AIに奪われる!? 宅建士の需要・将来性は実際どうなの?

「これからはAIに人の仕事が奪われると言われるが、宅建士の仕事は大丈夫だろうか」

宅建士に限らず、近年のAI技術の進歩は著しく、数十年後には今の仕事の8割がAIにとって代わられると言われています。

そんな中、宅建はどうでしょうか?
ここでは宅建資格の将来性や需要について、根拠を示しながら解説していきます。

宅建の仕事はどのようなものか

まず、宅建士の仕事について簡単にご説明します。
宅建士の仕事は、建物や土地の売買を行う際に、消費者が不当な契約を結ばされないようにすることです。

不動産取引では、売り手が不動産業者で買い手が一般の人、という場合が多いです。そこで、宅建士は専門家として適切な助言を行う役割を担います。

宅建士の「独占業務」とは

宅建士にしか行うことができない、「独占業務」があります。以下の3つの業務です。

  • 建物の取引での重要事項説明
  • 重要事項説明書面への記名・押印
  • 契約書への記名・押印

契約書は、金銭の支払い方法や引き渡し時期など、詳細にわたって明記されています。
手順としては、重要事項説明と書類での記名・押印の後、契約書の内容を確認した上で
記名・押印という流れで行われます。

宅建士の仕事は「独占業務」だけではない

上記のような契約に関わる「独占業務」の他にも多くあります。

具体的には、以下のような仕事です。

  • 不動産などの運用に関するコンサルティング
  • 土地の売主・買主の契約のお手伝い
  • 土地や建物を賃貸・売買したい人の要望に沿って不動産を紹介すること

このように、宅建士の業務は所属する業界や会社によっても異なります。これも宅建士の需要が継続するであろう理由の一つです。

ちなみに、資産価値のも見積もりなどに関しては金融に関わる知識も必要であるため、併せてFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を保有しているとさらに信頼を得ることができるでしょう。

宅建資格の将来性

近年ではIT化によって人手が不要になっています。

宅建の仕事にも事務的なものがあり、IT化の影響は避けられません。しかし、減るのは事務作業であり、営業活動を中心とした人が介在する仕事は変わりません

そのため、宅建士の役割に関しては、その将来性を悲観することは全くありません。

宅建士の今後は?

宅建士は、宅地建物の取引に関するプロフェッショナルです。
不動産は、時代が進んでも取り扱う領域や商品としての位置づけに何ら変わりはありません。人がそこで生活し、経済活動をする上で必要不可欠なものだからです。

したがって、不動産売買取引がなくなることはなく、それを専門家として扱う宅建士の必要性も不変なのです。

また、少子高齢化に伴って増えている空き室や空き家問題についても、不動産の専門家である宅建士の役割が増すでしょう。

宅建の仕事は、AIに代替される事務作業もありますが、それは一部に過ぎません。不動産に関する専門家として、宅建士の将来は明るいと言えるでしょう。

宅建士の需要は法律に支えられている

宅地建物取引業者は「宅地建物取引業法」を遵守しなければなりません。この法律において、宅地建物取引業者は従業員の5人に1人は宅建士でなければならないと規定されています。

つまり、不動産業界では宅建士は常に求められています

また、大手不動産業者の中には、全ての営業職員に宅建資格取得を求める会社もあります。ほとんどの従業員が宅建資格保有者であることは、会社として対外的に高い信頼を得ることができるのです。

実際、5人に1人しか宅建士を雇用していない会社はまずありません。宅建士が1人でも退社すると、営業できなくなるからです。

さらに、近年は宅地関係法令が年々厳しくなっており、それに対応するために宅建士の需要はますます高まると予想されます。

宅建士とAI

宅建の業務に対するAIの影響

AIに代替される業務の多くは書類作成などの事務作業です。

当然のことながら、人の感情が伴う営業業務などは人でなければできません
宅建士の仕事内容は、AIでは対応できない仕事が多く、今後も宅建士の必要性が低まることはないでしょう。

一部の定型業務はAIを活用できるでしょうが、大部分は影響を受けることはないでしょう。

AIが宅建の仕事を脅かさない理由

土地の価格の査定方法には4つあります。公示価格、基準地価、路線価、相続税評価です。

ただ、それ以外にも付加価値として最寄り駅からの距離、築年数などの多くのデータが勘案した上で価格が決まります。

このような価格決定の過程は、データ処理に基づきますのでAIで十分に行うことが可能になるでしょう。それにより、一部の業務はAIに任せ、顧客からの相談対応などに注力できるという利点があります。

大切なことは、AI導入は宅建士の業務効率化を図ることなのです。宅建士の重要な仕事は対面での営業活動です。

AIでは人の感情を理解し分析することは非常に困難で、物件を探すお客様のニーズを的確に把握することは難しいのが現状です。

もし物件を探す側になった時、色々な条件を出して情報を集めることはAIに任せても良いと思うかも知れません。しかし、その中で最適な物件を選ぶためには専門家とのコミュニケーションが必要だと思いませんか?

AIは活用するべきもので、決して宅建士の仕事を脅かす存在ではありません。

AIはむしろ宅建の仕事の幅を広げる

前述した通り、AIは上手に活用するべきものです。

物件の基礎情報や価格などのデータ収集や整理はAIを活用し、宅建士は顧客対応により力を注ぐべきなのです。それにより、顧客に対してよりきめ細かいサービスや提案ができるようになるでしょう。

また、顧客の質問や希望条件などをAIが分析し、データとして整理することで顧客の知りたい情報がスムーズに提供するシステムができるようになります。担当者と相談するために待ったり、時間調整をしたりする必要もありません。

このようにAIは宅建士の仕事を奪うものではなく、むしろ業務のクオリティを上げる存在となり得るのです。

独立開業した場合の将来性

ここまで、機械化やAIでは宅建士の仕事がなくなることはない、ということを述べてきました。独立開業した場合でも、その将来は明るいと言えるでしょう。

ただ、独立開業した場合には、営業努力と集客が必要です。
高い収入を実現するためには、web広告の活用など、現代に合った集客方法が必要です。
さらに、AI技術などをどのように活用するのかが大切になるでしょう。より多く、より詳しく、より細かい要望に対応する情報を提供することが顧客の確保につながると思われます。

最先端技術の活用は、敬遠するものではなく積極的に取り入れ、活用するべきものです。

独立開業した場合には、AIやITで武装することで他の開業者と差別化できます。さらに、ダブルライセンスや実務経験を重ねることで、多くの宅建士の中に埋もれず、存在感を出すことにつながるでしょう。

実績が信頼につながり、評判となります。少しずつ、実績を積み重ねていきましょう。

宅建士は目指すべきなのか

取得難易度とメリット

宅建資格を取得するためには、およそ300時間程度の勉強が必要だと言われています。期間にして、4~6ヶ月が必要でしょう。
しかも、合格率は15%程度と、決して高くはなく、毎年8割以上の人が不合格になる試験であり、簡単に合格できる資格ではありません。

一方で、取得することで毎月数万円の資格手当がもらえる起業があり、さらに就職や転職にも有利です。特に不動産業界で活躍するには、必須の資格です。

宅建士は宅地建物取引のプロであり、それを対外的にアピールできますし、資格を保有していない人と差別化できるのです。
また、宅建士資格を保有していることは対外的な信用を得やすく、営業成績や事業利益に大きく貢献します

このように、難易度は高いのですが、取得後のメリットや将来性を考えれば目指す価値は十分にある資格ではないでしょうか。

宅建の取得を目指す上で注意するべきこと

宅建資格を独学で目指す方は、少なからずおられます。
しかし、試験は年に1度しか実施されず、不合格になれば次のチャンスは1年後になります。

一般的に宅建の資格手当は月2万円程度ですので、1年合格が遅れれば24万円の収入を得るチャンスを失うことになります。また、転職するにも年齢が上がることもあって、可能性が低くなります。

このように、不合格すると「機会損失」は大きく、受験するからには1発での合格をめざしましょう

宅建の将来性と需要についてのまとめ

最後に、宅建の将来性や必要性についてまとめておきましょう。

まとめ
  • 宅建資格の将来性は明るい
  • 営業などは今後も人の力が必要不可欠
  • 難易度は高いが、取得後のメリットは非常に大きい
  • 目指すなら一発合格し、少しでも早く恩恵を受けた方がお得

AIが人から仕事を奪う、とよく言われています。しかし、宅建士にはそれは当てはまりません。それどころか、うまく活用することで仕事のレベルを上げることもできます。

不動産の取引は今後もなくなりません。そこに法的に介在する宅建士の仕事は必要であり、その中で営業などの人とのコミュニケーションが重要な仕事はAIにはできません。

宅建士資格は今後も需要は高く、将来は明るいと言えるでしょう。皆さんも、ぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。

■監修者より一言

 AIが業界に浸透するか否かは以下の2点が重要になってくると思います。

(1)業務内容についてAIと親和性があるか
(2)業界内の人材がAIに好意的か

(1)の点について、不動産価格を決定付けるデータ収集や分析面については、AIが得意とする分野でしょう。しかし、それは宅建士の業務の一部に過ぎません。
宅建士の仕事は、取引当事者、行政庁、専門家との間を取り持ち、不動産取引を円滑に成功に導くことです。これはAIに取って代わるような業務ではありません。
また、不動産業界にはデジタルを使いこなせる人材が少なく、未だに多くの部分をアナログに頼っています。不動産業界にAIの波が押し寄せるのは相当先のことになるでしょう。

宅建士監修 徳田倫朗(トクタ ミチロウ)

株式会社イーアライアンス代表取締役。宅地建物取引士。不動産・再生可能エネルギー投資ファンドの組成・販売、投資用商業不動産の売買・仲介、海外不動産投資など、不動産に関する20年以上の実績と経験を有する。近年では「新しいコトに新しい資本の流れを」をコンセプトに、イノベーティブなビジネスモデルと市場に散在する遊休資本をつなぐための新しいファイナンスモデルを開発・提供している。優れた技術革新や新サービスを事業として洗練させるとともに、それらに対する新たな資本の流れを創造する。