【合格体験記】司法試験とは何かを分析・研究し試験合格に!予備校も通いながら合格できたコツを紹介!

今回は若手弁護士として活躍されている「S.A」さんの司法試験の合格体験記を元に合格する秘訣に関してご紹介します。

司法試験は他の資格試験よりも難易度が高いと言われていますが、「S.A」さんはどうやって試験突破をしていったのでしょうか。

はじめに・・・

ここでは体験談と併せて今司法試験を目指して頑張っている方々のお役に立てるような情報も提供できたらと思っています。

まず私が司法試験を目指すようになったきっかけについてお話します。

大学入学時に仲良くなった同じ法学部の友人が目指していたからです。

当時の私は何か資格試験に受かれば周りの大人たちからも文句言われないだろうというぼんやりした目標で目指し始めました。そして勉強してみたら思いの他「法律学が面白かった」ということが勉強を続けられた原動力だったと思います。

その友人とは共に司法試験に合格し,弁護士になった今でも仲の良い友人です。

私には「目標にできる同世代の友人がいた」ということが人生を最も左右した事情だと思っています。

私が歩んだルートですが,法学部から同大学のロースクールに進学して修了後に受験した司法試験に合格するという王道ルートを辿りました。

ロースクールに通っている受験生は多いでしょうから一つの参考にしていただければ幸いです。

勉強方法について

まずは司法試験を知りむやみに恐れることをやめた

私が最初にしたことは司法試験とはどのような試験なのかを研究することでした。

司法試験は「文系試験の最高峰」だとか「日本の科挙」だとか言われたりします。

まず司法試験をめぐるそういうぼんやりとしたイメージを払拭しました。

司法試験は本当に受からない試験なのでしょうか?そんなことはありません。

データを参照しても3割の受験生が合格し,短答の足切りを突破すれば4割近くの受験生が合格しています。他の資格試験と大きくかけ離れている数字ではないのです。

まず,「司法試験を受ける」と言うと周りの人間が様々な反応を示してきます。

ポジティブ・ネガティブ両方の反応のほとんどが「司法試験を受けたことがない人」のリアクションです。

私も学部時代に知人から「お前に司法試験は無理」と言われたことがありますし,それなりに落ち込んだ記憶もありますが,彼もまた「司法試験を受けたことはない人」でした。

みなさんの中には家族や知人に「司法試験を受けるのは無駄だから辞めておけ」といった言葉を言われた経験がある人もいるかもしれません。

そのような言葉の数々に付き合うのは時間的にも体力的にも無駄なので,早々に試験の正体を把握してむやみに恐れることはやめるべきです。

司法試験とはどのような試験なのでしょうか。

最も簡単に説明すると試験の正体は以下の科目です。

短答(合計175点)
憲法 50点
民法 75点
刑法 50点
論文 (合計800点)
公法系(憲法・行政法) 200点
民事系(民法・会社法・民訴法) 300点
刑事系(刑法・刑訴法) 200点
選択科目 100点

過去問と出題の趣旨を読んで絶対に答えなければならない項目を研究した

まず,とにかく過去問を解きました。

過去問が重要な理由はただ一つ,自分が試験本番に相対するのと同程度のクオリティの問題だからです。

予備校や参考書の問題とは作成者が違います。それらの「質が低い」というような暴言を言うつもりはありませんが,作成者が違うのですから「別物」と言っても言い過ぎではないと思います。

しかし,多くの受験生が過去問に取り掛かることを先送りにしがちです。

その理由は過去問が解けなかった場合、自分の実力が合格レベルに達していないことに直面してしまうからです。

しかし,だからこそ,今すぐにでも過去問に触れるべきなのです。自分のレベルを把握し有効な対策を講じていきましょう。

そして,出題趣旨も読んでください。

出題趣旨に書かれていることは,試験で回答してほしい「項目」です。

私は出題趣旨を読んで「どの項目は落としてよいのか,どの項目は絶対に書かなければならないのか」を研究しました。

過去問を解いては,教科書と判例百選の該当ジャンルを読み返すという作業を繰り返していました。そうしていると不思議と何度も開くページや条文があることが分かってきます。これが頻出論点です。

多くの司法試験の問題はお持ちの教科書・テキストと判例百選があれば解答することができるはずなのです。逆にこれらを利用しても解けなかった問題は自分の実力が及ばない範囲だと思い諦めていました(しかし,既知の判例解釈論の応用で解答することが求められている場合もありますがいずれにしても応用問題です。)。

忘れたころに復習した

上記のことを意識して,過去問は何度も解き直しました。

ここで重要なのは忘れる前に復習しないことです。

復習は一度解いたことを忘れたころにしていました。理由は答案を再構築したときに以前つまずいたところでもう一度失敗していないかチェックするためです。

解いている最中に思い出して軌道修正することは何ら問題ありません。本番でもこれができれば良いのですから。

そして2回目もつまずいた箇所は自分でその原因を一言で説明してみてください。

例えば,「時効完成後の自認行為は民法146条の時効利益の放棄とは違うことを理解できていなかったから間違えた。」といった具合です。

時間制限の中で起案する訓練をした

最初は倍の時間をかけてもいいので,一定の時間制限の中で解答する訓練をしていました。

時間があれば100点の解答が書けるが制限時間内では50点分しか書けない人と,制限時間内で60点集められる人なら後者の人が合格します。

絶対に書かなくてはならない論点について条文と解釈と事実のあてはめが書けていれば最低限の点数は入ります。

予備校の論文答練の活用

これは直前期になりますが予備校の論文答練を受講しました。

2週間に1度のペース十松に予備校に出向き模擬試験を制限時間内に解いて提出するという形の答練です。

予備校の答練にはそれなりの経済的コストがかかりますので無理に利用する必要はないと個人的には考えています。目的に沿って適切に利用しましょう。

私が答練に求めていた目的は,一堂に会した場所で制限時間内に答案を完成させるという訓練です。

個人的には予備校の答練は上記の目的で利用していましたので,得点については特に気にしませんでした(特に良い点を取った記憶もありませんし,点数に一喜一憂した記憶もありません)。

論文答練を復習するときに重要なのは既に学習していたのに答えられなかった問題がなかったかを抽出することです。

知らない判例や知識が出題されたら仕方がないと諦めて解説を読みました。

しかし,分かっていると思っていた論点を落としてしまった場合は分かったつもりでいる可能性があるため要注意です。

第三者が読んでも分かりやすい答案作成を目指す

私はロースクール内の学生を誘って自主ゼミを組んでお互いの答案を批評するゼミを実施していました。

このゼミの目的は自身の解答の客観性を担保するために実施していました。

つまり,「他人が読んでわかるか」ということです。

しかしこの自主ゼミには「意外と時間が割かれる」といった難点もありました。受験生には娯楽が枯渇しているので複数人で集まるとどうしても話が盛り上がってしまうのです。

また,ゼミを組んだ相手が思いの他不愉快な相手ですぐにやらなくなったという同期もいました。

「解答の客観性を担保」できるのであれば無理に第三者に答案を読んでもらう必要は無いです。

そのためには自分を第三者として機能させるのです。

私の場合は同じタイミングで様々な科目の勉強をするのでそれほど時間を置かなくても答案の詳細は忘れることができました。ですので,12週間後であれば十分第三者として自分の答案を見直せていました。

独自のまとめノートを自作した

私は大学院の授業をもとに教科書・判例を独自にまとめた「まとめノート」を作成しました。

これは試験までに比較的に余裕のある人であればおススメです。

授業の予習としてまとめノートを作って対話式授業ではそのノートを持って教授の質問に答えるということをしていました。

作成したまとめノートは司法試験前日のホテルまで持参して確認していました。

(試験が筆記なのでまとめノートもボールペンで自筆して作成していましたが,編集しやすさやバックアップの取りやすさで言えばパソコンで作成するので必要十分だと思います。)

最初は民法と刑法だけを作成していましたが,授業の予習に役立つので次第に憲法,会社法,民訴,刑訴と増えていきロースクールの2年間で選択科目以外のまとめノートができてしまいました。

そして私は教科書をメインに勉強していました。

具体的に気になる方も多いと思いますが,テキストは何を利用しても良いと思います。

基本書でも予備校のテキストでも合格に必要な情報量が足りているものがほとんどだと思います。敢えて指標を示すとすれば「周りのみんなが使っているテキスト」であれば間違いないと思います。

参考までに私が利用していたテキストを挙げておきます。

なおロースクール在籍当時もどの教科書が良いか悪いかは常に議論されていましたし,話題の最新基本書が出版されるも試験直前に教科書を新しく替えたくなかったためスルーしたという記憶もありましたのでその点はご留意いただければと思います。

民法:内田貴『民法ⅠⅡⅢ』,安永正昭『講義 物権・担保物権法』,『民法親族・相続(リーガルクエスト)』,潮見佳男『プラクティス民法債権総論』,判例百選

刑法:山口厚『刑法総論・刑法各論』,判例百選

憲法:芦部信喜『憲法』,野中俊彦ほか『憲法ⅠⅡ』,判例百選

会社法:伊藤靖史『会社法(リーガルクエスト)』,判例百選

刑訴:宇藤崇『刑事訴訟法(リーガルクエスト)』,判例百選

民訴:三木浩一『民事訴訟法(リーガルクエスト)』,判例百選

労働法:両角道代『労働法(リーガルクエスト)』,大内伸哉『最新重要判例200

私はこれらのテキストとロースクールの授業内容で基本的には司法試験に合格することができました。

予備校は直前期の5か月程利用しました。他人と比べてそれほど特別なことはしていないと言っていいと思います。

短答試験を舐めない

合格するには短答試験で足切りにならないことが前提になります。そして短答式試験は憲法・民法・刑法の基礎体力を鍛える訓練になります。とりわけ民法は条文の勉強がかなり深まります。

問題集は分野別に分かれている短答式試験の過去問が1冊になったもので,すぐ裏に解答解説があるようなものを利用していました。

私は短答式に最後まで自信が持てませんでしたので,試験直前1か月間はほとんど短答式試験の勉強しかしていませんでした。これが有効なのかどうかは個人差があるでしょうからご自身には当てはまらないかもしれません。

最後に

ここまで勉強に対する姿勢をメインに説明してきましたが,最も大事なのは健康だと思います。

体調管理は試験本番にも必要になりますから,無理せず学習を習慣化して進めていけるようになることを目指してほしいと思います。

学習が習慣化すれば自ずと合格が近づいてきてくれるはずです。

私は幸運にも最後まで健康で勉強を継続することができました。

1回目の試験を受けたときも私自身全く手ごたえはありませんでした。

それでも合格できたのは飛びぬけて素晴らしい解答があったわけではありません。

全ての答案において「普通」だったこと,これに尽きると思います。

不合格になる人はどれかの科目で大きく減点されていることが多い印象です。

良い点を取る必要はありません。全科目で落第点を取らなければ合格できるのです。

最後までこの記事を読んでいただきありがとうございました。皆様の健闘をお祈りしております。

執筆・監修 S.A

法科大学院・既習コースを卒業し同年の司法試験に合格。2017年に弁護士登録し,現在は都内の法律事務所で弁護士業務をしております。