通関士試験の難易度は?合格率や勉強時間などを解説

通関士とは、貿易する際に必要な専門的な手続きを通関輸出入業者に代わって行う、輸出入に関するプロフェッショナルな仕事です。通関士になるには国家資格を取得することが必要です。

この記事では、通関士試験の難易度や合格率、独学でも合格可能なのかなどについて詳しくお伝えしたいと思います。

通関士に興味のある方はぜひ参考にしてください。

通関士の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
2019年度 6,388名 878名 13.7%
2018年度 6,218名 905名 14.6%
2017年度 6,535名 1,392名 21.3%
2016年度 6,997名 688名 9.8%
2015年度 7,578名 764名 10.1%

通関士試験の合格率は1020と低く、難易度は高い資格と言えます。おおよそ10%前半くらいの合格率と思ってよいでしょう。

難易度を偏差値で表すと、おおよそ59くらいになります。

他の国家資格の偏差値は、行政書士で62、社労士は65ぐらいと言われています。それよりは低いことになりますが、国家資格以外の資格も含めた全体の偏差値で見ると、偏差値が59ということは、難易度はやや高めの資格ということになります。

通関士試験対策の際には、この難易度や偏差値を意識して学習を進めていくと良いでしょう。

通関士の試験内容は難関

通関士の難易度が高い主な理由は、覚えなければいけない内容が専門的で難しいことにあります。

通関士の試験学習の中で難易度をあげている要因に、一般的に苦手意識が強い法令と理解することが難関な計算が中心となっている点があります。

通関士試験は「通関業法」「関税法等」「通関実務」3つの内容に分かれています。法令分野に苦手意識を持つ人は多くいます。特に法令用語には難しい文章も多く、暗記するところもたくさんあります。「通関実務」は特に難しい分野です。

通関実務の試験では、関税法と通関業法で学んだ知識を実務としてアウトプットできるかどうかが問われる試験となります。

関税や消費税などの計算問題や輸出入の際の申告書作成など、実務さながらの試験内容となっています。

択一式、選択式、計算式など出題パターンも幅広く、特に計算問題でつまずいてしまう場合が多く、全体の合格率を下げる要因になっていると言われています。

関税法、通関業法で充分専門知識を身に付けると共に、あらゆる出題形式に対応する力を養いましょう。

出題形式について

通関士の資格試験は、基本的にマークシート方式で、五肢択一式、選択式、計算式となっています。
全体を正しく理解していなければ正解できない問題なので、充分学習する必要があるでしょう。

計算式では、計算問題や申告価格の問題が多く出題されるようです。課税価格、関税額、延滞税など電卓を使って計算します

このように、通関士の試験の出題傾向は、苦手意識が強い法令問題や難解な計算問題があり、通関士試験の難易度をあげているのではないかと言われています。

通関士の合格基準

通関士試験は、上記3科目それぞれに60%以上の合格基準が設けられています。

1科目でもその基準を満たせなかった場合は不合格となりますので、全ての科目においてしっかり得点が取れるように学習計画を立てる必要があります。

通関士はどんな人が受けている?

多様化する受験者

現在も通関士の資格は人気があります。

貿易がますます盛んになると言われている日本では、将来においても通関士の需要は増加の一途をたどるでしょう。

また、最近では、通関業の知識が別の業界でも必要になったことで、通関士試験の受験者が増加傾向となっています。

通関業務に従事しない業界の人が通関士の資格取得を目指すのは、海外の物流に関わる機会が多いメーカーや商社、その他の企業が、通関の知識を求めるようになったということが理由に挙げられます。

通関士の業務はデスクワークが中心になるため、女性の活躍も期待されています。

通関業界だけでなく、他の業界の女性学生の受験者も増えているようです。

転職するのに需要の多い資格取得を考える人も多いと思います。通関士の資格を取得して、有利に転職を考えている女性が増えていることも理由の一つと考えられるでしょう。

世界中でグローバル化が進み、貿易関係の仕事は人気が高いです。学生や転職などの就活の際に自身のアピールポイントとして通関士の資格取得を目指して受験する学生が増えているようです。

受験資格がないので誰でも受験可能

通関士は、合格率が低く難易度は高いものの、受験資格は設定されていません。

就職に有利に働くように学生の受験生や転職を検討している方の受験も多くみられるようになってきました。

性別や学歴はもちろん、国籍や年齢なども全く問われないため、興味がある方は誰でも受験できる試験なので人気があります。

現場経験がある人は科目免除要件も

通関士の試験は、通関の現場で実務経験がある場合は試験科目が免除されることがあります。

科目免除要件があるのは、通関での実務経験が5年以上」の場合と15年以上」があります。

それぞれに免除要件に違いがありますが、該当者は、一般の受験生のように全ての科目を受験しなくても良いので、独学でも合格できる可能性は高くなります。

通関士と他の資格の難易度を比較

貿易系の資格と比較

通関士と同じ貿易に関係する資格では、海事代理士と貿易実務検定と比較します。

【海事代理士】

海事代理士の試験を受ける人は、ほとんどが法令系の知識を元から持っている人です。

貿易関係の初学者が受ける試験ではないので、試験内容についてもより専門的なものが多く、通関士よりも海事代理士のほうがやや難しい資格と言えそうです。

海事代理士の仕事内容は、船舶登記や船舶登録など、行政機関への海事に関する申請や手続き、書類の作成などです。

試験では一般的な法令に加え、海事関係の法令も出題されます。

試験は筆記と口述とあり、合格率は筆記で50%前後、口述は6090%程度となっていて、合格率に大きな差があります。

試験全体の合格率で換算すると30%~50程度ですので、合格率だけを見れば、海事代理士は通関士より易しい資格と言うことができます。

【貿易実務検定】

貿易実務検定とは、貿易の取引に関する実務能力や貿易の業務に必要な英語能力などがどの程度身についているか客観的に測るための検定試験です。試験内容は貿易に関する総合的なスキルを身につけることを目的として、貿易実務や実務英語、マーケティングなど幅広い内容となっています。

AC3段階の難易度に分かれていて、Aのランクが最も難易度が高くなっています。

C級の合格では、就職や転職に有利とは言えません。A級を取得していれば、転職の際に役立つ可能性もあり、実務にも役立つ知識を身につけることができるでしょう。

A級の合格率は40前後、B級の合格率は50前後、C級の合格率は50%~60となっています。通関士と比べても貿易実務検定の難易度は低いです。

士業系の資格と比較

次に、士業系の資格と比較してみます。

通関士の合格率は10%前後です。同じくらいの合格率の士業では、行政書士、社労士、公認会計士、税理士となります。

士業全体では、通関士の合格率はやや高めといったところです。通関士の試験は、士業全体で見ると若干易しい試験だと言えます。

しかし、先ほど説明したように通関士試験は「関税法」「通関業法」「通関実務」の3科目で60%以上の正答を出さなければ合格となりません。

この3科目の中で苦手分野がある場合、残りの2科目でカバーすることが困難であるという難点があります。この点が、通関士試験を難しくしている最大の原因となっていると思われます。

他の士業資格と同じように、合格に向けて対策を講じることが大切と言えるでしょう。

通関士は独学合格できる?

他の難関国家資格と比べると通関士試験は3科目と少なく、比較的対策は練りやすい資格であるとは言えます。受験資格も特にいらないので、幅広い職業の方や学生が受験をしています。

ただし、通関士試験の合格率は10%前後と言われており、他の資格試験と比べても難易度は高い資格です。安易な気持ちではなかなか合格はできない資格と言えるでしょう。

通関業務に携わっていたり、法令に関する知識を持っていたりする人であれば、独学合格の可能性も高いと言えます。

しかし、通関士自体の知名度は高いものではなく、インターネット上で調べ物をしてもヒットする情報が少ないのが現状です。そのため独学でつまずいた場合などのフォローが充分ではない場合も想定されます。

通関士の学習時間は400~500時間

通関士試験は毎年10月に行われています。
通関士試験に合格するためには最低400~500時間の学習時間が必要だと言われています。

試験を受験する人の中には、社会人も多いでしょう。社会人だと毎日の学習時間を確保することは結構難しいため、多くても1日あたり2~3時間くらいの時間しか確保できないでしょう。単純計算すると、ほぼ半年の期間を学習しないといけないと言うことになります。

10月の半年前から準備するとなると、大体4月~5月くらいから学習を開始することになります。その頃から学習を開始すれば、合格に必要な勉強時間数を確保できる計算になります。

しかし、学習が予定通りに進むとは限りません。特に社会人であれば、更に余裕を持ったスケジュールを立てる必要がありそうです。
可能であればもう少し余裕を持って、2~3月くらいから勉強を始めておくことをおすすめします。

通信講座がおすすめ

通関士試験は認知度が高くない資格であり、ネット上にも情報が溢れているわけではありません。

独学で学習する場合、調べものに時間がかかったり、モチベーションが低下したり、学習時間を多く確保する必要があります。

確実に合格を狙って効果良く学習したい人は、通信講座の受講も選択肢の一つにすることもおすすめします。

まとめ

最後に、通関士試験の難易度についてまとめておきましょう。

  • 合格率は10~20%
  • 試験科目3科目中「通関実務」が最難関
  • 3科目それぞれに60%以上の合格基準がある
  • 勉強時間は400~500時間必要

通関士の合格率は低く難易度は高いと言えますが、他の難関の国家試験と比べて科目数は少なく、比較的対策は練りやすい資格です。

受験資格に決まりがないので、誰でも挑戦できる試験ですが、専門的な知識を問われるので万全の対策は必要となるでしょう。

独学での合格も可能ですが、一人で学習することに不安を感じたら予備校や通信講座を検討することをおすすめします。

通関士はグローバル化が進む日本社会において、非常に将来的にも需要がある資格です。
需要が増加する中で、人員不足が進行しているため、多くの企業が通関士の専門的知識を求めています。

通関士に興味のある方は、ご自身に合った勉強法を検討しながら、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

監修 資格LIVE編集部
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