【徹底解説】現役司法書士による勉強方法、オススメの参考書・テキストを紹介!一番大事なスキルとは?

今回は現役司法書士の「山本裕幸」さんの合格体験談を元に勉強方法や、オススメテキストも紹介!これから「司法書士」の資格を取得しようと考えている方、受験を控えている方必見です。

山本裕幸さんプロフィール

岡山市の司法書士。司法書士事務所で12年の勤務後、独立開業。現在は相続、遺言、信託に関する不動産登記を中心に、商業登記、成年後見、債務整理、裁判事務と幅広く業務を行っている。

司法書士を目指した理由・きっかけ

大学の法学部を卒業後、金融関係の仕事をしていましたが、当時商工ローン、消費者金融等の高金利による自己破産が社会問題化していて、例外なく僕も自己破産された方と接する機会が多くありました。

夜逃げや一家離散、お金がないため子供の給食費が払えないなどその方たちの苦悩する様子を見るにつけ、この人たちを助ける仕事をしたいなと思うようになり、まずは弁護士を目指しました。しかし、なかなか思うように成績が伸びず、ちょうどその頃司法書士にも簡裁訴訟代理権が与えられたことから、司法書士に進路を変えました。

勉強法とは

合格体験記などを読み漁り、過去問中心に勉強を始めました。

テキストも読みましたが、あまり深くは読み込んでいなかったと思います。法学部出身だったこと、司法試験からの転向組であり憲法、民法、刑法の知識が一通りあったこと、自分は一から勉強しているのではないという妙な自信があったのかもしれません。正直少しこの試験を舐めてかかっていました。

模試でも点数は伸びず、また本試験では模試よりも低い点を取ってしまったことから、過去問を解き、間違えた箇所の解説を読む、理解できなければテキストに戻る…このやり方だけではひょっとして絶対に合格できないのでは?と思い始めました。

司法書士試験は過去問がそのまま出題されることはまずありません。

表現を変えて何度も問われる論点はありますが、その攻略だけでは合格点に達しないように作られています。

自分に何が足りないのか考え導いた結論は、『知識を点でしか捉えていない』ということです。

過去問を解き、その答え、解説を覚えてもそれは点でしかなく、その周辺知識も捉え、線でつなぎ、面にしていくことで、法の全体像をとらえる必要があります。

例えば、会社法の会社分割、合併、株式移転、交換については受験生が苦労する論点ですが、会社分割の過去問を解いて、その答え、解説に目を通すだけだと、いずれ得点の伸びに限界が来ます。「会社分割はこうだ。では合併ならどうなのか?株式移転なら?」と点を線に、そして面に広げて制度の異同、比較をもって捉える勉強の仕方が必要になります。

次に大事なのは『似て非なる制度をおろそかにしない』ことです。

司法書士の試験問題を解いていると、「あれ?これってどっちだったっけ?」という場面に多々出くわします。

例えば民法の留置権と質権。両者とも留置的効力を持つ担保物件であり、質権に留置権の多くの規定が準用されているなど、似通った性質を持ちます。

しかし、質権については、相当の担保を提供しても消滅請求ができないのに対し、留置権はそれが可能です。テキストを読み込んだときは覚えているつもりでも、本試験になると、「消滅請求できるのは質権だったっけ?留置権だったっけ?」となってしまうのです。

このように法律の中には似て非なる制度がとても多くあります。また、試験委員も受験生が二択で迷うような問題点を突いて出題してきます。試験中に度々発生する「これどっちだっけ?」を克服しない限り合格は近づきません。逆に言えば、これが「こっちだ!」と確実に言えるようになれば、そこから手掛かりに自信をもって肢を切ることができます。

これを克服するためには、丸暗記ではなく、その制度の理由から覚えるのが一番確実です。

先ほどの留置権でいえば、留置権は留置権の不可分性により、留置物と債権額のバランスが取れないことが多々あります。(債権額が1万円なのに留置物が20万円であるなど)

このような不公平を考慮して債務者側からの消滅請求が認められています。逆に質権は質物と債権額の乖離が少ないため、消滅請求が認められていないのです。

理由から条文を理解できると、その知識は強固なものになり、忘れにくくなります。
遠回りかもしれませんが、このような制度趣旨に立ち返って覚えていく地道な作業は必要と思います。

オススメの参考書・テキスト

『司法書士オートマチック司法書士/山本浩司著』

→法に対する考え方をできるだけ平易な言葉で綴っていて、基本事項をインプットするにはとても良い本。司法書士として仕事を始めても、この本を処分せずに保存し参考にしている人がいるくらいです。

『司法書士合格ゾーン 択一式過去問題集/LEC東京リーガルマインド編著』

→過去問だけでは合格できないと言いましたが、かといって過去問を疎かにしていいわけではありません。何度も回す作業は必須です。この過去問集は問題が体系化されているので、自分がどの分野に弱いのか把握することができる点で優れています。また解説のボリュームも申し分ありません。

『直前チェック 必修論点総まとめ/竹下貴浩著』


→一問一答形式で、知識のチェックができる本です。択一のように選択肢を見て正誤を判断するのではなく、自分の言葉で答えなければいけないので、正確な知識が入っていないと答えられません。「直前チェック」となっていますが、直前だけでなく、普段の勉強に使うことで、実力をつけることができます。

『実践択一カード/LEC東京リーガルマインド編著』

択一に必要な知識が図表でまとめられています。重要な表については、表全体を覚えて紙に再現できるくらいの覚えこみをしました。図表による横断整理ができるため、知識を点から線、面にしていく上でとても役に立ちました。ただ、現在販売を停止しているようです。とても使える本なので再発売を願っています。合格した年に使用していた参考書、テキストは以上4点でした。

受験時に注意すべきこと

1.受験会場の環境

受験会場は正直空調が効きすぎていて寒いです。特にエアコンの吹き出し口に自分の席が当たってしまうと、寒さとの戦いになります。僕は真夏にもかかわらず一枚羽織るためのパーカーを毎回持参していました。その他自席の周りの人がぶつぶつ呟いていたり、若干臭いが漂ってきたり(真夏であり、汗をかきやすい時季ということもあるので仕方のないことかもしれません)、外で工事の音が響いていたりと、必ずしも自分の望む環境で試験を受けられるとは限りません。普段の模試の段階から、時には音のある環境で問題を解いてみるなど、劣悪な環境に当たってしまったときでも集中できるような意識づくりは必要かなと思います。

2.問題の解き方

僕は択一が終わって記述に入るときに必ずトイレに行くようにしていました。(トイレは試験官がついてきますが基本的に自由に行かせてもらえます)一度問題から離れることで、頭をリセットして記述式問題に入っていけたように思います。

また、問題を解く順番を自分の得意分野から解いてみるようアドバイスする方もおられますが、僕は第1問から順番に解いていました。問題を解く順番を変えると、あっちに行ってまた戻ってきたり、ただでさえ時間のない中でかなりのロスになるのではと思ったからです。また解き忘れの問題が出てくる可能性もあります。解く順番を変えるのであれば、模試の段階からしっかりシミレーションする必要はあります。模試と本番でやり方を変えるのは愚策だと思います。

問題を解いていると、2択で迷ったりして後から戻って解き直したくなることがあります。
次の問題を解いているのに前の問題のことが気になってしまう…そんな経験が僕にもたくさんありました。この試験は『いい意味で割り切ることができる人が受かる試験』だと思います。受験生時代、7回目で合格した司法書士の方に、「合格した年は何が一番違ったのですか?」と訊いてみたことがありました。その方は「その年はいい意味で開き直って解いていた」とのことでした。後から戻って解き直したために間違えてしまった…という経験は誰にでもあると思います。『割り切って引きずらない』この試験に求められる一番大事なスキルはこれだと思います。

執筆・監修 山本裕幸

岡山市の司法書士。司法書士事務所で12年の勤務後、独立開業。現在は相続、遺言、信託に関する不動産登記を中心に、商業登記、成年後見、債務整理、裁判事務と幅広く業務を行っている。

Twitter:@hiro83563030