税理士資格は毎年多くの受験者を集める人気国家資格です。
会計系資格の中では比較的独立開業がしやすいこと、社会人が働きながらでも挑戦しやすいことがその要因でしょう。
しかし、難易度は決して低いわけではありません。それなりの期間と計画的な学習が必要です。そのため、独学で挑む方は少なく、多くの受験者が資格スクールなどの通信講座を活用しています。
この記事では、おすすめの通信講座をランキング形式で紹介します!さらに勉強方法などこれから税理士を目指す方に役立つ情報を提供いたします。
なぜ通信講座がおすすめなのか
学習するスタイルは人それぞれ、自分に最適なものを選択すれば良いのです。
ただ、客観的に比較するべき要素もあります。
学習スタイルとしては、大きくは「独学」「予備校」「通信講座」の3つが挙げられるでしょう。
ではそれぞれのメリットとデメリットを整理しておきましょう。
独学
- 費用は最安
- 自分のペースで学習できる
- モチベーションの維持が難しい
- 試験情報、過去問題分析、法改正情報などが入手しにくい
- 質問や相談ができない
まず、確実に言えるのは、「独学」が最も「非効率的」であることです。
独学の最大のメリットは、一番費用がかからないことです。しかし、教材の選定、学習計画立案、傾向の分析、法改正情報収集など、多くのことを「自分で」やらなければなりません。
本来の学習に費やすべき時間をかなり失うことは間違いありません。費用なともかく、時間的には大きなデメリットがあります。
税理士試験は数ヶ月程度の学習で合格できるレベルではありません。そのような難関資格試験に独学で挑むのはあまりにリスクが高いと言わざるを得ません。
予備校
- 最新の試験報、出題傾向などの情報が提供される
- 質問、相談にその場で応えてもらえる
- 教室での講義のため集中力が維持しやすい
- 仲間ができ、モチベーションを維持しやすい
- 通学時間の負担が大きい
- 費用は最も高い
では、「予備校」はどうでしょうか。税理士試験は合格までに数年かかることが多いですが、その期間、資格学校などに通うことは時間的に可能でしょうか?
学生の方、社会人でも仕事をせずに試験勉強の打ち込める方であれば問題ないかも知れません。しかしそれ以外の方が、数年にわたって学校に通うための時間を捻出するのはかなりの負担になるでしょう。
通信講座
- 最新の試験報、出題傾向などの情報が提供される
- WEBで動画講義をいつでも・どこでも視聴できる
- 通学時間が不要
- 自分のペースで学習できる
- 通学講義より費用が安い
- 質問、相談にメール等で対応可能
- モチベーションの維持が難しい
最近の通信講座は、スマートフォン、タブレット、パソコンなど様々なITデバイスの活用が可能になっています。通学講座と同じクオリティの講義がいつでもどこでも視聴できるのです。自分のペースで学習を進めるには最適の選択と言えるでしょう。
以上のように、「独学」「予備校」の学習効率や費用、生活と両立するためのハードルを考えると、「通信講座」のメリットが見えてくるのではないでしょうか。
税理士通信講座おおすすめランキング
では、数多くある通信講座の中からおすすめの講座を5つご紹介します。デジタル通信機器による講座、大手資格学校提供の講座など、いずれも内容、実績ともに優れた講座です。
お申し込みを検討する場合には、各講座のWEBサイトやパンフレットなどで必ずご自身で教材、内容、費用などを確認なさってください。
1位 STUDYing(スタディング)

スタディングの最大の魅力は価格でしょう。
必須科目である簿記論・財務諸表論を合格するために必要な内容・教材が揃っている「簿財2科目合格コース」の価格が、54,980円(税込)なのです。通信講座の一般的な相場よりもかなり低い価格設定です。
また、スタディングの講座は、スマホ1つで学習が完結できるのが特徴です。テキストの閲覧からノート作成、さらに問題演習まですべて可能です。
頻出ポイントを的確におさえた解説、記憶方法のアドバイスまでしてくれます。機能をフル活用することで、時間を効率よく使うことができ、まとまった学習時間を確保するのが困難な方には最適でしょう。
2位 クレアール

クレアールは難関資格を中心に50年以上通信講座を提供している老舗資格講座です。
長年の指導で培った指導ノウハウや情報を活かし、充実した講座を提供しています。
クレアールには、独自の教育理念「非常識合格法」があります。
過去問の徹底分析により、学習内容を厳選して合格点である6割を取るための最短ルートを提供する講座なのです。
限られた時間で、必要最低限の重要な内容を徹底的に反復学習することで合格に必要な得点力を身につけます。
3位 LEC

TAC、大原と並ぶ国内トップクラスの大手スクールの一つです。
ただ、TACや大原が会計系の資格専門学校をルーツにしているのに対し、LECは法律系の専門学校としてスタートしています。
LECのWeb通信講座は、スマホでも0.6倍から2.0倍まで再生速度を調節できます。これは、脳を活性化し、集中力アップにつながる「速聴学習」を可能にします。記憶・認識・知覚の各領域が活性化し、短時間で効率よく学習がきるのです。
4位 TAC

TACは昔から公認会計士や弁護士などの難関資格からファイナンシャルプランナーなど様々な資格を取り扱っている、有名な大手資格予備校です。
一流講師を抱えるTACでは、メールでの質問対応やわかりやすい講義が人気です。
また、予備校ならではの自習室の利用などのサポートや学習コンテンツがあり、これらが最大の魅力となっています。
講座料金は通信のみの資格講座と比べると高く設定されています。
5位 資格の大原

簿記講座で有名な、大手校である「資格の大原」です。全国に校舎を持ち、通信講座受講生も自習室を無料で使用できます。
また、ネット環境を利用した「Web通信」、DVDを利用して講義を視聴する「DVD通信」、さらに大原が使用しているテキストや問題集などの教材だけで学習する「資料通信」があり、自分に適したコースを選択できるようになっています。
高い合格実績に裏付けられた講師が、蓄積されたノウハウを駆使し、オリジナル教材と効率の良いカリキュラムで受験生をサポートします。
質問などにもメール、電話、さらに校舎でも対応してもらうことができます。
通信講座でありながら、通学講座のメリットもあると言えるでしょう。
→教材についての感想
必要なものはそろっています。ただ、教材によって大きすぎて持ち運べないので、別途で有料の書籍を購入する人がほとんどだと思います。そんなことは初めから予想できるのだから、つけておいてくれとは思ってしまいます。
→全体的な感想をお書きください。
講座自体のクオリティには文句はありません。ただ、当該試験の性質上、学習範囲外の問題がガッツリと出題される年度もあります。その場合は他社でも出題予想や学習範囲をはずしているので、合否に影響はありません。影響はないけれど、さんざん教材・講師を信じて苦労して学習したのに無駄になったようで、ショックは受けるでしょう。
(女性・30代)
税理士の通信講座を比較する上で考慮するべきこと
税理士の通信講座は、知名度の高い大手資格学校によるものから、税理士専門学校やネット専門のスクールまで多くの選択肢があります。
その中で、自分に最適な講座を選択するためには、確かな基準を持つことが必要です。
ここでは、通信講座を選ぶためのポイントを紹介していきます。
自分の判断基準を固め、効率良く講座を選んで学習を始めましょう。
ポイントはテキスト、サポート体制、価格
- テキスト・講義動画などの教材
- サポート体制(質問・相談への対応や学習機能の充実度)
- 価格
この3点が最も重視するべきポイントです。
まず、教材(テキストや講義動画)は特に重要であることは言うまでもありません。
テキストや講師というのは、内容は当然ですが、実は「相性」も大切なのです。必ず資料請求やサイト上でのデモ視聴などを利用して確認してください。また、講師との相性も重要です。長い期間にわたって講師の声を聴くため、自分が聴きやすい講師の講義でないと途中で嫌になってしまいます。
サポート体制は質問や相談に対する対応方法や、校舎がある場合には自習室の利用可否などです。そもそも質問対応を行っていない場合もありますし、回数制限などの条件があるスクールもあり、その対応内容は様々です。
全国に校舎を持つスクールであれば、自習室利用や校舎での質問対応、特別聴講などが可能な場合があります。
また、アプリなどの学習機能が充実しているかどうかもポイントになってきます。
こうした対応は価格にも反映される部分ですので、予算と自分の学習スタイルで調整して判断をするべきでしょう。
テキスト・講義動画で比較
通信講座 | テキスト教材 | 講義教材 |
スタディング | 講座オリジナルテキスト(フルカラー) | 通信講座専用に撮影された講義映像(Web視聴) |
クレアール | 講座オリジナルテキスト(2色刷り) | 通信講座専用に撮影された講義映像(Web視聴) ※オプションでDVDメディアも提供可 |
LEC | 講座オリジナルテキスト(モノクロ) | 通信講座専用に撮影された講義映像(Web視聴) |
TAC | 講座オリジナルテキスト(モノクロ) | 通学授業の収録講義(Web視聴/DVD) |
資格の大原 | 講座オリジナルテキスト(モノクロ) | 通学授業の収録講義(Web視聴/DVD) |
テキストはスタディングとクレアールがカラー、そのほかがモノクロとなっています。
講義動画はスタディング、クレアール、LECが通信講座専用なのに対し、TACと大原は通学授業の収録講義となっています。
やはり、通信講座専用に撮影されたものの方が見やすさ・聞き取りやすさは優れていると言えるでしょう。
サポート体制で比較
通信講座 | サポート体制 |
スタディング | ・勉強仲間をスマホで作れるコミュニティ機能 ・進捗や勉強時間の自動管理機能付き ・最適な学習手順を提供する学習フロー機能 ・質問対応は受け付けていない |
クレアール | ・回数無制限の質問サポート(Eメール/FAX) ・学習カルテ作成 |
LEC | ・オンライン学習システム【Online Study SP】の利用 ・回数無制限の質問サポート(WEB/電話) ・スコアオンライン 他多数 |
TAC | ・スクーリング制度(教室講義の受講) ・質問(電話/メール) ・自習室利用 他多数 |
資格の大原 | ・サクセスミーティング ・回数無制限の質問応対(メール/電話/直接来校) ・自習室利用・振替視聴制度 ・就職対策セミナー 他多数 |
スタディングは学習サポート機能が優れていますが、質問ができないのが難点です。
TACや大原は通学の講義も行っているため、自習室を自由に使えたり、質問を直接受けてくれるなどのオンライン講座には無い利点があります。
価格で比較
通信講座 | 受講料(講座コース) |
スタディング | 45,980~79,980円 |
クレアール | 75,000~553,000円 |
LEC | 69,800~302,400円 |
TAC | 36,000~761,000円 |
資格の大原 | 61,800~376,000円 |
各講座ピンからキリまでですが、スタディングが比較的安価な価格帯になっています。
価格最優先で選択するのは危険
価格は大切なポイントではあります。しかし、やはり学習スタイル、教材などの要素を優先して選ぶことをおすすめします。
価格最優先で選ぶと、もし自分に合わないことが途中でわかっても後の祭りです。合格を果たすための労力は大変なものになるでしょうし、モチベーションを維持できなければ極めてコストパフォーマンスの悪い選択になってしまいます。
資格試験対策における最大のコストは、教材費などではなく、実は学習に割く時間なのです。多くのことを犠牲にして、挑戦するわけです。よく考え、納得した上で選んだ講座でなければ短期合格はもちろん、最後まで戦い抜くことも難しいでしょう。
自分に合った学習スタイルを見極めて講座を選ぼう
税理士試験に挑戦するにあたり、最初にしなければならないのは自分の学習環境を確認し、最適な学習スタイルを認識することです。
仕事をしながら挑戦するのか、勉強に専念するのかで全く異なります。同じ1日3時間でも、通勤時間やすきま時間を利用しての3時間と、机に向かっての3時間では学習方法は異なるでしょう。
スマートフォンを利用した動画や音声視聴を中心にWEB学習に強い講座であれば、すきま時間を最大限活かすことがきるでしょう。営業として走り回る人でも、WEB学習であれば教材を持ち歩くことなく勉強できるかも知れません。
もしまとまった時間を勉強にあてることができるのであれば、質量ともに充実している教材、自習室利用などのメリットがある大手資格スクールが提供する講座が良いかも知れません。
また、テキストなどをWEB画面で読むことに抵抗がある人もおられるでしょう。その場合、そもそもテキストをPDFでしか提供しない講座は選ぶべきではありません。
税理士は受験者が多く、人気の高い資格です。それだけに通信講座も数多くあります。
ぜひ、あなたの学習スタイルに適した講座を見つけてください。
■監修者から一言
税理士試験は1科目でも大変なのに、難関科目を5科目合格する必要があります。
これを独学でできるとしたら、簿記論と財務諸表論まででしょう。これらの科目は市販のテキストもそれなりに出版されており、過去問なども書店で購入することができます。
しかし、税法科目については市販のテキストはあまり多く出回っていません。これは、通学・通信問わずに予備校や通信講座を使った学習の情報量と独学に大きな差が出てくるためです。
結論を示すと、税法の独学は不可能に近いということです。
予備校や通信講座は教材が充実しており、基本的にその講座を上位30%以内で最後まで走り切れば、合格点に届く可能性が出てくるといわれます。特に通学講座のある予備校では、受験仲間ができ、競争を楽しみながら全講義を走りきることができでしょう。
ただし、通学講座では「聴き逃し」や「ノートを取るスピードが追い付かない」ということで、再質問をしなければ分からない論点は分からないままになってしまいます。
これに対してWEB通信やDVD通信は、動画の巻き戻しや早送りなどのスピード調整ができることが魅力です。聴き逃したら巻き戻してもう一度聴くことができますし、ノートが間に合わなければ動画を止めて書き込みができますので、おすすめです。
最終的に申し込むにあたっては、必ず受講予定の講師のサンプル講義を聴くことをおすすめします。喋り方、身なり、説明の仕方などが自分と合わないと短期挫折の原因になります。そして自分の信じた講師の指導を信じて合格まで走り抜けてください。
心から応援致します。

監修 浅利 圭佑(税理士)
慶應義塾大学卒。税理士法⼈NEXPERT代表社員。大手予備校税理士講座専任講師、大学非常勤講師、その他セミナー講師等の講師業・講演業の経験多数。