宅建は就職・転職に有利? 未経験でも需要はあるの?

「宅建」は、ビジネス系資格の中で最も有名なものの1つでしょう。
ただ、「就職や転職に有利なの?」「会社に入ってからも役に立つの?」
など、宅建資格には関心があるものの、内容がよくわからず目指すかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、「宅建」の資格について、就職や転職の際のメリットを解説していきます。

そもそも「宅建」とは何か

不動産取引の専門家を「宅建士」、正確には「宅地建物取引士」と呼び、国家資格にあたります。

業務内容を簡潔に表現すると、以下のようになります。
「宅地建物取引業者が行う宅地や建物の売買・賃貸等の取引に対して、円滑な流通は購入者の利益の保護等のために、法に定められた事務を公正・誠実に行う」

不動産の取引には必ず宅建士が関わっていなければなりません。そのため、不動産業を営む事業者は、従業員5人に1人の割合で宅建士をおかなければなりません

このように、宅建士は不動産業界において、必要不可欠な存在なのです。

  • 年収は?

平均年収はおよそ500万円と言われ、昇格も期待できる資格となっています。営業職であればインセンテブや資格手当などで高水準の年収も可能でしょう。事務職でも、少なくとも資格手当による収入増が期待できます。

  • 受験資格・合格率は?

宅建は受験資格がなく、誰にでもチャンスがあります。合格率は20%程度で決して簡単な試験ではありません。しかし、適切な勉強時間と学習方法で合格は可能です。専門もスクールに通うことなく、独学や通信講座の活用で十分に合格を目指すことができます。

宅建資格は就職に活かせるのか

宅建士の需要は大きい

就職市場において、宅建士の需要は極めて大きいです。特に不動産業界でもそれが顕著です。実際、従業員に研修受講を義務化し、その費用も企業が負担するということもあります。

先に紹介した通り、不動産業を営む場合、従業員の5人に1人の宅建士でなければならない、という法律があります。

不動産の売買や賃貸契約を獲得するための営業活動は宅建士でなくてもできます。しかし、「契約を交わす」段階では必ず宅建士が必要です。具体的な業無は以下の3点です。

  • 重要事項説明
  • 重要事項説明書への記名・押印
  • 契約書への記名・押印
これらの業務は、国家資格である宅建士でなければできない「独占業務」なのです。

どれほど不動産販売、賃貸契約を獲得しても、最終的に契約書を交わすことは宅建士がいなければできないのです。したがって、法的に最低限の5人に1人では、契約案件が増やし、業績を伸ばすためには不足するかも知れません。しかも正社員雇用でなければなりません。

できれば社員全員に宅建士資格を保有してほしいと考える経営者がいても不思議ではありません。資格手当を支給してでも確保したいと考える企業が多いのです。

このように、宅建士資格は就職する上で、非常に有利だと言えるのです。

新卒でも宅建資格保有者は非常に有利

不動産業界への就職を目指す大学生が、在学中に宅建に合格しておくと非常に有利になります。

先に述べたように不動産取引上、必要不可欠な資格ですので当然です。しかしそれだけではありません。業界への就職意欲、本気度の高さが伝わるのです。その努力と合格した事実が「実行力」として大いに評価されるでしょう。

宅建は決して簡単に取得できる資格ではありません。
一般的には、300時間程度の勉強時間が必要だと言われています。大学の法学部等で法律を専門的に学んだ人であればもう少し短縮できるかも知れません。

出題される分野は、「宅建業法」「民法(意思表示・代理・賃貸借・抵当権・相続等)」「借地借家法」「不動産登記法」「国土利用計画法」「建築基準法」などです。さらに税金や土地・建物などについても出題されます。

法律初学者でも十分に合格はできますが、しつかりと勉強する必要があります。社会人になると、仕事と勉強を両立するために時間も労力も相当な負担になるでしょう。

その点、自由時間が多い大学生のうちに合格しておくと、就職活動に大きなアドバンテージをもって臨むことができます。

有利になるのは不動産業界だけか

宅建は不動産業界にしか通用しないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。

大手建設会社であれば、建築から販売まですべて行うこともあります。住宅やマンションの販売には宅建業の免許が必要であり、宅建士が活躍する場は十分にあるでしょう。

また、金融・保険業界でも宅建士の需要があるのです。
例えば、不動産投資や住宅ローン等を扱う銀行、証券会社、契約の際に住宅ローンの有無などが関係する生命保険会社などで宅建士が求められています。

このように、宅建士資格を保有していれば、不動産業界だけではなく、金融や保険といった平均収入が高い業界への就職にも有利なのです。

宅建資格は「転職」には活かせるのか

「新卒」での「就職活動」においては宅建資格が非常に有利であることはお分かりいただけたと思います。

では、「第2新卒」や20代で仕事を探す場合はどうでしょうか。その場合、新卒ではありませんが、企業が求めるのはキャリアではなく、「意欲」や「ポテンシャル」なのです。
したがって、宅建資格を保有している場合には、新卒同様有利に働くでしょう。

少子化が進む中、企業の多くは若年労働力不足に喘いでいます。第2新卒や20代で「意欲があり、それを裏付ける宅建資格も持っている」人であれば、必ず関心を持つ企業があるでしょう。

しかし、30代以上での転職となると、状況は変わります。中途採用にあたって、年齢が上がれば上がるほど即戦力としての「経験」と「スキル」が求められるからです。

不動産業界で実務経験があると非常に有効

不動産業界での経験があれば、宅建資格を持っていることが非常に有効です。

「経験」「スキル」に加え、宅建資格があれば、中途採用で求める人材として非常に望ましいからです。
通常業務ができ、その上宅建士としての業務もできるとなれば、不動産業界での転職は決して難しくありません

実務経験がない場合は?

30代以上で不動産業界での実務経験がない場合。この場合は宅建資格を持っていても簡単ではありません。

先に述べたように、30代以上の場合即戦力として期待されるからです。不動産会社は取引で利益を上げることが目的ですので、宅建士の独占業務だけできればいいわけではありません。営業や事務としての業務が主となります。

したがって、未経験である場合、宅建士以外の業務を覚えなければなりません。20代までであれば、将来に期待してある程度長期間でのキャリア形成も許されますが、ある程度の年齢になると、その時間は許されません。

即戦力として、採用コストや入社後の人件費以上の成果が求められるわけです。

それでも宅建資格は持つべきか

業界未経験で、しかも30代以上の場合には転職が厳しいと申し上げました。
しかし!不動産業界を目指すのであれば、未経験だからこそ宅建資格を取得しておきましょう

今後も劇的に景気が上向くことは期待できないでしょう。しかし、不動産取引は必ず行われ、業界は慢性的に人手不足なのです。特に宅建士については、恒常的に求人を出している企業も少なからずあります。不動産の契約は、宅建士がいなくてはできないからです。

たとえ不動産業界での経験がなくても、他業界で営業や事務の経験はある。宅建資格も持っている。宅建士であることは、少なくとも不動産業界についてかなりの専門知識を持っていることの証明にもなります。そんなあなたに関心を持つ人事担当者は必ずいるはずです。

「独占業務」がある限り、不動産業界において宅建士の需要がなくなることはありません。
今は未経験でも、将来不動産業界で活躍したい方は、ぜひ宅建資格をとっておくことを
おすすめします。

宅建士として、特に携わりたい仕事を明確にしておくことが大切

宅建士資格が就職や転職に有利であることは述べてきたとおりです。しかし、資格は自分がしたいことを実現するためのツールにすぎません。

一番大切なことは、自分は何がしたいのか、どんな仕事がしたいのかという目的やそこに至るまでのビジョンを持つことです。不動産業界でそれを実現するために強い味方になるのが宅建士資格なのです。

不動産業界にも、仲介・買い取り・分譲などに分かれ、仲介も「賃貸」と「売買」があります。分譲でもマンションもあれば建て売りもあります。他にも仕入れやブローカーといった業務もあり、仕事の幅は非常に広いと言えるでしょう。

宅建士として、特にどのような取引、業務に携わりたいのか、その道のプロになりたいのかを明確にしておくことが必要なのです。宅建士資格はそのために活かす武器だと考えましょう。

「宅建は就職に有利なのか」についてのまとめ

では最後に、重要事項をまとめておきましょう。

まとめ
  • 宅建士の需要は大きく、今後も続くことが期待できる
  • 新卒、第2新卒、20代での就職には有利
  • 転職の場合は経験や年齢要件により変わる

宅建士の需要は不動産業界に限らず高く、独占業務もあるため就職・転職ともに有利になることが多い資格です。

不動産業界意外にも活躍できるフィールドが広い宅建士。もし迷っているのなら、思い切って1歩踏み出してみませんか!

■監修者より一言

宅建士試験はむしろ未経験者が受験する方が多い試験です。仮に大学卒業後に不動産業界に就職が決まったならば、内定をもらったその日から試験対策にかからなければなりません。試験まで半年もないですが、資格予備校等の力を借りて準備すべきでしょう。多くの方が学生のうちに合格しています。
未経験者でも資格を持っていれば、不動産業界では即戦力です。重要事項説明書作成に必要な役所調査、書類収集、現地調査の上で写真や動画に情報を残しておくなどの業務はむしろ新人の仕事です。これらの業務は、宅建士の知識を最大限に生かして行います。
不動産業界は職人気質の方が多く、業界に入ったとしても一から不動産知識を教えてもらえるとは限りません。その準備のためにも、なるべく早く宅建士の試験対策に取り組みましょう!

宅建士監修 徳田倫朗(トクタ ミチロウ)

株式会社イーアライアンス代表取締役。宅地建物取引士。不動産・再生可能エネルギー投資ファンドの組成・販売、投資用商業不動産の売買・仲介、海外不動産投資など、不動産に関する20年以上の実績と経験を有する。近年では「新しいコトに新しい資本の流れを」をコンセプトに、イノベーティブなビジネスモデルと市場に散在する遊休資本をつなぐための新しいファイナンスモデルを開発・提供している。優れた技術革新や新サービスを事業として洗練させるとともに、それらに対する新たな資本の流れを創造する。