【現役宅建士監修】宅建士の資格を活かせる業界・業種は?転職・副業についても解説!

資格を武器にプロフェッショナルとして活躍したい!資格取得を目指している方は誰しもそんな夢を抱いていると思います。

でも、資格を取得したからといって仕事に直結しないこともよくあります。

「博士号は足の裏の飯粒のようなもの。とらないと気持ち悪いが、とっても食えない」なんて自虐的なことをいう人もいますが、資格の中には活かせる場が限られているものも少なくありません。

そんな心配をお持ちの皆様のために、今回は宅地建物取引士がどんな業界で活躍しているのかについてご紹介します。中には意外な活躍の場があるかもしれません。

今回は宅建の専門家「徳田倫朗」さんに宅建士試験の資格を活かせる業界・業種について解説して頂きました。

「宅建士」はツブシの利く資格

 「宅建士」を目指す方は不動産業界でダイナミックな不動産取引を経験したい!と思っている方も多いと思います。

しかし、「宅建士」は「ツブシの利く資格」として知られています。

「ツブシが利く」とは?
つまり、どの業界の仕事に就くにしても、宅建士は役に立つ資格ということです。その理由の一つに、不動産を活用して仕事をする、という業界・企業が非常に多いことが挙げられます。確かに、不動産を使わない仕事って、見つけるほうが大変ですよね?
IT業界ぐらいでしょうか。

それでは、宅建士が日々奮闘している仕事の場をご紹介します。

「宅建士」の王道・不動産業界 

まずは不動産業界です。

宅建士がなぜ国家資格なのかというと、不動産の契約の際に、重要事項の説明をすること、および重要事項説明書への記名押印が宅建士の独占業務とされているからです。

また、契約の際には、宅建士は宅建士証(運転免許証のようなもの)を重要事項説明の前に契約者に提示しなければなりません。

このような法律があるために、不動産の契約には宅建士が同席することが必須であり、宅建士の資格がないと仕事にならないといっても過言ではありません。

不動産業界と一口に言っても、大きく分けて、不動産賃貸、不動産売買、不動産開発の職種に分かれます。順にみていきましょう。

不動産賃貸

 最も身近な存在としての宅建士、不動産賃貸の契約の時にストラップを首にかけて宅建士証を提示し、重要事項の説明を受けた経験がある方は多いと思います。

 まさに各店舗の契約責任者として、重要事項説明書および賃貸契約書の作成、説明を担当します。

 賃貸といってもアパート、マンションだけではありません。商業用ビルにおけるオフィスの賃貸、商業施設のアパレル・雑貨などのテナント誘致、またビル・ホテル一棟丸ごとの賃貸もあります。取引額が多くなるほど、検討しなければならない書類も増え、取引額は数億円に上ることもザラです。

不動産売買

 不動産売買は宅建士の主戦場といってもいいでしょう。新築・中古マンションや一戸建ての売買に立ち会うときは、人の一生を決めてしまう売買を経験することになります。

 また不動産のみならず、住宅ローンや引き渡しまでの法律関係の処理、引き渡し後の管理など、多くの知識と経験が要求されます。

 他にも、投資家への投資用不動産の売買仲介業務、工場や商業施設、最近では再生可能エネルギー発電所用地の売買など、いずれも数億円から数十億円の取引になります。契約準備に入る担当者は段ボール数箱分の資料すべてを精査し、重要事項に盛り込まなければならない事項を洗い出します。

 また、弁護士、税理士、不動産鑑定士、司法書士、金融機関、各所の専門家との調整業務にあたるのもやはり、宅建士の仕事です。

不動産鑑定士の鑑定評価を基に適正価格を提案し、税理士・会計士と相談しながら不動産投資事業計画を立案し、弁護士を介してリーガルチェックやドキュメンテーションを行い、登記に必要な書類を収集して確実に司法書士に受け継ぎます。宅建士のプロは一連の手続きについて、さながら儀式を執り行うかのごとく滞りなく行うものです。

不動産開発

不動産開発業務において宅建士は、土地にビル・ホテル・商業施設を建設して売却する、という一連の業務を取り仕切ります。

 特に広大な土地ですと隣の土地との境界が定まっていない場合があるので、測量、境界画定業務を土地家屋調査士と協力しながら行います。

そして、土地が定まったら、目的の建物を建設して売却したときにどのぐらいの利益が出るのかを見定めながら、すべての支出と利益、そして工程の管理を行います。土地造成、設計、建設、外構(建物の周りの植栽や石垣、装飾など)・・・こういった不動産開発に関わるプロフェショナルをつなぎ、一つの作品ともいえるべき不動産を作り上げます。宅建士の中でも最もクリエイティブな仕事と言えるでしょう。

宅建士が多い!金融・ファンド業界

 不動産業界の次に宅建士が多い業界は・・・・金融業界です

 特に融資担当の銀行員、プライベートバンカーと呼ばれる富裕層の資産管理のプロフェッショナル、そして、不動産ファンドのファンドマネージャーなどの多くは宅建士を保有している方が多いです。自身が税理士や証券アナリストなどで、宅建士を保有していなければ、必ず宅建士とタッグを組んで仕事にあたります。

 上場株式のカテゴリーや転職サイトのカテゴリーとしては「金融・不動産」と一括りにされるほど、金融と不動産はつながりの深い仕事です。大きな融資になると、不動産を担保に融資を実行する場合が多いことから、不動産の知識が必要とされるのです。投資用不動産の契約手続き、通常銀行の応接室で行われます。これは、口座からの出勤手続きや入金の確認、融資書類の取り扱いがスムーズだからです。

 また、住宅ローンを専門に扱う会社も最近は増えてきています。いわゆるフラット35といった住宅ローンは、建物に条件が合ったりするために、不動産の知識が必要になってきます。こういった仕事に就く場合でも宅建士であることがアピールポイントになることは間違いありません。

一般企業でも「宅建士」必須の部門がある

 一般企業でも、宅建士が必須の部門があります。それは主に店舗開発を主業務とする部門です。

 具体的には、フランチャイズの飲食店や商業施設によく出店しているアパレルや雑貨屋さんなどは、不動産の賃貸契約の管理が日常茶飯事にあるために宅建士が重宝がられます。

 また、コンビニエンスストアやドラッグストア、大きな幹線道路沿いに立っているレストランなどは常に出店機会を探して、好立地の土地の地主と交渉しています。マクドナルドは駅前の好立地の出典が多いですが、出店場所が売り上げを決める、という意味で、不動産会社である、と形容されることもあります。

 また、鉄道会社も不動産要素の強い業界です。鉄道会社がダイヤを変更したり新路線を開業したりするのは、それにより街の利便性が高まって不動産の価格が上昇するからです。鉄道会社系列の不動産会社は、グループの戦略に従って土地を事前に仕入れて、価格が上昇したら開発して売却します。

このように不動産を扱う企業では、人事・総務部門、契約管理部門の方も宅建士である場合が多いです。不動産関係の書類をたくさん扱いますし、会社が不動産業の登録をしていたほうが業務がスムーズであるという理由から、専任の宅建士として配属されているケースも散見されます。

 このように不動産に関する仕事は一般企業でもたくさんあるのです。

副業やフレックスタイムの募集も増加中

最近では、働き方改革の流れを受けて、副業やフレックスタイムの人材募集も増えてきたように思えます。宅建士は特に契約の時に必要になってくる人材ですので、週末だけの勤務とか、フレックスタイムでの勤務に向いているのです。

専門知識を生かして、契約書作成のサポートをしたり重要事項説明のみを請け負ったりして、本業は自分のやりたいことに邁進している方もどんどん増えています。

宅建士はこのような時代の流れにも適応している資格であるといえるでしょう。

宅建士試験は幅広い業界で必要とされる不動産に関する知識がそのまま試験問題として問われる、実務的な試験です。取得後、実務研修を受けて正式に登録した後は、即仕事に活かすことのできる希少な資格であることは間違いありません。

現在もいろいろな活躍の場がありますが、ますます重要性を増していく資格であるといえるでしょう。

宅建解説

執筆・監修 徳田倫朗(トクタ ミチロウ)

株式会社イーアライアンス代表取締役。宅地建物取引士。不動産・再生可能エネルギー投資ファンドの組成・販売、投資用商業不動産の売買・仲介、海外不動産投資など、不動産に関する20年以上の実績と経験を有する。近年では「新しいコトに新しい資本の流れを」をコンセプトに、イノベーティブなビジネスモデルと市場に散在する遊休資本をつなぐための新しいファイナンスモデルを開発・提供している。優れた技術革新や新サービスを事業として洗練させるとともに、それらに対する新たな資本の流れを創造する。