)
司法書士 3〜4% 3000〜4000
行政書士 10% 800〜1000
宅地建物取引士 15% 300〜500
税理士 10〜20%(5科目合格) 3000〜4000
FP(2級) 50% 150~300
土地家屋調査士 8~9% 1000〜1500

勉強時間で比べると、税理士が同程度であることがわかります。
勉強時間の割に合格率は高く見えますが、これは5科目それぞれの割合になります。税理士試験は10%台の試験を5科目合格しなければならないため非常に難関な試験になっています。

その他の資格は司法書士試験に比べると易しめになっています。FPなどは働きながらでもダブルライセンスが可能となっているので、すぐに取得したい方にオススメです。

まとめ

ここまで紹介してきたように、司法書士は非常に専門性の高い資格ですが、従来のように不動産登記に特化しただけでは、生き残るのは難しい時代に突入しつつあります。

2020年秋には、相続登記が義務化される方向で調整中ですので、これからは家族信託業務などに注力していく司法書士が増えるものと予想されます。そこでダブルライセンサーになっていると、ほかの司法書士との違いをアピールできるようになるでしょう。

国家資格の中でもかなりの難関資格である司法書士に合格できる実力があれば、他の資格にも合格できる可能性は十分ありますので、ぜひ挑戦してみて下さい。

監修 資格LIVE編集部
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