税理士のダブルライセンスにおすすめの資格7選

税理士として活躍している人の中には、実は別の資格も保有していて仕事の幅を広げている人がいます。
税理士はそれだけでもステータスが高く、ある程度の収入を見込める資格ですが、他資格を持つことで活躍できる場が拡大します。
ただ、そのためには、税理士と相性の良い資格でなければ効果は望めません。

そこでこの記事では、税理士とのダブルライセンスにおすすめの資格について解説していきます。
ぜひ税理士以外の資格も取得して、ステップアップを目指しましょう。

税理士資格だけでは足りない?

税理士業界は厳しい競争

税理士には「独占業務」があります。税理士でなければできない仕事があることが資格としてのステータスが高いことを意味します。
しかし、その仕事を獲得するために、税理士登録者の間で競争があるのです。

2019年現在、税理士登録者は8万人近くいます。税理士の仕事は今後も需要があるのは間違いありませんが、厳しい競争があるのも事実です。

ダブルライセンスによる差別化も選択肢の一つ

かつては、税理士資格を保有していれば仕事に困りませんでした。しかし、今はただ待っていても仕事は来ません
実際独立開業しても、十分な顧客を獲得できずにオフィスを閉めることも珍しくありません。

では、どうすれば良いのでしょうか。
他の税理士と差別化するために、何が必要なのでしょう。

その有力な方法の一つが「ダブルライセンス」なのです。
税理士資格に加え、他の資格を活かし、ワンストップで対応できる税理士になれば大きなアピールになります。

税理士のダブルライセンスにおすすめの資格7選

ダブルライセンスが他の税理士との差別化に有効であることは間違いありません。
ただ、その効果を上げるためには、税理士と相性が良い資格を選択する必要があります。そしてその資格の中には税理士の受験勉強中でも取得できるものがあるでしょう。個々の知識に応じて検討してみましょう。

行政書士

行政書士の仕事は、官公署に提出する書類作成や提出などを代行することです。
税理士として税務に関わるだけでなく、顧客とより深い結びつきを持つためにはおすすめできる資格です。

行政書士は税理士の仕事をしながらでも、効率良く学習できれば短期間でも合格が目指せます。
しかも、税理士資格があれば試験が免除されます。都道府県の行政書士会に登録して審査に通れば行政書士として認められる制度となっています。
ただし、このケースでは行政書士として必要な法律系知識の勉強をしておく必要があります。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業特有の経営課題についてコンサルティングを行う仕事です。中小企業を顧客とする点で、共通しており、相乗効果が期待できます。

税理士の顧客の大半は中小企業です。税理士として、税務面でサポートすることは当然ですが、それに加えて中小企業診断士として、行政や金融機関との仲介や中小企業支援施策利用手続きなど、中小企業を多面的にサポートできれば、顧客の経営上も課題全般に関われることになります。

つまり、税理士の独占業務だけでなく経営全般のコンサルティングまで、幅広く業務の依頼を受けることができるのです。

社会保険労務士

社会保険労務士(以下、社労士)は、税理士と相性の良い資格だと言えます。
社労士は、社会保険と労務に関する専門家です。人材の採用から退職までの幅広い問題に対応できるため、社労士資格があれば業務の幅が大きく広がります。

つまり、税理士と社労士のダブルライセンスは、税務から社会保険までの依頼を受託できるのです。
例えば、給与計算のためのデータがあれば、確定申告書類の作成にも使うことができます。

社労士は社会保険、労働保険などに関連する法律や制度に精通しています。こうした人材は、従業員数が多い企業ほど必要としています。
税理士資格を持ちながら、企業への就職を目指す方もおられるでしょう。その際、社労士資格も保有していれば、大手企業の人事部門から採用される可能性もあります。

司法書士

司法書士は、不動産登記や訴訟などの法律事務の専門家です。おもに法務局に提出する書類の作成を代行します。司法書士と税理士は依頼が同時並行的に必要となる場面が多く、相性が良いと言えます。

たとえば、不動産贈与の場合に司法書士と税理士の両方が必要とされます。不動産移転登記の申請と、贈与税の納付手続きなど、同時に行うべき業務があるからです。

また、相続の場面でも不動産の遺産がある場合に役立つことがあります。不動産の所有権を相続人へ移すことになりますが、相続人が複数いる場合には遺産分割の協議を行う必要があります。この場合、司法書士が不動産移転登記を法務局に申請する必要があります。

会社設立手続きの際にも商業登記を伴いますので、やはり司法書士の資格が必要です。司法書士として仕事を受けた後、そのまま税理士としての記帳や税務相談などを受けることもできます。

宅建士

相続税に強い税理士を目指すのならば、上記の司法書士以外に「宅建士」の取得もおすすめします。
相続は多くの人が直面する問題ですので、それに伴う相続税の業務も多いと思われますが、実際にどのようにして算定するかを知っている人は少ないのではないでしょうか。

相続財産を算出するには不動産の評価額を出さなければいけません。この作業がもっとも面倒で時間もお金もかかると言われています。
評価額を出すためには現地調査役所調査を行うのですが、それは主に宅建士の仕事です。正しい不動産知識に基づいた資産の査定ができないと宅建士による不動産価格の査定は、不動産鑑定士の行う鑑定よりも評価額が高くなる傾向にあります。相続税の過払いの危険性があるため、税理士としては十分注意が必要です。

相続税は、2016年の改正で課税対象者が増えたり、相続税率の変更や小規模宅地等の評価の見直しなど、不動産関連についてもかなりの変化がありました。
相続税対策でアパートの購入や既存の不動産資産の活用なども見直されていますから、宅建士の知識はこれからますます活用される場面が増えてくるでしょう。

不動産鑑定士

宅建士は不動産の流通場面で活躍することが多いのに対し、不動産鑑定士は不動産そのものの価値を正しく判断するのが仕事です。
宅建士でもある程度の判断はできますが、不動産鑑定業務は宅建士よりもより幅広い分野の知識が求められるので、更に詳細な計算・評価を行うことができると考えて良いでしょう。
もちろん不動産取引の際の税務調査で役立つだけでなく、登録者数が数千人しかいない希少な資格ですので、ダブルライセンサーとしての活動を考えた際に、企業などの大口契約を受注できる可能性もあるでしょう。

FP(ファイナンシャルプランナー)

税理士と相性の良い資格としてはFPも挙げられます。FPそのものは何ら独占業務を持たない資格です。しかし税務やコンサル業務に精通している税理士は、依頼者から絶大なる信頼を得ています。

そのためFPの知識も身に付け、ライフプランニングとしての資金計画、リスクマネジメントしての保険商品の提案などの信頼性も高いものになります。

税理士とFPのダブルライセンスを行うならば、金融財政事情研究会の『2級ファイナンシャルプランニング技能士』以上は取得しておいた方がいいでしょう。

難易度比較

税理士は国家資格の中でも有数の難関資格ですから、基本的には上記の資格にはほとんど合格できる力はあるでしょう。

各資格試験の合格率は、次の通りです。

資格名

合格率

行政書士

10%

中小企業診断士

1次試験:15~25%
2次試験:20%

社労士

5~9%

司法書士

3%

宅建士

15%

不動産鑑定士

短答式:33.3%、
論文式:14.8%

簿記検定

簿記検定2級 学科:15~30%
簿記検定1級 学科:10%

この中で一番の難関と言われているのはやはり司法書士でしょう。法律系の資格は難易度が高いですが、それだけ大きなステップアップに繋がる可能性も高くなります。

不動産鑑定士中小企業診断士社労士なども難関資格として知られていますが、税理士と同等または少し易しい試験になります。税理士を取得していればこれらの取得は可能でしょう。

反対に、比較的易しいのは「簿記(3級・2級)」や「宅建士」です。
これから税理士を目指す方や、すぐにでも業務の幅を広げたい方であれば、企業からも需要の多いこの2つの資格がおすすめです。

既に税理士資格を所持している方ならば、FP試験に必要な税金の知識は当然備えていますし、宅建も法律系資格の中ではかなり易しい部類に入ります。

先に述べたように、特に相続税対策を専門にするのであれば、これからの時代において不動産の知識は必須ですから、ぜひ挑戦してみて下さい。

まとめ

現在、国内には大勢の税理士がいます。したがって、税理士資格だけでは厳しい競争に勝ち抜く必要があります。

しかし、税理士資格を補完、補強できる別の資格があれば、対応できる業務の幅が広がり、顧客対象も拡大します。他の税理士との差別化も図ることができます。

税理士と関連する資格、あるいは不動産系資格取得など、選択肢は上述したように色々あります。顧客にとって、「ワンストップ」で対応してくれる人材は大変重宝されるでしょう。

ぜひダブルライセンスを目指して、他とは違う税理士へと差別化を図るきっかけを作りましょう

■監修者からの一言

税理士の業務展開としては、税務業務に特化し特殊な依頼にも対応する、会計指導に特化する、ダブルライセンスで業務範囲を広げるなど、様々な選択肢があります。

今回の記事で取り上げたダブルライセンスで業務範囲を広げることについて注意すべきことは、税理士を中心として業務展開をするにしても、税理士本業が疎かになってしまうことです。

基本的に士業に上下関係はありません。資格の難易度だけで自分の行う業務を決めてしまうと、「実はやりたい仕事ではなかった」ということが起こる可能性があります。

士業は自由業ですから、自分のやりたいことを仕事にできることが何よりの魅力なのです。どの資格でダブルライセンスをするかをよく考え、後悔のない選択をしていただきたいと思います。

監修 資格LIVE編集部
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