【売り手市場】税理士の就活と転職事情についてわかりやすく解説!

この記事を読む皆さんが、税理士を目指す理由はどのようなものでしょうか?

実はここを明確にしていないと、税理士になっても短期で退職や廃業をすることが多くなってしまうことに注意が必要です。そもそも税理士試験の合格までたどり着く前に嫌になってしまう人もいるくらいです。

なぜでしょうか?今回の記事は、税理士試験に合格するためのモチベーションや、税理士資格をお持ちの方の参考になるようになっております。この記事が何かしらの参考になれば幸いです。

税理士よ、法律家であれ!

大前提として、税理士は法律隣接職としての税務に関する専門家です。つまり税法についてはプロフェッショナルでなければならないのです。

ということは、税法の条文の読み方を知っておく必要があります。

「及びに」と「並びに」の使い方はご存じでしょうか?これを知らないだけで、実務で大失敗を起こす例が多々あります。補助者が知らなかったことを税理士資格者も見落としてしまうとこのようなことが起こります。

これは教育機関または講師によって違うのですが、税法の読み方を教えないままに、ただ「理論問題集を暗記しなさい」という指導がまかりとおっているためです。

税理士は法律家であることを再認識し、税理士資格者も税理士を目指す方も、税法の読み方の本を一冊持っておくだけで、仕事でのミスが減り、正確な税務処理をすることができます。

税理士資格さえあれば就職や転職に大きく有利になるわけではない

 税理士は現状では定年を超えても働くことのできる職業であるため、市場は飽和状態にあるといえます。しかし、税理士の高齢化が進んでいることは事実で、これからは税理士資格者のニーズが高まってくるでしょう。

では、どのようにすればニーズに応えられる税理士になれるのでしょうか?

答えは、就職する企業や税理士事務所の求める人材にマッチするかどうかなのです

面接の段階で、「この事務所ではやっていけないな」と感じたら、ほとんどのケースでやっていけません。 

例えば、法人税を専門とする事務所の面接で、「私は個人の事業承継、特に相続税が得意分野です」とアピールしても、その方は「事務所が求める人材ではない」のです。

運良く採用されても、長続きしないでしょう。やりたいことをやれないということは、かなりのストレスになります。

どうすれば自分にマッチングした就職、転職先を見つけられるのか

これは原因を税理士業界の動向であるとか、資格学校のガイダンスに求めても、あまり効果はないでしょう。

むしろ資格学校に行くときには、「この科目を受けます」と決まっているくらいでないと短期挫折、学習意欲不継続になります。

資格学校の窓口の相談で「えーと、えーと」と考えている段階では受験生とは呼べません。

答えは自分の中にあると心得て下さい。

どんな税理士になりたいのか?何を中心業務としたいのか?どこに就職したいのか?独立するのか?などの要素を総合的に考え抜いて受験科目を決めるべきでしょう。

一般的にミニ税法と呼ばれる酒税法、固定資産税、住民税、事業税、国税徴収法などは、インターネットではあまり紹介されませんが、この記事がこれを紹介して他の記事と差別化を図っているように、読者の方自身も他と差別化を図るべきなのです。

例えば酒類を専門に扱う商店や酒蔵の多い地域などでは、酒税法の知識を持った顧問税理士の需要が多いのですが、選択する受験生が少ないため競争は激しくありません。また、国税徴収法も税理士業務の中心とはなりませんが、税金を滞納した依頼者に国税滞納処分が行われそうなときには、非常に役立ちます。

なんでも「はい、そうですか」と安請け合いしてしまうことほど危険なことはありません。もし、この記事が参考にならなかったということ自体も、一つの参考として何かに役立てば幸いと思って執筆しています。

税理士資格が転職に有利な理由の実際

税理士資格を持って、上記の自分にマッチングした事務所に就職することは、そう難しいことではないでしょう。

それより難しいことは、税理士資格を取得することです。

税理士資格は科目合格制度を採用しています。これは一つの科目がとんでもなく難しいため、受験上配慮がされているということと、科目ごとの専門性の高さも証明するものです。

そのため税理士試験を受験した方が面接官であれば、一科目の合格でも十分に評価してくれるはずです。ただし、その一科目を「自分の専門性だ」と考えずに、「この大変な科目合格を5回成し遂げようとする自分は、強い意志がある」とアピールしましょう。

このようなアピールの仕方であれば、一般企業の面接官にも「努力家だ」「根気のいる作業も任せられる」という好印象を与えるでしょう。

企業内税理士という就職の仕方もある

税理士は資格を取って独立するものだというイメージが強いのが現状ですが、実は様々な場所で税理士資格者が求められています。

その一つの例が企業内税理士です。

税理士の有資格者は、会計面でも税務面でも高度の知識を有しているため、一般企業の場合には会計部門で優遇されることが多いです。

企業内税理士はサラリーマンですから、独立して顧客がつかなかった場合の廃業リスクはありません。年収も一般の経理管理職よりも高く設定されることも稀ではありません。

 その上、大企業の経理財務部門に就職、転職することができれば、会社の戦略立案にもかかわることができる可能性があり、大きな規模の仕事をしてみたいという希望のある方は、企業内税理士もお勧めです。

しかし、上述したように企業内税理士はサラリーマンです。独立開業した税理士が軌道に乗れば収入は青天井ですが、企業内税理士にはそれがありません。安定の代わりに収入が限られるという点には注意が必要です。

自分の決めた生き方を実行できる税理士資格

ここまで読んでいただいた方には大体理解していただけたかと思いますが、税理士の仕事とは自分の人生を映す鏡といっても過言ではないのですもっと簡単に言えば、やりたいことをやりたいようにやれる、魅力的な資格だということです。

個人のスキルやこれまでの生き方を整理して、やりたい業務をすることができます。これは、税理士事務所などへの就職や転職の基準ともなりえます。それが科目選択のきっかけともなるでしょうし、実務においてのやりがいにもつながるでしょう。

また、税理士は専門特化して業務を行うことも可能です。

相続税、事業承継、MA、外国税務など、自分の強みを生かした仕事ができれば仕事のクオリティも高く、リピートや紹介により、事務所を大きくしていくことができる可能性もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。他の税理士紹介記事とは少し趣の違う観点から執筆させていただきました。皆さんの参考になれば幸いと思っています。また、他の記事ではあまり紹介されないミニ税法の可能性も示しました。

短期合格の秘訣は、受験に専念して資格学校を上手く使うことですが、税理士受験生は働きながら受験する方が多いです。そうするとミニ税法も上手く取り入れることを選択肢に入れることも一考です。

選択必須科目の法人税法、所得税法以外はミニ税法を選択する方も多いですが、それを単純に否定することもできません。自分がなりたい税理士像に合うならば、どんな科目選択でも構わないといえるでしょう。

自分がなぜその科目を選択し、自分の理想とする環境で「法律家としての税理士」として活躍することをアピールできれば、どのような就職、転職も上手くいくといえるでしょう。

浅利 圭佑

監修 浅利 圭佑(税理士)
慶應義塾大学卒。税理士法⼈NEXPERT代表社員。大手予備校税理士講座専任講師、大学非常勤講師、その他セミナー講師等の講師業・講演業の経験多数。
HPhttp://nexpert.jp/